エアコンを選ぶとき、まずは設置する部屋の環境や設備を確認する必要があります。その確認だけでもスペースの幅や、電源の位置、ブレーカーの容量など複数ありますので、ひとつずつ整理していくことが必要です。いくら高機能なエアコンだとしても、設置場所や部屋の広さに適していなければ、使うときに効果を発揮することは困難です。
また、最近は人口知能(以下、AI)によって快適な空間を作り出してくれるエアコンなども発売されてきています。理想のエアコンを選ぶにはそのような新しい機能などの情報収集も必要となるでしょう。
今回は、家電ライターとしてご活躍中の秋葉けんたさんにご協力いただき、エアコンを購入する前にチェックしておきたいポイントや、2020年現在に発売されている最新機種の情報などをまとめました。後半では畳数別のおすすめエアコンを紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
監修者

秋葉けんたさん:編集プロダクションマイカに所属。雑誌や専門誌のライターとして活躍。 家電やIT全般の執筆を得意とし、書籍、新聞、業界誌やWebコンテンツ、オウンドメディアなど多方面にコンテンツを提供。
■ 目次
エアコンを買う前にチェック! 4つのポイント
エアコンを設置する部屋を決めたら、部屋の広さに合った機種を選びます。この際に木造と鉄筋ではエアコンの効きがだいぶ異なることが考えられますので注意が必要です。製品のカタログや店頭の表示にて「6~9畳対応」とある場合、木造住宅は6畳、鉄筋コンクリートは9畳を意味します。ただし、日当たりや間取りによってもエアコンの効きは変わります。
エアコンは消費電力が大きいため、エアコン専用コンセントが必要です。
もし、エアコン専用コンセントがない場合は、工事を購入前に済ませておく必要あります。また、ブレーカーの電気容量も30アンペア以上が必要となりますので、30アンペア以下の場合は、電力会社に連絡して容量変更が必要となります。
エアコンを設置するためには、室内機(本体)だけでなく、室外機を設置するスペースも必要となります。さらに、室外機が設置できるかに加えて、室外機と本体を繋ぐホースのための配管穴も確認する必要があります。
もし、配管穴がない場合は工事が必要となりますが、賃貸住宅の場合は事前に大家さんや不動産会社に確認する必要もあるでしょう。
以下のおよその目安を参考にして、設置場所のスペースを測ってみましょう。
エアコンの選び方
●購入時期で選ぶ
エアコンの購入時期は、秋か春がおすすめです。秋は新製品が発売される時期となりますので、メーカーごとの最新情報や新機能をチェックすれば、きっと理想の機種に出会えるでしょう。
一方の春は、前年モデルに対する評価や、前年モデルに関連する口コミ・レビューなどが非常に多くなる時期です。実際に購入した方の口コミなどを参考にすれば、より自分に適した機種を選びやすいでしょう。
●必要な機能で選ぶ
・フィルター自動清掃
こまめな掃除が必要なフィルター。しかし、フィルターの自動掃除機能を搭載しているタイプなら、お手入れの負担は大幅に減少します。さらに、フィルターの目詰まりが自動で防止されることによって、無駄な稼働を減らし省エネ効果も期待できます。
・空気清浄機能
シャープの「プラズマクラスター」、東芝の「大清快」シリーズなど、空気清浄機能は各メーカーが注力しています。子どもやペットがいるために室内の空気を清潔に保ちたいという方などは重宝する機能ですし、最近は新型コロナ対策としても重視しておきたい機能です。
・省エネ性能
長時間使用することが多いエアコンは、本体代金だけでなくランニングコストも気になるところ。ランニングコストを抑えたい方は、省エネ性能が搭載されているのかをチェックしておきましょう。
2006年10月から開始された「統一省エネラベル」は、国が設定している「省エネ基準」の達成率を表したものです。★の数が多ければ多いほど、省エネ性が高い製品だといえます。
・温度の微調整
人感センサー付きのエアコンの場合、人がいる場所を重点的に冷暖房することが可能です。高性能モデルの場合は、人に直接強い風が当たりにくいように避けるなどの自動調整にも対応しています。
・スマートフォンとの連動機能
専用アプリによって外出先のどこからでもエアコンのON/OFFが可能となり、帰宅前にリビングや寝室などのお部屋を暖めたり冷やしたりして、快適な室温に整えておくことができます。最近では、GoogleアシスタントやAlexaなどのスマートスピーカーとの連動モデルも人気です。
●メーカーで選ぶ
好きなメーカーで選ぶのは、ひとつの方法ですが、必要としている機能が搭載された製品はどのメーカーから発売されているのでしょうか。メーカーごとに最近の情報などを交えながら特徴をご紹介します。
・ダイキン
「うるるとさらら」シリーズが代表的な空調メーカーです。ダイキンの特徴としては、部屋中の空気を循環させる「サーキュレーション気流」や、効率良く「熱」を運搬できるよう冷媒の温度をコントロールする「冷媒制御技術」などが挙げられます。一部の機種では、給気換気機能が搭載されており、屋外の空気を取り込みながらクーラー・暖房運転を行なうことも可能です(2020年4月30日時点で給気換気機能を持つ唯一のエアコン)。
また、「RXシリーズ」「Rシリーズ」「うるさらX」には、「無給水加湿機能」を搭載していますので、水を変えたり足したりする手間がなく、冬場の乾燥を緩和させることができます
・三菱電機
三菱電機といえば「霧ヶ峰」シリーズが有名です。室内にいる人の場所や手足の体温変化を見極める高精度紫外線センサー「ムーブアイ」搭載タイプでは、一人ひとりに最適な風量で送風してくれます。体感温度に合わせて冷房、暖房を自動で切り替えてくれるハイブリッド運転機能も便利です。
・富士通ゼネラル
AIエアコン「nocria」シリーズは、学習し成長するエアコンです。2020年度の最上位モデルでは、日々の環境変化や温度変化データを蓄積、AIが操作頻度や内容を学習・分析し、好みを覚えて自動設定してくれます。学習データが徐々にブラッシュアップされていくのも魅力のひとつ。
スマホからの遠隔操作やスマートスピーカーを使っての操作指示など、リモコン要らずで便利です。
・シャープ
冷房時と暖房時の開閉方向が正反対となる大きなルーバーを搭載した独特の形状のエアコンが人気です。また、独自開発の「プラズマクラスター」によって自然界に存在するプラスイオンとマイナスイオンを発生させるため、臭や部屋干し独特のニオイの抑制などにも効果的です。さらにエアコンを使わない季節も、プラズマクラスター機能の単体運転をすれば、空気の浄化が期待できます。
・パナソニック
パナソニックのエアコン「エオリアシリーズ」では部屋を冷やすことはもちろん、「ナノイーX」、「内部クリーン」、「空気清浄機能」で空気の清潔さにもこだわった製品が魅力的です。
エアコン用に新開発された「アクティブクリーンフィルター」は、微細な汚れを逃さずキャッチするので、ホコリや花粉が気になるときにも活躍します。さらに、フィルターお掃除ロボットが、溜まったごみを自動で屋外に排出する機能を搭載しているモデルもラインナップされています。エアコン内部を清潔に保ちつつ、メンテナンスを最小限に抑えられることも魅力的です。
・日立
日立エアコンといえば「白くまくん」。このシリーズの製品に搭載された「凍結洗浄」では、文字通り、熱交換器を凍らせ、一気に霜を溶かして汚れを落とす仕組みを採用しています。人の手では掃除が難しい場所も、常に清潔にキープすることができます。
さらに快適な室内環境+エコ(電気代削減)の観点から「くらしカメラ4」を搭載。人の位置や活動量、温度、ソファやテーブルなどの物の位置や形状、床材や窓の位置と、さまざまな角度から部屋全体を認識します。人にやさしい気流を生み出したり、個々の体感差に合わせて「風よけエリア」を設定することができたり、「湿度カメラ」によって洗濯物を検知して乾燥しやすくできたりと、きめ細やかなサポートにも注目です。電気代を節約したい人にもおすすめのメーカーといえます。
・東芝
空気清浄機機能+やさしい風の冷房にこだわった「大清快」。検証機関での実験では、PM0.5よりも小さいPM0.1の除去効果が確認されるなど、空気清浄機能に特に注力しているブランドです。
上位モデルは、部屋の空気の状態をランプの色で知らせてくれます。また、東芝オリジナルの「楽ダストボックス」機能によって掃除機を使って簡単にお掃除ができるため、フィルターのお掃除やダストボックスの取り外しも不要です。エアコン内部も自動お掃除機能「プレミアムクリーン」によって清潔が保たれています。
エアコンを設置する部屋の畳数別・おすすめランキング10選
なお、以下の表示価格は変更の可能性もありますので、販売ページをご確認ください。
●6~9畳の部屋におすすめのエアコン4選
・【第1位】シャープ LXシリーズ AY-L22X-W
50,000個/cm³までイオン濃度を高めたプラズマクラスターNEXTを搭載。メーカーによる実証試験では、ストレスがたまりにくく集中を維持しやすい環境を作り出すという結果を出しています。ニオイ原因菌や、付着カビ菌、タバコ臭の消臭、静電気を抑える機能もより充実しています。
また、業界初のクラウドAIによって、気象予報と部屋の状況をもとに快適な環境を作り出すことができます。さらに強風15m、微風11mと遠くまで風を届けるエアロダイナミックフォルムを搭載していますので、部屋の広さも限定されません。また、お掃除もフィルター両面お掃除、プラズマクラスターパトロールなどによって楽々です。
・【第2位】パナソニック Xシリーズ CS-X220D-W
カビ菌や花粉などを抑制する「ナノイーX」が搭載されています。また、無線LAN内蔵によってスマートフォンとも連動し、外出先から電源をON/OFFすることができます。さらに2020年11月中旬より、同じパナソニック製の加湿空気清浄機との連動が予定されていますので、外出先からエアコンと加湿空気清浄機の電源を同時にON/OFFできるようになります。
・【第3位】富士通ゼネラル nocria Xシリーズ AS-X25K-W
「進化して学習する」をコンセプトとしたAIエアコンです。デュアルプラスターのハイブリッド気流は、温度と速さの異なる気流を生み出すため、「冬は足元から暖かく」「夏はムラなく涼しく」を実現しています。これはAIが温度ムラや体感温度を予測し、快適な空間を作っているのです。また、スマートフォンとも連動し、エアコンのON/OFFをスマートフォンのアプリからコントロールすることができます。
・【第4位】シャープ Airest AY-L22P-W
業界の規格(JEM1467)を満たし空気清浄機と名乗れる唯一のエアコン。集じん脱臭フィルター(細かいチリやほこりを集めて脱臭)を吸い込み口全面に搭載しているためデザインが特徴的です。PM2.5やタバコ、ペットの臭いなどもまるごと脱臭可能になっています。もちろん、最高濃度のプラズマクラスターNEXTも搭載済みです。
●10〜14畳の部屋におすすめのエアコン3選
・【第1位】 パナソニック インバーター冷暖房除湿タイプ ルームエアコン CS-X280D
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高濃度の「ナノイーX」によってエアコン内部の油分まで分解し、ホコリの付着を防ぐことができる10畳用(冷房:8〜12畳、暖房:8〜10畳)の単相100vエアコンです。新・フィルターお掃除ロボットが搭載されており、自動排出方式からボックス方式への切り替えによって隠ぺい配管にも対応できます。
また、夏場の猛暑でもパワフルな冷房運転を持続させることができる、50℃まで対応した室外機を使用しているのも魅力のひとつです。
・【第2位】日立 ルームエアコンXシリーズ RAS-X28K
日立オリジナルの「凍結洗浄」は、熱交換器を凍らせ霜を一気に溶かすことで、汚れを洗い流す仕組みです。「くらしカメラAI」が部屋の状況をチェックしているため、汚れがひどくなる前に自動清掃。さらに従来機種では掃除ができなかった暖房シーズンにも対応しています。一年中自動運転が可能になりました。
・【第3位】富士通ゼネラル nocria Xシリーズ AS-X28K-W
温度と速さの違う2種類の気流を操り、ワンランク上の快適空間を作り出す「nocria Xシリーズ」。冷房使用時の風も冷たすぎないため、冷房が苦手な人にも最適です。熱交換器を55℃に加熱することでカビ菌99%分解・除去、細菌を99%除菌。室内機内部を清潔に保ち、綺麗な空気を吹き出します。既に付着してしまったカビや菌にも効果が期待できます。
●15畳以上の部屋におすすめのエアコン3選
・【第1位】富士通ゼネラル nocria Xシリーズ AS-X56K2
温度と速さの違う2種類の気流を操る、デュアルブラスターが特徴的です。さらに複眼ふく射センサーを搭載し、温度ムラを予測。よりきめ細やかな空間のオーダーメイドを可能にしています。また、無線LANアダプターを内蔵し、スマートフォンやスマートスピーカーとの連動も可能です。
・【第2位】 三菱 霧ヶ峰 MSZ-GE5620S-W
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床温度センサー 「フロアアイ」を搭載した18畳用(冷房:15〜23畳、暖房:15〜18畳)のエアコンです。一般的なエアコンに搭載されている温度センサーは、お部屋の上部の空気温度を測るため、人の近くの温度を正確に測ることはできません。しかし、このエアコンはそれらの温度センサーとは異なり、赤外線でお部屋の床温度を測るため、人の近くの温度や、熱を発しやすいパソコン周りの温度などを測ることが可能です。
また、前面パネルやフラップなどを取り外してお手入れできる点も魅力のひとつ。左右風向フラップを開閉させることができるシンプルな構造のため、通風路の中までしっかりと手が届きます。
・【第3位】東芝ライフスタイル G-DTシリーズ RAS-G562DT-W
P.M2.5を99%除去、PM0.1レベルの粒子除去ができるのは、東芝オリジナルのプラズマ空清のみです。花粉やホコリのほか、PM2.5など空気中の汚れを、「プラズマ空清ユニット」によって屋外に排出してくれます。また、美しい空気を保つには、フィルターやダストボックスの掃除が欠かせませんが、掃除に時間や手間はできるだけかけたくないものです。東芝独自の自動お掃除機能「プレミアムクリーン」によってダストボックスを取り外すことなく、掃除機を使い、簡単にお掃除することが可能です。
まとめ
エアコンは、他の家電製品よりもメーカー独自の機能が多いため、理想の1台を選ぶには情報収集が欠かせません。ぜひ今回ご紹介した製品情報をお役立てください。
また、エアコンを購入する前には、設置場所とともにメンテナンスについても考えておきましょう。こまめな掃除が苦手な場合は、自動掃除機能が搭載された製品を選ぶとよいでしょう。そのように部屋の広さや求める機能と照らし合わせて理想の1台を選んでいきましょう。
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