かつて福沢諭吉は、毛筆廃止論を唱えました。
なぜなら、筆と墨が別々になっており、書き進めるたびにいちいち墨を付け直さなければならないからです。
現代のボールペンのように一気呵成に長い文章を書くのには向いていないのは確かです。それゆえ、ペン先とインクが一体になった万年筆を推奨していたというのです。
しかし現在、筆記具自体もっと安価で手軽なものが普及しているこの時代において、全体的に見て高額な万年筆を使うのは、やや贅沢な行為。
さらに贅沢と言えば、現代の万年筆には“インク沼”というものが存在します。
簡単にインクを補充できるカートリッジではなく、あえてコンバーターと呼ばれるツールを使うことで、愛用の万年筆にどんな色のインクでも(たとえメーカーの推奨外のものでも)補充することができるのです。
このインクへのこだわり=“インク沼”に魅せられて万年筆を選ぶ人もいます。
そのためこの現代において、ほかの文房具に比べて万年筆は価格だけでなく、趣味性においても贅沢な筆記用具と言えます。福沢諭吉もまさか“インク沼”のような事態は想定していなかったでしょう。
そのような趣味を持たない人にとって、万年筆をわざわざ使う理由はないかもしれません。
しかし、ビジネスパーソンでも手元に万年筆が1本あると、一筆箋やハガキを書くときに便利です。さらに、またのちほどご説明しますが、リラックスしてアイデア出しを行なうなど、クリエイティビティを広げるのにも役立ちます。
今回は、そんなビジネスパーソン向きの普段使い万年筆として、「MD万年筆」を紹介します。
日常的なビジネスシーンに最適なデザイン

このMD万年筆は、文具メーカー・デザインフィルによる製品。
同社の手帳用紙であるMD用紙をイメージしたクリーム色のボディが特徴です。
そして、キャップ部分のマットなステンレスのおかげで、ビジネスシーンにも違和感なくなじみます。
このくだけすぎず、堅すぎないデザインが日常的に使うのにちょうどいい感じです。
またインクについては、推奨はされていませんが、筆者の場合は、他メーカーのインクも利用できました。

文房具としての「絶妙なポジション」
紙や手帳が有名なメーカーの手によるプロダクト。
そして、どこかの会社のOEMではなく完全なオリジナルです。
この商品の成り立ちが絶妙な「肩の力の抜け具合」なのです。
舶来の高級品でもなく、伝統的国産品でもない。かといって、入門用のプラスチッキーなものでもない。
このさりげなさは、他人とのかぶりがほぼない点でも絶妙です。
手紙やハガキ、アイデア出しにも◎

ペン先の太さは、「M」。中字です。
あまり繊細に細かな字を書くと言うよりは、さっとハガキや手紙を書くのに向いている感じです。
または、筆圧をかけず書けるのは、万年筆ならではのメリット。
この特徴は、アイデア出しにも、文字通り肩に力を入れずに取り組めるかもしれません。
伝統的な高級品のようなハードルの高さに邪魔されることなく、かといってモノとしての質感は決して安っぽくない。
絶妙なさりげなさを持つこのMD万年筆で、筆圧をかけずにいろいろなアイデアを紙の上にアウトプットしていく。
リラックス感をもってクリエイティビティを広げるのには、このMD万年筆はちょうど良い選択だと思います。
Source: MD PAPER