“説明”はなかなか難しいものですが、『あてはめるだけで"すぐ"伝わる 説明組み立て図鑑』(犬塚壮志 著、SBクリエイティブ)の著者によると、「できる人の説明」にはひとつの特徴があるのだそうです。それは、説明する相手や目的、シチュエーション(制約)に応じて、話の組み立て方を変えているということ。
そこで著者は本書において、「相手にわかってもらいたい」目的やシチュエーションに合わせた最適な順序を「型」にしてまとめているわけです。
ポイントは、自分が説明しやすい順に組み立てるのではなく、「説明の目的に合わせた必要な要素を、聞き手にとって理解しやすいベストな順番で伝える」ことを意識した型であること。
また本書では、説明する目的を「わかってもらう」だけにとどめていないのだとか。
「わかってもらう」とは、つまり、新しいことを頭に入れてもらったり、違う視点で考えてもらったりすることです。
それを前提とし、説明の目的によっては「行動を変化させ」、さらに、「行動の変化を持続させる」ことまでを視野に入れた組み立て方について紹介しています。(「はじめに」より)
きょうは第5部内の第11章「話し始めに聞き手の心をつかみたい」のなかから、「『ニュース』の型」をピックアップしてみましょう。
最新の話題で興味を引く型
ポイントフレーズ:「今朝、●●がありましたね」
使いどき:伝えたい本題に相手を食いつかせたいとき、説明の冒頭で用いるのが効果的です。(280ページより)
伝えたい本題に興味を持ってもらうため、説明の冒頭に“メインテーマの前振り”として用いるのが効果的な型。人間の「新しいもの好き」という性質を利用したものなのだそうです。
「新商品」や「新サービス」、または「新着」や「新刊」など、「新◯◯」に目がない人は少なくないもの。
つまり人には、「最新」や「更新(アップデート)」、「革新(イノベーション)」など、「新」がつくことばには目を奪われやすくなる傾向があるということです。
これは、新しい情報を求める「拡散的好奇心」が刺激されるからです。この「拡散的好奇心」は、人間に本質的に備わっている認知能力です(Berlyne, 1960)。
すなわち、このようなヒトの本能を刺激する情報を、伝えたい本質の前振りとして用い、相手の耳をこちらに傾けてもらう、それがこの「ニュースの型」だということ。(280ページより)
組み立てStepの説明
Step 1:「今朝知ったことなのですが、……」
まず伝えるのは、本題に関係するニュース。「つい先日、耳に入ったことなのですが…」「最新の研究によると…」というように、情報の新しさをアピールすることが鍵。ただし、本題の邪魔にならない程度に、コンパクトに伝えることが重要。
また、専門性が高く、説明に時間がかかってしまうようなニュースは極力避け、相手にとって理解しやすいライトな内容を選ぶことも大切だそうです。
Step 2:「このニュースに関係したお話を今日はしたいと思います」
「本件に似た事案をこれからお伝えいたします」のように、本題がそのニュースと関係していることを伝えるということ。
あからさまな表現でなくとも、「このことに近い話で…」「「これに似た話が過去にもありました」というようなフレーズでも十分に効果があるといいます。
Step 3:「その話がこれです」
本題のテーマを伝えるのがこの部分。前振りで伝えたニュースと関係が薄かったとしても、ここは半ば強引に紐づけてしまって大丈夫だそう。(282ページより)
組み立てポイント
「ニュース」からは少しそれるものの、「トレンド」や「流行」などのキーワードを混ぜるのも効果的。「この商品は今年のトレンドで…」「これはいま、流行りの色なんです」などのフレーズを用いることで、新しさを演出できるのです。
つまり、「トレンド」や「流行」についても、新しい情報を仕入れなければ取り残されてしまうかもしれないという、人間の憶測で沸き起こる感情を刺激するわけです。
これらは「最新」であり更新(アップデート)された「新着情報」であるため、先に触れた「拡散的好奇心」を刺激することが可能。そういう意味で、「ニュース」と似た性質があるということです。(282ページより)
具体例
Step 1:昨日、公開されたばかりの、省庁の不正を暴くノンフィクション映画を観に行きました。 Step 2:この映画のストーリーと似た話が、過去に私が監査に入ったある行政機関でもありました。 Step 3:本日は、「なぜ、公務員の不正はなくならないのか?」について書いていきたいと思います。(283ページより)
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このように本書では、説明の目的やシチュエーションに合わせた80種もの型が紹介されています。それらを使いこなせば、説明に関するコンプレックスを解消できるようになれるかもしれません。
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Source: SBクリエイティブ