私がガーデニングに精を出している理由の97%は、ご近所がほめてくれることです。
そのため、Instagramで園芸家Cynthia Stringham氏のアカウントを発見し、彼女が育てたフラワーウォールの写真を見た時に、こう思いました。「ご近所に庭をほめられたいなら、これだ」と。
Stringham氏が毎週金曜に投稿する動画には、自宅のフェンス沿いの植え込みを花々が覆いつくすフラワーウォールが映し出されていました。ありとあらゆる色、形状、大きさ、高さの花々が絶妙に配置されていて、まるで絵画のようです。
フェンスはほとんど隠れていて見えず、その代わりに、咲き乱れる花そのものが壁のようになって敷地を縁どっています。
それほど見事なフラワーウォールを仕立てられるのは、Stringham氏が、花や野菜の苗を育てて販売するプロの園芸家だからです。一方の私は、趣味としてガーデニングを楽しんでいるだけなので、自分でつくるなど到底無理だと思っていました。
けれどもうれしいことに、Stringham氏がInstagramにフラワーウォールのデザイン案を投稿してくれたので、それを参考にして、自分のフラワーウォールをガーデニング用のノートにデザインし、花の種を買いはじめてみました。

フラワーウォールとは
花壇は、言ってみれば、混みあったコンサート会場です。つまり、すべてが同じ高さだったら何も見えません。
家の正面にはたいてい、敷地の境界を区切る壁やフェンスがあり(単なる地面の時もありますが)、そこに、同じ高さの庭木や低木、花、グランドカバーなどが植えられています。
背丈のそろった花々もたしかに素敵ですが、そばまで行って上から見ないと、すべての花を鑑賞できません。
そこで高さをそろえず、種類の異なる花々を、奥から丈の高い順にすべての花が見えるように植えたのがフラワーウォールです。
そのように配置すれば、花壇が、スタジアムにある階段状の観客席のようになります。
フラワーウォールを設計するには
Stringham氏のデザインは、とてもシンプルです。図案を見ると、さまざまな種類の一年草を、丈の高い順に、間隔を詰めて配置しています。
花の種類が多く、かわるがわる咲くので、花のシーズンのあいだはずっと、たくさんの花が咲き続けているように見えます。

Stringham氏は基本のつくり方として、まずヒマワリを植えることをすすめています。ヒマワリほど背の高い一年草はなく、いちばん後ろの列で、高さ2~4メートルほどのそびえ立つ黄色い壁になってくれるので、デザインの基盤になるのです。
あとは、ほかの植物を背丈順の列に分けていきます。高さ1.5~2メートルの列に植えるのは、コスモス、レースフラワー、ポピー、ジギタリス、アザミに似た花が咲くアーティチョークなどです。
次に来る、高さ90センチメートル~1.5メートルの列をつくる花はたくさんあります。ジャイアント・ジニア(草丈が高く大輪の花をつける系統のヒャクニチソウ)などがそうです。
最前列は、高さ90センチ未満の植物となり、ストックやキンギョソウ、多年草のサルビアなどが選べます。最前列の端には、グランドカバータイプの小さな花を植えてもいいかもしれません。
配置を紙に描き出したら次は、季節や開花時期、それに配色も考えてみましょう。色とりどりの花を植えるのも素敵ですね。
けれども、花の色にはピンクやラベンダーや白が多いことに気づいた私は、意図的に宝石のような色合いの花を選び、オレンジや赤、黄、紫、マゼンタ色の花が一面を埋め尽くすようにデザインしました。
何年か続けていくと、春に咲くキンギョソウや秋に咲くコスモスなど、シーズンを通して何かの花が咲いているように、開花時期の異なるものを選んで細かく調整できるようになります。
多年草と一年草、花と野菜を組み合わせる
私は今年、Stringham氏の庭を実際に見に行きました。驚いたのが、庭が意外にも小さかったことです。高さを変えて植えることで、ずっと大きく見えていたのです。それに、私も間隔を詰めて植えているのに、Stringham氏の花壇のほうがとてもよく茂って見えました。
秘訣は、ニンジンやキャベツ、レタスを花のあいだに混ぜて植えることだそうです。花だけを植えるより、そのほうが密に茂って見えます。
私は、自分のフラワーウォールについて考え直しました。すでにアーティチョークは植えましたし、ジギタリスも何年も前からあります。サルビアとポピーに加えて、アスパラガスにダリア、デルフィニウムも植えました。
これらはすべて多年草なので、季節がくれば再び咲きます。あとはそれらの配置を考えるだけでした。

多年草は、フラワーウォールのベースにもなるのです。巨大なアーティチョークと、色鮮やかな花々が一定のパターンをつくり出し、そのすき間から一年草が顔をのぞかせます。
色の決め手となる大きな花のいくつかは一年草です。特にジニアは、背も花の大きさも様々ですが、大輪を咲かせる品種なら、高さ90センチ~1.5メートルの列に植える花としてぴったり。
センニチコウやケイトウは、背の低い列に、おもしろい形で配色を施してくれます。一年草は、春が来るたびに植え付ける必要がありますが、これは、毎年いろいろな花を入れ替えられるということでもあります。
また一年草でも、シーズン終わりまで植えたままにしておけば、やがて、こぼれた種が自然に芽を出すでしょう。
フラワーウォールを育てていく
近隣の園芸店に行けば、花の苗を購入できますが、自分で種から育てたほうがずっと安く済みますし、本当に欲しい品種を厳選することもできます。

パッケージの写真をあれこれ吟味して、気に入ったものを見つけたら、あとはそれらをどの列に植えるか決めるだけです。
種から育てた苗を植えつける際には、奥から手前の順に作業を進めましょう。株の間は15~20センチほど空けます。花に栄養を与えるために、土に緩効性肥料を混ぜると効果的です。
マルチングとしてバーク(樹皮)チップで地面を覆うと、土の温度が上がらないので、水やりの回数が減りますし、花を暑さから守れます。
ストックなど、一度しか咲かない花もあるので、必要ならシーズン中でも植え替えましょう。
ほとんどの花は咲いているあいだに摘み取ってやると、さらに花つきがよくなります。摘み取った花は、家の中にも飾ることが可能です。

太陽の方角を向いて咲く花もあります。私の家でもヒマワリが、家から私が見る側とは反対の方向に咲いて、ご近所さんの目を楽しませていることでしょう。
フラワーウォールは一般に、季節を重ねて成長させていくものです。とても楽しい作業ですし、植物の多様性も豊かになります。そして、美しい花々に彩られたあなたの家は、皆さんの目を惹くことでしょう。
Source: Instagram, The 42nd Street Greenhouse, PBS Utah