ライフハッカーでは「アナログメモ」を活用することによる思考力アップやアイデア術について発信してきました(特集「深化するメモ術」など)。また連載「今日のライフハックツール」でも多くの文具を紹介しています。

そこで、手帳評論家の舘神龍彦さんにさらに多様で楽しいアナログ文具の世界について紹介してもらいつつ、仕事で使える活用法について紹介する連載をスタート。初回のテーマは改めて「なぜ今こそアナログ文具なのか?」について語ってもらいました。

デジタルの利便性を知りながら、今アナログ文具を推す理由

新連載「書いて閃く文具箱」は、アナログ文具を紹介しながらその魅力や仕事に使える活用法を提案する連載です。

私は、今まで手帳評論家・デジアナリストとして、著書『手帳と日本人』(NHK出版新書)などを通じて「現代における手帳の有用性」について発信してきました。

一方、『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)などデジタルツールについて紹介した著書もあり、パソコン利用歴は30年以上に及びます。

要するに、「単にアナログツールが好き」というわけではなく、デジタルツールもずっと活用してきており、その魅力と利便性についてもよく分かっているということです。

それなのに、なぜ今、アナログ文具を取り上げる連載をはじめるのでしょうか?

「サードスクリーン」としてのノートや手帳

現代は、デジタルツールがあふれるほど存在する時代です。誰もがスマートフォンを持っており、それらは必ずクラウドにつながっています。

デジタルツールは保存性や拡散性、検索性の高さなど、便利な機能を数多く持っています。では、アナログツールを使うことにどんな必然性やメリットがあるのか?

「手書きのほうが手になじむ」とか、「ペンと紙の書き心地が好き」などと答える人もいるかもしれません。おそらくそういう人たちは、アナログ文具が好きな文房具ファンなのでしょう。

しかし、必ずしも文具が好きである必要はありません。文具ならではの利便性や必然性を理解して自覚的に使うことがよいと考えています。

私は、アナログツールの最大の特徴であり、メリットでもあるのは「ネットに接続されていないこと」だと考えています。つまり、利用している最中に音声やポップアップなどの通知にわずらわされないということです。

また、アプリの選択というプロセスがなく、開いたらすぐに記入できる「アクセス性の高さ」、記入のルールをユーザーが自由に決められる「自由度の高さ」もアナログの魅力です。

こういった特徴は、電子ペーパーなどの一部のツールを除けば、デジタルガジェットにはないものです。

旧式、前時代的などと捉えられがちなノートや手帳は、通知やアラートが常に控えていて、クラウドにつながっているがゆえに、情報満載のデジタルツールがあふれている現代という文脈の中では、逆にメリットとして機能します。

誰でも持っているスマートフォン、仕事に必須のパソコン。ノートや手帳はこれらに続く「サードスクリーン」なのです。

「アナログ文具をもう使わなくなった」人にも伝えたい

時間になったらスケジュールを知らせてくれるデジタルガジェットは本当に便利ですが、そういった機能のないノート・手帳は、ネットに接続されていること自体がもたらす暗黙のストレスとは無縁です。

また、それによって作業に集中しやすいということ、またペンで書くときの書き心地などの脳神経への刺激などもあり、ノート・手帳などの紙の記録媒体は一定の支持を得ていると言えます。

もうほとんどアナログ文具を使っていないという人にこそ、この連載を読んでいただきたいと思っています。ノートや手帳、ふせん、ペン、各種収納用ツールなどの文具は、まだまだ活用範囲があり、それどころかデジタルツールにはないメリットもたくさんあることをお伝えしていきたいと思っています。

一方で、単なるアナログびいきにもならないようにと考えています。この連載をよろしくお願いいたします。

今回の文具

NOLTYメモリーポケット3

日本能率協会マネジメントセンターによる文庫サイズの手帳。月間ブロック+ノートという構成になっている。筆者は予定欄には予定は書かず、分厚いメモページにあらゆるメモを書き込んでいる。

利用されているNOLTY用紙は、同社オリジナル。万年筆のインクにも裏抜け裏移りせず、薄くて丈夫なのが特徴の一つとなっている。

舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

デジアナリスト・手帳評論家。主な著書に『凄いiPhone手帳術』(えい出版社)、『意外と誰も教えてくれなかった手帳の基本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『手帳と日本人』(NHK出版新書)など。「マツコの知らない世界」(TBSテレビ)「HelloWorld」(J-WAVE)はじめテレビ・ラジオ出演多数。文具の製品開発、講演等を行っている。Yahoo! Japan クリエイターズプログラムで文具・手帳の動画を発信中。twitter:@tategamit