なにを話せばいいかわからないと感じてしまったり、あるいは初対面の相手に対して緊張したり…。
日常生活における「雑談」を、難しく感じている方は少なくないかもしれません。だとすれば、なぜ雑談は難しいのでしょうか?
それは「雑談は、普通の会話とはまったく違う」からなのだと主張しているのは、『超雑談力』(五百田 達成 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者です。
たいていの人は会話に関して、「友だちや仲のいい人との、気を使わない、楽しいおしゃべり」「仕事の場面できちんと話す、大人としての会話」くらいしか話し方のバリエーションを持っていないもの。
しかし雑談とは、そういったことはまた異なる「第3の会話」だというのです。だから、結果として多くの人が失敗してしまうということ。
雑談とは、「微妙な間柄の人と、適当に話をしながら、なんとなく仲良くなる」という、とても繊細な会話の方式です。(「はじめにーー雑談は、普通の会話とは、まったく違う」より)
したがって「雑談に適した話し方」をすれば、それで解決できるのだという考え方。そこで本書では、雑談をうまくこなすための、いくつかの簡単なコツを紹介しているわけです。
それらを実践すれば、雑談はうまくいくと著者は断言しています。
きょうは4章「職場/ビジネス編」のなかから、上司との雑談に関する2つのトピックをご紹介したいと思います。
上司とふたりきり(エレベーター)
×目をそらす
○自分から話しかける
たとえばエレベーターで上司とふたりきりになったときには、気まずい思いを抱いてしまいがち。
しかし当然ながら、そこで「話しかけられないように目を逸らす」のはNG。それでは余計に雰囲気が悪くなってしまう可能性があります。
では、どうすればいいのか? 正解は、「自分から話しかける」だと著者は記しています。
とはいえエレベーター内での会話に明確な話題は必要なく、「なんでもいい」のだそう。
「部長、お疲れさまです!」
「おお、どう、調子は?」
「おかげさまでなんとかやってます」
「今日は外回り?」
(172ページより)
というようなやりとりをしているうちに、いつしか目的の階に到着してしまうものだというわけです。そして、ここには重要なポイントがあるようです。
大切なのは会話の中身ではなく、「積極的に声をかけ、雑談をした」という事実のみだということ。
それどころか、「無視をしなかった」というだけでもファインプレイとして評価できるのだといいます。
なお、もし余裕があってチャレンジが可能なのであれば、「ほめる」「教わる」「お礼を言う」を実践することも大切。
たとえば以下のように、会話のなかにこれら3つを挟み込めばいいのです。
「いつもかっこいいですね!(褒める)」
「そんなことないよ」
「どこで洋服買われてるんですか?(教わる)」
「おお、今度、教えてやるよ」
「えー、ありがとうございます(お礼を言う)。じゃあ、失礼します」
(173ページより)
たしかに、無内容な会話ではあるかもしれません。
とはいえ無理に仕事の話を持ち出すよりも、こうしたさりげない会話のほうが、上司から好印象を持ってもらえるのだそうです。(170ページより)
上司とふたりきり(タクシー)
×飽きさせないように話題を提供する
○目に入る街並みの話をする
上司との雑談について、エレベーターよりも難易度が高いケースとして著者が取り上げているのが「同じタクシーで帰ることになったとき」。
なにしろ狭い車内で一緒にいるのですから、腹を決めてがんばって雑談しようにも、なかなかうまくいかないわけです。
しかしタクシーのなかには、その場所ならではのトークテーマが転がっているのだと著者。
「車窓から見える街並み」こそ、会議室や飲み屋にはない、タクシーならではのチャンスだというのです。
「車、混んでますね」
「ここの道、ずっと工事してますね」
「あれ、あの店なくなってる。ずいぶん街の雰囲気が変わりましたね」
なんでも構いません。目についてものを片っぱしから口にすればいいのです。この技術を「ビデオトーク」と言います。
(175~176ページより)
こうしたさりげない会話が、その後の話のきっかけになるということ。
上司はそこから景気の話をするかもしれないし、街の思い出を語り始めるかもしれないわけです。そして相手が話し始めたら、「なるほど」「そうですか」とあいづちを打てばOK。
そしてまた話が途切れたら、ふたたびみたものを話題にすればいいということです。
なお、目にしたものを口にすることの効能には「話題に困らない」こと以外にもうひとつ、「突っ込んだ質問をされづらい」という点があるのだそうです。
上司は上司なりに気を遣っているもの。そこで、上司に質問させるのではなく、こちらから目についたものの話題を次々に振る。
そうすれば、あとは上司に好きなように話してもらうだけでいいということです。(174ページより)
シチュエーションごとの雑談法が○×形式で紹介されているため、要点を無理なく理解することが可能。
しかも雑談力は、身につけてしまえば一生モノだといいます。
雑談が苦手な人、それ以前にコミュニケーションに苦手意識をお持ちの方は、手にとってみてはいかがでしょうか?
あわせて読みたい
Photo: 印南敦史
Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン