今やほぼなんでもできる印象のApple Walletですが、果たしてリアルな財布を置き換えることはできるのでしょうか。
多くのものがデジタル世界に移行しつつある今、財布の役割がスマホに代替されるようになっても、何ら不思議ではありません。
AppleはWWDC21において、デジタルウォレットの新機能をいくつか発表しました。これにより、リアル財布が持つほぼすべての機能を実装したばかりか、リアル財布にはできない機能も実現しています。
これは、リアル財布が不要になることを意味するのでしょうか? この記事では、そうなった場合のメリットとデメリットについて考えたいと思います。
Apple Walletの機能一覧
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Apple Walletはその登場以来、着実に機能を増やしてきました。Apple WappetはApple Payとの関係が深く、クレジットカードやデビットカードをApple Walletに登録し、お店ではApple Payで決済を行います。
Apple Walletには、クレジットカードやデビットカードだけでなく、さまざまなカードや定期券などを登録できます。(米国の場合)自動車運転免許、パスポート、IDカードまで追加できるのです。
さらには、交通系ICカードや定期券、イベントの入場チケット、会員カード、映画のチケット、ポイントカードなども登録できます。
最新の発表では、スマートキーも保存できるようになるそうです。家、ホテルの部屋、車、職場など、あらゆる場所のバーチャルな鍵として、スマホが機能するようになる日が近いのです。
もちろん、これらの機能の利用はAppleの提携先に限られるため、利便性はお住まいの地域によって異なります。Appleは少しずつApple Walletの対応地域を広げており、パートナーの数は増え続けています。
これらの機能がスマホに実装されたらどんなに便利だろうと思うかもしれません。ただし、リアル財布を完全に置き換えるとなると、いくつか注意しておかなければならないことがあります。
iPhoneをなくしたら?
財布をなくすかもしれないという不安は、誰でも経験したことがあるでしょう。どこかで落としたり、盗まれたりする可能性があります。なくしてしまった財布は元には戻りません。さらに、クレジットカードを止めたり、免許証を再発行したりといった、面倒な手続きが待っています。
では、リアル財布をApple Walletに置き換えた場合に、iPhoneをなくしたらどうなるでしょうか? iPhoneも、リアル財布と同様、落としたり盗まれたりする可能性はぬぐえません。
iPhoneの場合、パスコードが最初の障壁になってくれます。Apple Walletの情報にアクセスするには、パスコードを入れなければなりません。ですから、常に強固なパスコードを使うようにしてください。
第2に、Apple Walletから機微情報を即座に消す方法が用意されています。物理的なカードは自宅にあり、個人情報は悪い人の手に渡らない。それってつまり、win-winですよね。
とはいえ、実際にiPhoneをなくしたことを考えると、登録していたすべてのカード、ID、鍵にアクセスできなくなります。助けを求める電話もできなくなってしまいます。そう考えると、いくらかの小銭を入れたリアル財布は、常に携帯しておいたほうがよさそうです。
全情報を入れるのは危なくないの?
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デバイスに保存した情報の安全面が不安という人は多いでしょう。おそらく、サイバーセキュリティ全般に対する漠然とした不安が根本にあるのだと思います。
Appleはその不安を軽視していません。先日はApp Tracking Transparencyを発表し、iOS 15では新たなプライバシー機能を実装するなど、精力的にプライバシーの問題に取り組んでいます。
Apple PayでApple Walletを使用しても、お店側には取引の詳細情報はいっさい伝わりません。さらに、登録した全情報は、暗号化された状態で保存され、使用されます。
このあたりの詳細を知りたければ、Appleのウェブサイトをご覧ください。Apple Walletにまつわるプライバシールールが記載されており、データの取り扱い方法や処理方法が詳述されています。
リアル財布を置き換えるデメリット
鍵、免許証、IDカード、デビットカード、電話などのすべてを一元管理できるのはすばらしいアイデアのように思えるかもしれません。でも、すべての果実を1つのカゴに入れることには、少なからずデメリットもあります。
たとえば充電切れ。iPhoneのバッテリーが切れてしまい、しかもリアル財布を持っていないという状況は、大きな問題です。自宅やオフィスの鍵を開けられなかったり、お金を支払えなかったりといった事態が発生するでしょう。
これと同様、iPhoneのみに依存していると、さまざまな問題が想定されます。その先には、必ずやもどかしい結果が待っています。
とはいえ、Appleもそのあたりの対策には取り組んでいます。IDカードとスマートキーに関しては、WWDC21において、Apple Walletの2つの新機能が発表されました。
果たしてそれが米国内の全州で有効なのか、また警察がバーチャル運転免許をどこまで許容するのかはわかりません。なので、筆者はしばらくの間リアル財布を併用するつもりです。将来的には、さらなる代替案が出てくることが見込まれます。
今、置き換えるべきか
デジタルウォレットがニューノーマルになるにはまだまだ時間がかかりそうですが、デジタルウォレットの中では、Apple Walletは間違いなくトップを走っています。そう遠くない未来、Apple Walletがリアル財布を置き換える日が来ることでしょう。
Apple Walletの登場により、クレジットカードやデビットカードだけでなく、鍵や交通系カードをスマホとともに持ち運べるようになりました。とはいえ、必需品を1つにまとめることには常に課題が付きまとうことを忘れてはなりません。
Original Article: Is It Time to Replace Your Physical Wallet With Apple Wallet? by MakeUseOf