新型コロナウイルスは、私たちの生活にさまざまな影響を与えることになりました。
特に経済に対する打撃は大きく、家族や従業員、自分自身が生き抜くことが最重要課題となっています。
そこで参考にしたいのが、『コロナのお金110番 会社と個人のお金、コロナからこうやって守れ!』(八木宏之 著、田中健一 監修、アスコム)。
企業再生コンサルタントである著者が、コロナ危機を乗り切るために必要な「お金」の知識やノウハウを明かした書籍です。
今回の緊急事態を受け、国・自治体・企業をはじめさまざまな組織が、人びとの生活を支援する施策を打ち出しています。給付金・助成金・補助金、無利子・無担保・長期据え置きの貸付(融資)精度、税金や公共料金の支払い延期など、お金をめぐるさまざまな支援策があります。
ためらってはいけません。使えるものは目一杯使い、自分や家族、会社や従業員を守ってください。時間が勝負です。急いでください。ただし、「混乱に乗じて便乗ビジネスをしているようなあやしげな融資」には、絶対に飛びついてはいけません。注意してください。(「プロローグ」より)
第1章では中小企業経営者のための、第2章では職業・仕事ごとの給付金・支援策などが紹介されています。
きょうはそれらに続く第3章「職業・仕事と関係なく使える給付金・助成金・支援策はこれだ! 当てはまるものを、目いっぱい使おう!」のなかから、生活費に困ったときに利用できる制度をご紹介したいと思います。
生活費が足りない人は「生活福祉資金貸付制度」が使える
「コロナの影響で収入が減り、生活資金が足りなくなりそう。一時的にお金を借りたい」という方のためには、生活資金を貸してくれる「生活福祉金貸付制度」があるそうです。
社会福祉協議会が以前から実施している、低所得者・障害者・高齢者世帯を対象に、国が低利で当座の生活費を貸し付け、再就職などに役立ててもらうための制度。
生活保護を受けるような状況になる手前の、「第2のセーフティネット」のひとつとされているもの。
これがコロナのために拡大され、所得に関係なく利用でき、返済期間も延長されているというのです。
制度は次の2つで、まず①の緊急小口資金を借り、それでも生活を建てなおすことが難しい場合は②を借りるという流れが基本。そして保証人は不要。
① 「緊急小口資金」の特別貸付
対象者:コロナの影響による休業などで収入が減少し、緊急かつ一時的に、生計を維持するための貸付を必要とする世帯。原則1回限り。 貸付制度:10万円以内。休業・失業・臨時休校の影響を受けたなどの場合は20万円以内。 返済期限:据置期間1年(最初の1年間は返済不要)。返済期間2年以内(1年後から2年間かけて24回分割で返済)。無利子。
(98~99ページより)
② 「総合支援資金」(生活支援費)の特別貸付
対象者:コロナの影響による休業や失業などで生活に困窮し、日常生活の維持が困難になっている世帯。 貸付制度:2人以上世帯は月20万円以内、単身世帯は月15万円以内。 貸付期間:原則として3か月以内(貸付合計額の最大が45万~60万円)。 返済期限:据置期間1年(最初の1年間は返済不要)。返済期限10年以内(1年後から10年間かけて120回分割で返済)。無利子。
(99ページより)
貸付金は、申込者本人の銀行口座に振り込まれ、返済も原則として銀行引き落とし(①で20万借り入れた場合は、23か月間8330円ずつで24か月目に8410円が引き落とし)。
これができない場合は、指定の払込票を使い、ゆうちょ銀行で支払うことになるそうです。
後日、一括返済も受けつける予定。返済時になっても所得の減少が続いて、所得税が非課税となる世帯は、返済が免除される場合もあるということです。
貸し付けを受けるための申請方法は?
申し込みは、市区町村の社会福祉協議会に出向いて行うことになります。また、全国にある労働金庫(ろうきん)の支店でも受けつけているそうです。
なお基本的に、次のものが必要。
① 本人確認書類(健康保険証・運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
② 住民票(世帯全員が記載された発行後3か月以内のもの)
③ 預金通帳(本人名義で、貸付金の振込口座のもの。当日までの記帳を済ませておく)通帳は、コロナの影響で収入が減った確認、税金・社会保険料・公共料金などの支払いの確認に使います。その確認ができない場合は別途、日常的に入金や出金のある通帳、給与明細など、収入確認のための書類が必要です。
④ 印鑑(銀行印)
⑤ そのほか都道府県の社会福祉協議会が指定する書類
(100~101ページより)
仕事によって、入金の形態もさまざま。
たとえば本を書いているフリーライターの場合だと、ひと月まるまる仕事をすれば数十万円になるものの、入金は本の発売後なので何か月か先ということも考えられます。
こういった場合は、通帳などで「コロナの影響で収入が減った」と証明することが難しいかもしれません。
そんな場合は自己申告するしかなく、貸付限度いっぱいまで借りることができない可能性もあるわけです。
ちなみに受付期間は2020年7月31日まで。どこの窓口も混雑しているため、電話で相談した際に面会日を予約することを著者は勧めています。
また、上記の貸し付けとはまったく違うものですが、保険会社が行う「契約者貸付」というものもあるとか。
契約者からの申し出により、解約払戻金を一定の範囲内で保険会社が貸し付ける制度。金利や金額は各保険会社によるので、相談してみるといいそうです。
[問い合わせ・詳しい情報は、ココへ!]
●個人向け緊急小口資金・総合支援資金相談コールセンター(厚生労働省)
☎︎120-461-999(毎日9時~21時)
●住んでいる地域の市区町村社会福祉協議会(または、労働金庫)
電話番号は「市区町村名 社会福祉協議会(または、労働金庫)」でネット検索を。 (101ページより)
もちろんこれは一例で、他にも利用価値のある情報満載。全国民に一律10万円ずつ給付される「特別定額給付金」以外にも、利用できるサービスがまだまだあるのです。
生活をサポートしてくれる給付金・助成金・支援策などがあるらしいということはわかっていたとしても、「具体的にどうすればいいのか」はなかなかわかりにくいものでもあります。
しかし要点がコンパクトにまとめられた本書を活用すれば、さまざまなサポートを受けることができるはず。
コロナ禍のために揺らぐ生活を建てなおすために、ぜひとも参考にしたいところです。
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Photo: 印南敦史
Source: アスコム