この数年、一気にキャッシュレス決済の利用が増えたという人は多いと思います。私自身、財布に1万円以上持たないことが増えていますし、5千円も入れておけば半月以上はもちます。

それくらいキャッシュレス決済の利用シーンが増えているということです。

コロナ禍で現金のやりとり、手の接触を減らすことを目的として、キャッシュレス決済が「新しい生活様式」でも推奨されています。

キリのよい50円単位にメニュー価格を改定するなど、現金払いにこだわり続けたサイゼリヤでさえ、ついにキャッシュレス決済に対応したのですから時代の変化を感じます。

ところでこのキャッシュレス決済、利用シーンの新機軸として「お年玉」はどうか、というユニークな調査結果が公表されています。

「キャッシュレスのお年玉」に過半数の親が賛成

ファイナンシャルアカデミーの調査によれば、子を持つ親の54%が、キャッシュレス支払いでお年玉を渡すことはアリではないか、と考えているというのです。

2019年の同調査では賛成派が34%だったそうで、この数年で一気に過半数超えをしてきたということになります(昨年初めて51%と過半数に達しました)。

お年玉といえば、ポチ袋にお札が入っている、という印象がありますが、キャッシュレスお年玉は現実的に運用可能でしょうか。

現実問題として「キャッシュレスお年玉」はうまくいくか?

キャッシュレス時代の1つの象徴として、「キャッシュレス決済お年玉」は興味深いものがあります。もしかすると10年後くらいには現金支払いのほうが違和感がある時代になるかもしれません。

しかし、現状においてはキャッシュレスお年玉にはいくつか課題がありそうです。たとえば3つほど、課題が思い浮かびます。

1. 子どもがキャッシュレス決済を使いこなしている必要がある

子どもがスマホやICカードを持ってキャッシュレス決済を使いこなせていることが大前提。そうなると小学校では微妙、中高生のお年玉などが対象となるか。

2. 子どもの利用するキャッシュレス決済に対して、送金できる必要がある

元旦にお年玉を渡すという「儀式」を行ないたいなら、目の前でスマホアプリ等を使って送金をするか(すべての電子マネーが送金可能ではない)、ICカードを預かって前日に入金をしておくという手間がかかる。

3. お年玉の使い道がそのキャッシュレス決済方法に限定される問題がある

お年玉を握りしめてすぐさまお買い物にでかける、という子どももいるでしょう。しかし、行きたいお店がそのキャッシュレス決済方法に対応していない場合(たとえば小規模のファッションブティックで服を買いたいなど)、せっかくのチャージ残高も宝の持ち腐れになってしまう。

そうなってくると汎用性の高い「Suica(交通系ICカード)」を軸に考えるのが現実的で、もっとも利用シーンが広くなります。

一方で送金はQRコード決済のほうが便利です。対面して年始の挨拶をしたあと、「では今からお年玉を送金する(とスマホをいじる)」というような演出ができます。

キャッシュレスの1つとしてプリペイドカードを使うことも考えられます。

コンビニでAmazonやApple、任天堂などのプリペイドカードを買ってお年玉にあてる方法もありますが、これも使途が限定される問題があります(図書カードの場合は、あえて「本を買いなさい」と使途を限定する狙いがあったわけですが…)。

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Image: Shutterstock

おこづかいのキャッシュレス支給はあり、現金と併用は一考

キャッシュレスお年玉については悩ましさもある一方で、「キャッシュレスおこづかい」や「キャッシュレス食費払い」などはアリだと思います。

たとえば電車通学をする子どもであれば、Suica等の交通系ICカードを使っています。そこに1週間分の外食費を定期的にチャージすれば、使えるロケーションで困ることはほぼないでしょう。

コンビニ、キオスク、ドラッグストア、スーパーのほとんどが決済できます。記名式Suicaなら紛失時にも利用停止をし、チャージ額を新カードに移すこともできます(手数料がかかります)。

マクドナルドやスタバ、ほとんどのファミレス等で友人と試験勉強する場合もキャッシュレス決済ができるので交友関係にもマイナスにはならないでしょう。

しかし、学内の生協や学食が現金のみとなっていたり、下校時に友人と飲食するラーメン店がキャッシュレス非対応という事情があれば、現金ゼロというわけにはいきません。ここが悩みどころです。

このあたりは、子どもの生活範囲、利用シーンをにらみながら考えていくといいでしょう。

キャッシュレスおこづかいのデメリット

一方で、「キャッシュレスおこづかい・食費」の難点はキャッシュレスお年玉と同様にチャージにあります。

自宅のパソコンからICカードリーダーでチャージするようなことは現在行なえません(Suicaは2020年9月にサービス終了)。

駅券売機、コンビニやセブン銀行のATM等でチャージすることになりますが、これでは週末のたびにカードを預かってチャージしに行く必要があります。

かといって「現金5千円渡すからチャージしておきなさい」では、キャッシュレスに切り替える意味がありません(子どももチャージしないかもしれません)。

子どものスマホのモバイルSuicaに、自分のクレジットカードを連携して、スマホを直接いじって、その都度パスワードを入力、手動チャージする、という方法も考えられなくはありません。

ですが、あまりスマートなキャッシュレスおこづかいにはなりません(というか子どもにパスワードがバレたら大変なことになります)。もちろん、オートチャージは無制限利用になってしまうので、子ども用にはオススメできません

できればSuica等が、「モバイルバンキングアプリから送金してチャージ」とか「スマホ1つで私のクレジットカードから子どものSuicaにチャージ」のようになってくれるといいのですが…(繰り返しますが、QRコード決済の送金が便利なのと大違いです)。

おそらく、親から未成年への資金移動というのが、強く想定されていないがゆえの未整備状態なのでしょう。

ですが、できれば向こう数年くらいで改善が進むことを期待します。

さて、「キャッシュレスお年玉」試してみる?

さて、キャッシュレスお年玉の可能性と、実際に運用する場合の手法などを考えてみました。あなたの家庭では、2022年に「キャッシュレスお年玉」、トライしてみますか?

わが家のケースを紹介すれば、キャッシュレスお年玉はまだ見送りです。といっても、子どもが電子決済を使いこなせる年齢ではないことが主要因なので、キャッシュレスお年玉を否定しているわけではありません。

そもそも論としてアリかナシか、というレベルではアリだと考えています

現実的にはSuicaが利用の汎用性が高いので、選択肢に挙がります。「お年玉を握りしめて家電量販店へダッシュ! 」というときにも、決済できない心配はありません。

一方で、ポチ袋を渡すようにお年玉を渡す儀式の風情のようなものはあっていいと思うので、悩ましいところです。

ポチ袋の中に1万円チャージしたSuicaが入っているというのは、おもしろいけどスマートではないですね(電車利用時に子ども用Suicaを与えているのに、あえて別のSuicaを渡すことになります)。皆さんもぜひ、「キャッシュレスお年玉」について一考してみてください。

山崎俊輔

フィナンシャルウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー。夫婦で共働き、共家事、共育児しながら子どもふたりを育てている。

Source: PR TIMES, JR東日本