有名な経営者や世界的なトップリーダーのなかには、ランニングを習慣にしているという人が少なくありません。在宅ワークの普及とともに、ランニング人口はますます増えているといわれます。

しかし、この1年半続いたコロナ禍で、東京マラソンや各地のあおぞらマラソンなど、多くのランニング大会が中止や延期を余儀なくされてきました。

そんな中、これからの街や公園とランナーの関係性を考えるイベント「NB TEST RUN SHIBUYA」が、代々木公園で開催されました。“新しいランニング”について考える、という本イベントについてレポートします。

「街ラン」の魅力と意義

代々木公園は、東京が世界に誇るランニングスポットであり、遠くからも多くの人が訪れる場所であると同時に、渋谷・原宿など東京でも指折りの多くの人が集う街のすぐ隣というロケーション。街とランナーの関係を考えるのに最適な場所です。

当日は快晴。公園内に作られた1マイルのコースを走るマイクロレース「YOYOGI PARK FKT TEST RUN」が行われる予定で、午前9時前から多くの人々が思い思いのスピードで走っていました。

代々木公園原宿門を入ったすぐのパノラマ広場では、「これからの、街を走る」を考えるRUNNING MEET UPが開催されました。

走ることで街へ還元」をテーマに、イーデザイン損保の茂谷逸平さんと、フルマラソン8回を完走するなどランニングが生活の一部となっているというタレントの三原勇希さんが登壇。走ることが街への貢献にどうつながるのかについて、司会の山本まさみさんを交えて語り合いました。

まず、「9track(ナイントラック)」というランニングチームに参加している山本さんが、最近「バーチャルニューヨークシティマラソン」に参加し、世田谷から渋谷、皇居、両国を通って清澄白河までを走った話を披露。

普段は電車や自動車で通り過ぎるだけだった街の知らなかった部分を発見できたと話したことを受けて、茂谷さんと三原さんからは、今まで知らなかった店や場所を見つけられ、街の魅力を再発見できるという話がありました。

「今まで見逃がしていた魅力を発見することで街に愛着がわくし、走るだけじゃない体験につながる」と茂谷さんが話すと、「検索ではたどりつけないものを発見できるのが街ランの魅力」と三原さん。

歩く、走る、自転車に乗るといった移動にポイントがつく「ノルク」とは

さらに、茂谷さんからは新しいサービス「ノルク」の紹介がありました。「ノルク」は歩く、走る、自転車に乗るといったすべての移動手段に対してマイルがつくアプリ。ポイントは「より健康でエコな手段だとマイルが貯まりやすい」という点です。

例えば、自動車なら移動距離1マイルにつき1マイルであるのに対して、同じ距離の移動でも自転車なら5マイル、ランニングや徒歩なら10マイルが貯まる、という具合です。

その企画意図について、茂谷さんはこう話しました。

「歩いたり、走ったりすることが健康やエコにつながるというのもそうですが、ノルクを使っていただくことで自動車以外の交通手段、つまり公共交通機関の利用を促進し、渋滞を減らして交通環境を改善したいと考えています」

今回のイベントでは、その体験版をイベント参加者にダウンロードしてもらい、実際に使ってもらいました。

今回、参加者全員が走った分のマイルは、「街に還元する」というテーマに沿って、代々木公園にゴミ拾いグッズを寄付されましたが、ローンチ時には貯まったマイルは食事や買い物など、さまざまなサービスに換えることができるといいます。

アプリは一度ダウンロードすれば、スマホを持ち歩くだけで日本全国どこでも使える仕様。ランニングはもちろん、通勤・通学や買い物など、自分の日常生活の一部がそのまま街の環境をよくすることにつながると思うと、毎日を充実した気持ちで送れそうです。

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アプリをダウンロードして持ち歩くだけでポイントがたまっていく

街を走ると解像度が上がり、より好きになる

続いて、「走りたくなる街について考える」をテーマに、ランナーのためにさまざまなサービスを提供する「Runtrip」代表の大森英一郎さん、朝食を食べるためにランニングするコミュニティ「ランニングと朝食」主宰の林曉甫さん、東急不動産株式会社の東海林宏宣さんが登壇。

司会の山本まさみさん、ニューバランスジャパンの前川貴宏さんも加わり、意見を交わしました。

大森さんは、走りたくなる街に「ロケーション」と「コミュニティ」という2つの面からアプローチすることを提案。「ロケーション」という面で、林さんが「走りたくなる街とは何かというより、走りたくなる街にする、街を発見する」として、こう語りました。

「1人ではなかなか続かないし、朝食という目的がないと続けられないと思ってコミュニティを立ち上げた。仲間と走ることで続けることができ、そうすると街の解像度が上がってその街を好きになる

「コミュニティ」という面については、東海林さんがデベロッパーとしての新たな試みを紹介。

「街を開発するというハード以上に、コミュニティを支援するソフトが大事」として、「未来シェアリング」=新しい未来を作るという目的のもと、現在再開発中の渋谷・桜丘エリアでは複数の会社とのコンソーシアムを作り、それぞれの得意分野を持ち寄る方式をとっているとのこと。

その中には、街を走ってきたランナーが入れるようなサウナ施設を作る計画があることを明かしました。

1人で走る楽しさもありますが、誰かと一緒に走ることで、自分1人では知ることがなかった街のいいところに気づいたり、街への新たな視点を得られたり。ランニングコミュニティは、街を能動的に楽しみ、幸せを感じながら生きるための1つの形かもしれません。

走ることで社会貢献できると、自分の人生も豊かになる

MEET UP終了後、参加者が街に出て、ジョギングしながらゴミを拾うブロギングをしたり、おいしい朝食を目指して実際にランニング。街を見て走りながら、何が街に還元できるのか、走りたくなる街とは何かを考えてもらう機会となりました。

自分の健康維持のためであったり、自分自身を高めるためであったり、走る目的は人によってさまざま。社会貢献とは一見何も接点がないように思えますが、ちょっとしたことで、自分のためのランニングが街や社会のためになるランニングに変わります。

それは走るモチベーションを高めると同時に、きっと、走った後の満足感もより高めてくれるはずです。

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Source: NB TEST RUN SHIBUYA, 9track, Runtrip, ランニングと朝食