著者いわく、『ネットに詳しいだけでネットマーケ担当者になってしまった人が本気でマーケターを目指す本』(佐藤昌弘 著、フォレスト出版)は“最新のネットマーケティング入門書”。
具体的には、
・「君、若いからさ、よくスマホを見ているから詳しいでしょ?」っていうだけで、勤務先の会社でネットマーケティング担当になっちゃった!
・いよいよネットマーケティングを本格的にやらなきゃと思って始めたけど、何から手をつけたらいいか混乱中……。
・インスタグラムやTwitterでマーケティング活動をしているつもりだけど、本当にこれでいいのか? 疑問がいっぱい。
(「はじめに」より)
という人に向けられているのだとか。業種・業態は問わないものの、お金も人材も限られている中小企業、あるいは個人を意識した内容になっているようです。
著者は経営コンサルタントとして、個人事業主から上場企業まで、これまで5000件以上の相談に乗ってきたという人物。常に変化していくネットマーケティングの世界をウォッチし、企業のサポートをし、多くの成功事例やノウハウを蓄積してきたそうで、本書ではそれらを体系づけながら公開しているわけです。
きょうはそのなかから、第2章「マーケティングの基本。真のターゲットを見つけろ!」に注目してみたいと思います。
誰をお客さんにするか?
ネットに限らず、マーケティングにおいてまず最初にすべきは、「誰をお客様にするか」を決めること。それは「ターゲティング」とも呼ばれます。
「あなたのお客様は誰ですか?」
これにきちんと答えられなければいけません。
(46ページより)
「ターゲティングなんか当たり前のことで、とっくにやっている」という意見が聞こえてきそうですし、実際、多くの会社はちゃんとターゲティングをやっているのでしょう。
しかし、狙って撃っているつもりでも結局はずしているのなら、それはうまく狙えていない可能性が高い。著者はそう指摘しています。
ターゲティングは、事業がうまくいっているか、そうでないかという結果に直結するもの。儲かっているビジネスがあるなら、それは狙った結果か偶然かは別としても、ターゲティングができているわけです。(46ページより)
ターゲティングに必要な「客層・事情・感情」
著者はここで、「保湿美容液」を売るときのことを例に挙げています。
ネットマーケティングによって、保湿美容液のサンプルを請求してもらいたいと考えているケース。では、その保湿美容液のお客様は誰でしょうか?
■どのような「客層」であるか?=単語で説明できるお客さんの要素
・50歳(プラスマイナス3歳)
・女性
・主婦か、働いている主婦か、1人暮らし(夫と2人暮らしか、1人暮らし)
・既婚が多い
・夫の収入は1000万円くらいある、夫婦共働きなら1000万円超
・大学卒業が多い
・管理職、一般職、部下を抱えているリーダー職
・地理的な特徴などは、とくになし ■「事情」=必要性・事情・ニーズ・合理的な理由など
・いま使っている美容液が、もうすぐなくなる
・朝8時から夜9時まで長時間の冷房環境で働くため乾燥対策
・仕事をしていくうえで、必要最低限の美容は女性として必要 ■「感情」=感情・好き嫌い・欲求・避けたいなど
・50代になってシワが気になり始めた
・若づくりを頑張っていると思われたくない
・明確な理由はないが、いままでの化粧品に物足りなさを感じ始めた
・通勤電車の窓に映った自分が怖い顔でイヤだった
(51〜52ページより)
「どのような事情を抱えているか」は、必要性。
「いま使っている美容液が、もうすぐなくなる」などの必要性がなければ、人間は行動しないわけです。
ただ、もし必要性だけで消費が行われるなら、「なくなる美容液の代用品を補充できればなんでもよい」ということになります。しかし、そうはいきません。なぜなら、「どのような感情を持っているか?」が大事だから。
人間は感情がないと買わないため、必要性だけではだめだということ。
どんな客層が、どんな状況で必要性・事情を抱えており、どんな情緒・感情・葛藤を感じているのか? そこまで検討しなければターゲティングはうまくいかないわけです。
ちなみに、これは個人も法人も同じ。保湿美容液は一般消費者向けですが、B to Bの商品であっても、同じように「どのような客層が」「どのような事情で」「どのような感情で」の3つを分析する必要があるということ。
さらにいえば、ひとつの商材に対して、通常は2〜3種類のターゲティングが可能。
たとえば「オフィスワーカー」と「外回りの人」とでは違いますし、「50代の女性管理職」と「40代の外回りをするワーキングマザー」も種類が異なります。したがって、それぞれ別のターゲットとしてカウントしておくべきなのです。
そこまでターゲットが明確になれば、ネットマーケティングは難しくないはず。
この例であれば、ターゲットのひとつは52歳前後の管理職の女性なので、この層の人たちがよく使うプラットフォームにマーケティングを仕掛けていくことになるわけです。
① LINE広告
② そのほかのディスプレイ広告
③ 検索連動型の広告
④ インスタグラム広告
(54ページより)
具体的には、この辺りから着手するといいそうです。(51ページより)
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著者がいまネットマーケティングについて語ることには、明確な理由があるそうです。そのひとつが、新型コロナウイルスの影響でネットマーケティングの世界が大きく動いたこと。
「5年間で起きるはずの変化が1年に短縮され、急激な変化になった」ような時代であるからこそ、見方や考え方を改める必要があるということです。そのためのテキストとして、本書を活用してみてはいかがでしょうか?
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Source: フォレスト出版