物事に対するイーロン・マスクの取り組み方は、ほかの人とは違っています。多数の異なる分野に参入し、しかも成功させることで有名な彼は、持続的に週120時間働く方法を解明して実践しています。
また、自分のビジョンをどこまでも追求することでも知られ、億万長者でありながら5万ドルのごく小さい家に住んでいます。
物事を極めるためには、そのことだけに集中して取り組む必要はない、というのが彼の信念です。あらゆることに精通したいと考えている人には、さまざまな知識を増やすために複合的に学ぶマスクの手法が役に立つでしょう。
いくつもの分野を極めるマスクの能力は、すべての起業家にとって大変重要なスキルです。
マスクのように、太陽エネルギーの利用と宇宙旅行を同時に視野に入れていなくても、立ち上げたばかりのスタートアップの創業者であることは、たくさんの仕事を同時に手がけることを意味します。しかも、製品開発から販売、人事にいたるまで、多くのスキルが必要とされるのです。
基礎学習を徹底すると、全体の理解度が高まる
マスクは子どものころ、本を1日2冊読んでいました。ですが、膨大な知識を取り入れることだけが、マスクの学ぶ力に貢献しているのではありません。
実は、どれだけ多くの情報を取り入れるかだけではなく、どの情報を取り入れるかも重要なのです。マスクによると、まさにその点を、たいていの人が誤解しているそうです。
問題は、何か新しいことに夢中になったり、興味をもったりして、それを学ぼうとすると、人は最も面白い側面に飛びついてしまいがちだということです。
けれどもその側面は、かなり高度なものであることが多いのです。
別の言い方をすると、最も興味深い部分を学ぼうとして、基本を飛ばしてしまう傾向が多く見られるわけです。
でもそうすると、高度な部分も基本的な部分も、本当の意味で学ぶことはできません。しかも、1つの特定のテーマが習得できないのではなく、すべてのテーマが習得できなくなってしまうのです。
私たちの脳は、接続することによって情報を処理しています。オックスフォード大学の科学者たちによると、脳は、欠けている情報を埋めたり、情報同士をつなげたりするために、常に関係や関連性を見極めようとしているそうです。
つまり、わずかな知識のひとつひとつが接続可能な「参照ポイント」や「点」であるとするなら、その点が多ければ多いほど、素早く接続し、新しいテーマを学び、知識を倍加させることができるのです。1つのことを学べばそれだけ、まったく別のことをもっと簡単に学べるようになります。
必ずしも、知識が多い人のほうが賢いというわけではありません。ですが、幅広い知識を身につけると、その人の脳は、より多くの参照ポイントや点ができます。
だから、それほど多くの参照ポイントや点をもたない人よりも、ずっと速く新しい分野について習得できるのです。
すべてに深く通じていることが成功には不可欠
マスクは、膨大な量の基礎的な学習を通して、新しい分野について超人的とも思えるスピードで学ぶ能力だけでなく、ずっと大きな視野で物事をとらえる能力も身につけました。
このおかげで彼は、ほかの人には見えないものが見えるので、ほかの人とは違うやり方で物事に取り組むことができるのです。
やるべきことがますます増え続けるなか、創業者たちに必要なのは、多くのことに取り組み、それを成功させるための知識だけではありません。彼らは、少ない時間でさまざまな物事を素早く学ばなければなりません。
一通りこなせるだけではなく、すべてに深く通じていることが、スタートアップの成功には必要不可欠です。
幅広い知識をもち、参照ポイントが豊富にあると、より大きな視野で全体像をとらえることができます。たとえ、非常に高度な技術やテーマに的を絞ったとしても、です。
そして創業者たちは、こうした大きな視野の中で、マスクのように市場を創出し、多額の利益を生むビジネスを築くのです。
Source: fs, Science Daily
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