過去にも著作をご紹介したことがありますが、『英語はつながりで覚えよう』(関谷英里子 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、世界的に活躍する同時通訳者。

ビジネスにおける英語の重要度がさらに高まるなか、常に考えさせられるのは、「ノンネイティブながら、ネイティブスピーカーと遜色なく渡り合っている人たちに共通するものはなにか」ということだそうです。

もちろん、一瞬で信頼関係を構築できるような「パワー単語」を持っていることは重要なポイント。

しかし、もうひとつ気づいたことがあるのだとか。

それは、彼らの英語が非常に自然であること。要するに、彼らの使う「言葉のつながり(コロケーション(collocation)がネイティブスピーカーのそれと同じなのです。(「はじめに」より)

発音やアクセントではなく、違和感のないことばの使い方、あるいは自然な話し方。違和感がない話し方ができるから、堂々としていられるということなのかもしれません。

逆に、ことばのつながりを間違えると、そこに「違和感」が生まれ、不自然な印象を与えてしまうわけです。

そこで本書において著者は、仕事の現場で多くの英語に触れ、たくさんの文献を読み、気づいたことをまとめているのです。ここでは、コロケーションについての基本を確認してみましょう。

英語学習を「英単語学習」で終わらせないために

英語学習において、どのような単語を使うべきかを知り、その単語を覚えることはやはり重要。

とはいえ英語学習が「英単語学習」で終わってしまったのでは、英語を使いこなせるようになれなくて当然です。

事実、「単語は覚えたのに会話となるとうまく使えない」「英文メールを書くときどう単語を並べて文章を構成すればいいのかわからない」という方も多いはず。

そんな「単語を知っていても英語を使いこなせない」といった悩みを解決する方法が、コロケーションを身につけることなのだそうです。

コロケーション(collocation)とは、「よく一緒に使われる単語の組み合わせ、言葉と言葉のつながり」を指します。

日本語では「連語」と訳されることもあります、よく使われる言い回し、という感じだと思っていただければよいでしょう。(5ページより)

コロケーションを意識すると、ひとつの単語を単発で覚えて終わりではなく、その単語と結びつきやすいことばをセットで考えられるようになるそう。

たとえば動詞のshare(共有する・分かち合う)なら、「(人)と」を表すwithがセットで使われることが多く、名詞のpromotion(販売促進)という意味なら、sales(販売・営業)ということばと結びついてsales promotion(販売促進)という言い方がよく使われるのだといいます。

つまりはこのように、連語で覚える(コロケーションを学ぶ)ことが、自然で洗練された英語に近づく最短ルートだということです。(5ページより)

そもそもコロケーションとは?

コロケーションは(collocation)は、「ともに」を意味する接続後である“co”に、場所を示す“location”をつなげたことば。

そんなところからも推測できるように、「ことばとことばの並列、配列、結びつき」を意味するわけです。

例を見てみましょう。

heavy rain 強い雨

strong wind 強い風

hard frost 強い寒気(文脈によっては「厳しい寒さ」「硬い霜」と訳される場合もあります)

(6ページより)

「強い雨」「強い風」「強い寒気」というように、日本語ではすべて「強い」と表現することが可能。とはいえ、英語に直訳してすべてstrongで言い表せるわけではありません。

それぞれにつながる、適切な形容詞があるということ。

そうした「英語らしいことばのつながり」を押さえれば、単語を文章に落とし込みやすくなり、覚えた単語を会話や英文メールで使えるようになっていくわけです。

つまりネイティブスピーカーは、この「つながり」が身についているからこそ、自然な会話が紡ぎ出せるということです。

逆に「つながり」が間違っていると、せっかく単語が合っていても不自然に聞こえ、会話やメールに違和感が生まれてしまうというので注意したいところ。(6ページより)

コロケーションの分類

コロケーションには、次の2つのタイプがあるそうです。

① lexical collocation

② grammatical collocation

(7ページより)

① のlexical collocationは(語彙的なコロケーション)は、使い方がある程度決まっている、相性のよい、つながりやすい複数のことば。

名刺と、それを修飾するのに相性のよい形容詞、あるいは動詞とそれを修飾するのに相性のよい副詞、名刺がとりやすい動詞、といった感じのものだそうです。

たとえばビジネスの現部で使うことの多いfeedbackという単語であれば、

positive feedback  ポジティブなフィードバック

negative feedback  ネガティブなフィードバック

constructive feedback  建設的なフィードバック

(8ページより)

このように、positive、negative、constructiveといった形容詞がよく使われるそう。

また、このfeedbackという名詞がつながりやすい動詞の典型としては、giveが挙げられるといいます。

He gave me some feedback on my presentation.

彼はわたしのプレゼンテーションについてフィードバックをくれました。

(8ページより)

といった具合。

そして②grammatical collocation(文法的なコロケーション)は、そのことばとつながりやすい前置詞などを指すもの。

たとえば上記の例文のように、feedbackの場合はfeedback on〜と、しばしばonという前置詞がつながります。

そこで、「feedbackを使うならon」と、すぐに思い浮かべられるようになればいいのです。(7ページより)


こうした基本を踏まえたうえで、本書ではビジネスシーンで日常的に使われている効果的なパワーワードと、それらにつながることば(コロケーション)が厳選されています。

つながりで覚えることによって、自然でこなれた英語が無理なく身につくわけです。

身につけておけば、海外とのビジネスをスムーズに行うことができるようになるかもしれません。

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Photo: 印南敦史

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン