これだけは知っておきたい「経済」の基本と常識 改訂新版』(吉野薫 著、フォレスト出版)は、2008年に出版されて以来ベストセラー実績を生み出してきた経済入門書を、7年ぶりに大幅改訂したもの。その冒頭では、2008年版に掲載されていた書き出しが引用されています。

経済は難しい。あなたはそう思っていませんか?

確かに現実の経済では、たくさんの複雑な現象が絡み合っています。 しかし、その背後にある仕組みは、決して複雑怪奇なものではありません。

背後にある仕組みをよく理解して経済を見れば、一見複雑に思えるようないろいろな現象もスッキリ整然とあなたの目に映ることでしょう。(「はじめに 経済が見えると、社会も見えてくる」より)

当然のことながら、改訂版である本書の根底に流れているのも同じ考え方。その狙いは、「経済の大本にある仕組みは、時代を超えても生き続ける」ということなのだそうです。

現在、日本や世界の経済は複雑さを増しています。しかもSNSなどを通じ、経済に関するさまざまな意見や見方が世界中を飛び交ってもいます。そんな時代だからこそ、改めてきちんと「大本の仕組み」を理解しておく必要があり、またその意義も大きいわけです。

なお本書に関して特徴的なのは、経済学の教科書のように、学術的な厳密性を追求しているわけではないところ。現代の経済学および経済事象のトピックスを取り上げつつ、経済の仕組み全体を大づかみに、かつわかりやすく説明しようとしているということです。

きょうは、経済を考えるうえでまず必要な知識について解説された「経済の基本中の基本」に着いて触れた第1章「経済を知るはじめの一歩」のなかから、2つの基本をピックアップしてみたいと思います。

経済活動とはなんだろう?

私たちは日常的に、欲しいものを買ったり、会社で働いてお金を稼いだり、金銭的なやりとりを含む行動をしています。もしかしたら、当たり前すぎて意識する機会は少ないかもしれませんが、いずれにしても「経済活動」とは、そういった行動のひとつひとつを指すもの。

もう少し丁寧にいえば、「経済活動」とは各「経済主体」(筆者注:主役である「家計」「企業」「政府」に「海外」を加えた4つ)が限られた経済的な条件(収入、保有資産、時間など)を踏まえて意思決定をし、それに基づいて行動することすべてを指しています。(22ページより)

では具体的に、もっとも身近な「経済活動」である「買い物」が、どういった金銭的なやりとりを伴った行動を引き起こすのでしょうか? そのことについて確認してみましょう。

たとえば書店で1冊の本を買ったとしたら、その代金は書店の売り上げや利益の一部になります。ひいてはそれが書店員や出版社の従業員の給料になり、本の著者の印税にもなるわけです。

また、書店が店舗を借りて営業しているのであれば、本を購入するために支払った代金は、店舗の賃料の一部にもなるでしょう。このように、買い物で支払った対価はさまざまな人たちに分配されていくということです。

そして彼らは、そうやって得た所得で買い物をすることになります。利益を得た書店は、新しい陳列棚を購入するかもしれません。

つまりはこうして、さらにたくさんの人たちへとお金が回っていくのです。ここからもわかるように、買い物に寄って支払われるお金は、人々の手から手へと渡り、誰かの生活を支えていくということ。したがって私たちの暮らしは、多種多様な「経済活動」によって構成されているということになるのです。(22ページより)

そもそも「経済」ってなんだろう?

しかし、そもそも「経済」とはなにを指すことばなのでしょうか? この問いに対して著者は、「社会全体で日常的に行われている経済活動と、それによって引き起こされる社会的な現象のすべてが『経済』」なのだと答えています。

すなわち、どこか遠くで研究されている難しい現象ではなく、わたしたちにとってごく身近なものだということ。まずは、そこをきちんと押さえておく必要があるようです。

もともと「経済」ということば自体は、明治維新の際に日本に紹介された「エコノミー」の訳語として、福沢諭吉がつくったといわれているそうです。漢籍(中国の書物)における「経世済民」(けいせいさいみん:世を収め、民の苦しみを救うこと)ということばを略したもの。

そんなところからもわかるように、背景には「世の中をよくし、国民が幸せになれるように」という理念があるわけです。

なお「エコノミー」ということば自体は、ギリシャ語で「家政術(家計の管理方法)」、転じて「国家をうまく運営する」という意味の語源を持っているのだとか。

とはいえ先述したとおり、現代的な意味における「経済」とは、私たちの身近で行われている活動を含んだ広い意味としてとらえるのが適切だと著者は記しています。なぜなら私たち自身が社会の一員として、「経済活動」を通じて経済に対して少なからず影響を与えているから。

そう考えると、経済がきわめて近い距離内にあることがわかるのではないでしょうか?(24ページより)

たとえばこのように、とかく難しそうに思ってしまいがちな経済の基本がわかりやすく解説されています。しかも、経済の仕組み、物価と為替の動き、「お金」の対極的な流れ、日本経済の動き、日本経済の未来と、扱われているトピックスは多種多様。

経済学はお金儲けに直接役立つ学問ではないものの、経済の仕組みを学ぶことには大きな意味があると著者は述べています。なぜならそれは、多様な姿を見せる社会を理解するための助けとなり、自分自身にとっての財産にもなるはずだから。

そこで本書を活用し、改めて経済の基本を押さえておきたいところです。

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Source: フォレスト出版