もちろん、そのうちの一人はスティーブ・ジョブスですが、もう一人のスティーブといえば、スティーブ・ウォズニアック(Steve Wozniak)です。

ジョブスとともに小さなガレージで「Apple I」を開発した後、個人向けコンピュータの先駆け「Apple II」を設計したウォズニアックは、その後、いくつものベンチャー企業の立ち上げや学校のテクノロジープログラムの開発に関わってきました。最近では、米Gizmodoでもたびたびご紹介されているとおり、Hackintoshのカリスマとしても知られていますね。

そのウォズニアックが、米Lifehackerの電話インタビューに応じ、仕事のコツや、ハードウェア・ハッキングに対する考え方、若き起業家たちへのアドバイスなど、忌憚なく語ってくれました。

Lifehacker: 普段はどういうガジェットやアプリを使っていますか?

ウォズニアック:知人から送ってもらうガジェットのリンクは都度チェックして、気に入れば買ってます。時計はNixie Tube watchが便利なので使っています。それから、自動二輪車のセグウェイは手放せないですね。

無線カードはVerizonです。ホテルの無線って意外につながらないこともありますから。

PCは17インチのMacBook Pro。携帯機器だと、通話や携帯メールで使っていたときはモトローラのRazrでしたが、今はiPhoneBlackBerryを持ち歩いています。モバイルからメールすることはあまりないですね。メールチェックだけしておいてPCから返信することが多いです。

Lifehacker:メーラーには何を使ってますか?

ウォズニアック::Eudoraです。もう発売中止になっちゃいましたが。

Lifehacker: Eudora?ほんとに?

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ウォズニアック:メールクライアントが備えるべき機能が揃っているので使っています。メニューリストにある機能や動作がボタンに追加できるのもいいですね。ボタンに動作をスクリプトしておけば、メッセージの転送や、複数のメールのマージ、フォーマットなども、ボタンひとつでできます。Appleのメールアプリだと、いま使っているEudoraのメールボタンほどスクリプトできないんですよ。

Lifehacker:ということは、ご自身のメールスタイルにあったソフトということが一番大事だということですね。

ウォズニアック:多くのユーザが使っている標準的なソフトに乗っかるのも好きですよ。多くの人に使われているということは、それだけ多くのニーズや課題に応えているわけですから。両方アリだと思ってます。でも、メニューバーから自分独自のスクリプトをボタンに設定するのもいいんじゃないかなとは思います。

Lifehacker:サイトを拝見したところ、メールやRSSフィードに多くの時間を使っていらっしゃるとのこと。メールの量もハンパなく多いとのことですが、どうやってこれを処理しているんですか?

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ウォズニアック:少し時間が空けば、まず、Googleニュースなどで、一般的なニュースをチェックすることからはじめます。それからRSSへ。だいたい3時間くらいかかっちゃいますね。

メールはそのあとに処理していますが、その日中に終わらないこともあります。

Twitterなどのミニブログサービスは便利だと思います。私もTwitterフィードを持っていますが、結局あんまり使ってないかな。たわいもないことをちょこっと書くよりも、あるテーマについてじっくり書くほうが好きだから。ずっと昔、イエローストーンに長旅に出たことがあるんですが、そのときはHTMLをコーディングして、自分の友達に近況報告をウェブに投稿していました。子供たちにHTMLやらDreamWeaverなんかを教えていたこともあります。今はTwitterみたいな手軽なツールがたくさんありますが、これが私のやり方なんでしょうね。

Lifehacker:ブラウザには何を使ってますか?

ウォズニアック: 数年前はFirefoxを使っていました。当時はSafariでは見れないサイトもFirefoxでは見れましたからね。今でも必要なときはFirefoxを使ってます。でも、次第にSafariがより多くのサイトで動くようになってきたので、今の自分にとってシンプルで使いやすいのは、Safariです

Lifehacker:多くの読者がLinuxをお使いなのかどうか、そして、Linuxについてどう考えていらっしゃるのか知りたがっています。

ウォズニアック:Linuxは使ったことないです。単に時間がないから、というだけですが。Linuxの考え方にはシンパシーを感じます。Linuxの人々は、私がそうありたいと思うのと同じような思考をされていると思いますね。

Lifehacker:Fusion-ioでのお仕事について聞かせてください。

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ウォズニアック:正直、自分にとって、給料や仕事は必要ありません。でも、私の愛すべきFusion-ioの仲間たちと長い間、ミーティングを重ねてきました。彼らはサーバーアーキテクチャーにおける新しい形の実現に取り組んでいて、実際、競合のものに比べて2倍から20倍もよくなりました。NANDやフラッシュ RAMなど小さなものを組み込むために合理的な方法を開発し、サーバーの技術的な問題を次々と解決しています。例えば、MySpaceの技術チームから投げかけられる問題に対して、彼らは期待する以上の解決策を出し続けています。おかげで、彼らはより速く、よりよいかたちで、素晴らしい成果を出しているのです。

Lifehacker:「窓から投げられないコンピュータは信用するな」と以前おっしゃていましたね。

ウォズニアック: そういったかどうかはわかりませんが(笑)。おそらく、コンピュータの大きさについて言ったんだと思います。それも、他の人がそうおっしゃったのに対して、「そうだ、そうだ」みたいなことを言っただけだと。

Lifehacker:それは、サーバーベースのコンピュータである「クラウドコンピューティング」の今後と何か関係がありますか?Richard Stallmanさんはプライバシーやセキュリティへの懸念を示されていますが。

ウォズニアック:Stallmanさんの考えには賛成ですが、それはまだ先の話だと思います。いいか悪いかは別として、「クラウドコンピューティング」は今後の方向性を示すものだとは思います。

Lifehacker: 「Fusion-io」とお仕事をされている理由は、サーバーにおける将来に注目しているからですか?

ウォズニアック: いえ、Fusion-ioと一緒に仕事をしているのは、自分がハードウェア側の人間だからです。Fusion-ioでの仕事は、私が長年関ってきたハードウェアと、ファームウェアやドライバーをより密接に考える機会になっています。彼らは、ミドルウェアを減らすことに取り組んでいますが、私もその発想はいいと思っています。

Lifehacker:Hackintoshのファンだと伺いました。少なくとも、OS XをインストールしたDell Miniにサインされるとか。Lifehackerの読者にもHackintoshファンは多くいます。しかし、これは今後広がっていくのか? それとも、この手のハッキングは常に5%程度のニッチであり続けるのか? どう思いますか?

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ウォズニアック:あまりそのことについて語るのは好きではありませんが、ハッカー志向のものは好きです。ただ、この領域は今後もニッチであり続けると思います。

私がAppleをはじめたときの夢は、みんながプログラムの方法やコンピュータの使い方を学ぶようになることでした。しかし、それはむしろ、オープンソースのソフトウェアの強みだと思います。多くの企業がmySQLやLinuxなどのオープンソースを使って、必要なソフトウェアを作っています。ハッキングの精神は自分にとって今でも大切な機軸ですね。

Lifehacker:改造したiPhoneをまだ使ってらっしゃいますか?どんなアプリケーションを使っていますか?

ウォズニアック:初期はよく改造していましたが、やるたびに毎回「この改造やったら、壊れちゃうんじゃないか」と心配するのに疲れました。

100個くらいのアプリを入れましたが、一番使ったのはその国のチップを計算できる「iTip」ですね。iPhoneからSkype電話をしたこともありますが、AT&Tのネットワーク上ではできないようです。

Lifehacker:技術志向のビジネスを立ち上げようとしている人に向けて、何かアドバイスがあればお願いします。Appleをスタートされたご自身の経験と何か違いはあるでしょうか?

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ウォズニアック:技術の知識は必要でしょうね。それから紙の上だけで会社や事業をスタートしないほうがいいと思います。人に見てもらったり、デモできる実際のモデルを創ってみることからはじめるべきでしょう。そこから将来を設計するのがいいと思います。

Lifehacker:それはご自身の経験から?

ウォズニアック:一部はそうですね。

どんなスキルを伸ばすにしろ、きちんと準備することは大切です。それからオープンマインドを持つことも大事ですね。

会社を始めるときには、技術と密接につながっている必要があります。「私はビジネス側の人間だから、技術はまあいいんだよ」なんていう人もいますが、自分の周りに信頼できる優秀な技術者を置くことは不可欠です。そうでなければ、ビジネスの方向性自体がなくなっちゃいますから

世の中には一見、一銭の価値のないものもたくさんありますが、一生懸命取り組めば次第と人々のニーズを満たし、大きなビジネスになると思います。

いかがでしたか?

ご感想などがあれば、ぜひコメントでどうぞ。

Kevin Purdy(原文/松岡由希子)

ウォズニアック自伝
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―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝

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