『満足するコツ──「ありのまま」で幸せになる94のことば』(植西 聰 著、自由国民社)は、『怒らないコツ』『後悔しないコツ』など、さまざまなテーマに関する“コツ”を明かしたロングセラーとして知られる「コツ」シリーズの最新刊。
タイトルからもわかるとおり、今回は「満足する」ためのコツがテーマとなっています。
「幸せだ」「楽しい」「うれしい」などポジティブな感情が生まれてくるのは、「満足する」から。
しかし「満足」という感情は、人から与えられるものではなく、自らつくり出すもの。
つまり自分で「満足する」と決めてしまえば、なんであれ満足できるものだと著者は主張しているのです。
そして、その満足から、多くの幸福感、楽しさ、うれしさを得ることができるということ。
自分の人生に、あるいは、自分自身という人間に、不満を抱いてしまうか、それとも心から満足するかは、その人の考え方次第です。
その人が「満足する」と決めて生きていけばいいだけのことなのです。しかし、それが意外と難しいと感じる人もいるかもしれません。本書では、そういう意味から、「満足する」ためのコツを色々な角度からアドバイスしています。(「まえがき」より)
第2章「80パーセント幸福主義で、満足する」のなかから、いくつかのポイントを抜き出してみることにしましょう。
「80パーセント幸福主義」で生きていく
生きていくうえでは、100パーセント自分の願いどおりになることはありません。それは仕事でも、恋愛でも、どのような人間関係においても同じ。
にもかかわらず、「すべてを自分の望むとおりにしたい。100パーセントでなければ嘘だ」と強く思いながら生きていったとしたら、結局は常に欲求不満を抱え、不満ばかりを口にしながら生きていくことになってしまうかもしれません。
でも、そういう生き方は決して幸福なものではないはず。
従って、人生は、あまり多くのことを望まず、自分の願いが80パーセント叶ったとしたら、「十分に満足だ。私は幸せだ」と考えていくようにするのが良いのです。
この「80パーセント幸福主義」が、平穏で、満足のいく一生を送っていくための大切なコツなのです。
願いごとが、全力を出しても100パーセント達成出来ないときは、80パーセントうまくいったところで「これで満足だ」と考えるようにすればいいということ。
たとえば人間関係にしても、あまり高い理想を追い求めるのではなく、「こういう関係でいたい」という願いが80パーセント叶ったところで「私は幸せだ」と喜ぶようにすればいいのです。
そうすれば、欲求不満を抱えながら生きる必要もなくなるはず。当然ながら、不満ばかりを口にするような生活からも逃れられることでしょう。
つまりは「80パーセント幸福主義」を取り入れれば、明るい気持ちで生きていけるということ。
そうすれば必然的に、まわりの人たちとも仲よく暮らしていけるようになるというわけです。(42ページより)
「心の持ち方」次第で、その人の幸福度が決まる
スイスの哲学者に、アンリ・フレデリック・アミエル(19世紀)という人物がいました。『アミエルの日記』という本が日本語に翻訳されていて、多くの人たちに読まれています。
彼は、「心の持ち方」ということを、とても重要視した哲学者でした。その人が幸福になれるか、あるいは不幸になってしまうかは、その人の「心の持ち方」次第であると考えていました。
そして、心の持ち方を変えることで、その人の人生や運命が変わっていく、と考えたのです。 そして、アミエルは、「幸福の真の名前は『満足』である」と述べました。(46〜47ページより)
このことばが言い表しているのは、“満足する”ということを心がけていくことが、幸福に生きていくためのもっとも重要な基本であるということ。
たとえば予定していたことが100パーセント実行できなかったとしても、その結果に「満足する」ことが大切だという考え方です。
いま、必ずしも十分な収入がなかったとしても、その暮らしに「満足する」。
希望していた職種に就けない状況にあるとしても、収入を得られる仕事があるのなら、その状況に「満足する」。
このように「満足する」という「心の持ち方」を習慣づけることができれば、その人は幸福感に満ちた人生を送っていくことが可能に。
言い換えれば、「不満を持つこと」は、その人の人生を不幸なものにしてしまうのかもしれません。(46ページより)
他人に対して、あまり多くのことを期待しない
他人に対し、あまり多くのことを望まないほうが幸せに生きていける。著者はそう記しています。
なぜなら他人という存在が、自分の願いを100パーセント叶えてくれることなど、まずないから。
それを理解できない人は、いつも他人の悪口ばかり口にし、他人のためにイライラした気持ちで暮らすことになるもの。
そのため当然ながら、まわりの人たちとの関係もギクシャクしていくことになるでしょう。それは当人にとって、とても不幸なことであるはず。
もちろん誰の心のなかにも、「人に期待する」という気持ちは少なからずあるものです。「あの人は、きっと協力してくれるはずだ」というように。
しかし、他人に100パーセントの期待はしないほうがいいと著者は言います。
100パーセントのことを期待すれば、結局は、欲求不満に陥ってしまうことになる場合が多いからです。
従って、他人についても、自分が期待することの80パーセントのことをしてくれた時には、「これで十分だ」と満足するように心がけていくほうがいいと思います。(55ページより)
それは自分自身が安らかに生きていくために大切なことであり、まわりの人とも円満につきあっていくためのコツだということです。(54ページより)
過去のシリーズと同様に、平易で読みやすいところが魅力。毎日の生活のなかから満足感を得たいのなら、手に取ってみてはいかがでしょうか?
そうすれば、意外な気づきと出会えるかもしれません。
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Photo: 印南敦史
Source: 自由国民社