Inc.:私は20年ほど小さなビジネスをやっています。これまでに何千人もの人に会いました。たくさんの社員、請負業者、サプライヤーを雇ってきました。数えきれないほどのお客様に、商品やサービスを買っていただきました。それだけ長くやっていれば、相手の嘘ぐらいすぐに見抜けるだろうと思われるかもしれません。でも、それは間違いです。長年の経験をもってしても、デスクの向こうに座っている相手が本当のことを言っているかどうかは、まるでわからないのです。たとえ1時間話したとしても、結局その人と一緒にビジネスをやるかどうかは、直感で決めています。

だから私は断言します。就職面接は無駄だと。前々からそう思っていましたが、先日それを裏付ける研究報告を見つけたので紹介します。

イェール大学経営大学院で経営学とマーケティングを教えるJason Dana助教が、私の経験を実証してくれました。彼はNew York Timesの記事において、現在就職面接と呼ばれているフリーな形式のものは、ほぼすべて「ムダ」と述べています。そして、それを裏付けるデータを提示しています。その例がこちら。

・1979年、テキサス大学メディカルスクールが学生を増やすように命じられ、過去に面接段階で不合格となった50人以上の学生を入学させました。入学後、彼らは他の学生となんら変わらない成績を収めたそうです。

・Dana氏は、学生に、自分で面接をした相手としていない相手の将来の成績平均点(GPA)を予想させました。面接していない相手の成績予想時には、過去の成績と授業スケジュールのデータを使いました。その結果、面接していない相手の予想のほうが正確でした。つまり、面接はかえって逆効果だったのです。

・同じ研究で、面接を受けた半数は質問に正直に答え、残りの半数はでたらめなアルゴリズムに基づいてランダムに答えるように命じました。その結果、面接を行った学生はそれに気づかなかっただけでなく、ランダムに質問に答えた学生のほうが高い評価を受けました。

さらに驚くべき結果があります。Dana氏がこれらの結果を別の学生グループに伝えたところ、ランダムに答えているとわかっていても、実際の背景情報のみで予想するよりも、ランダムな面接に基づいて予想するだろうと答えた人が大半だったそうです。

まとめると、面接はまったくのムダなのです。

Dana氏は、フリーな形式で体系化されていない会話をする面接よりも、各候補者に同じ質問をするような、体系的で形式化された面接が適しているのではないかと考えています。しかし、まだその仮説を裏付けるようなデータは得られていないそうです。おそらく、近い将来それが証明されるのではないでしょうか。

それでも私は、志望者とのインタビューをどんどん楽しめばいいと思っています。相手を知るのは悪いことではないし、明確な危険信号が見つかるかもしれません。でも、直感を過信するのも危険です。私の場合、おそらく直感の半分は間違っていますから。ですから、過去の業績を見て、紹介者や以前の雇用主と話し、「Checkr」などのツールを使ってバックグラウンドサーチを行い、「Hire Success」などのサービスで事前テストをやってみるのもいいでしょう。

そのうえで、正真正銘のフルタイムで雇う前に、90日間の試用期間を置くことを検討してみてください。面接も悪くはありませんが、それで何かがわかるわけではりません。直感に頼るのもいいですが、本当に優秀な人材かどうかは、実際に働いているところを見なければわかりません。