本音を伝えても関係が崩れないと信じられるとき、思っていることを正直に伝えられるようになるもの。そして大切なのは、ありのままのその人を受け入れ、安心してもらえる場をつくること。

人の話を聞く際には、そうしたことが大切だと主張しているのは、『話すより10倍ラク! 新 聞く会話術』(西任暁子 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者。

ラジオDJとして多くの番組を担当し、15年間で5000人を超える国内外の著名人にインタビューしてきたという実績の持ち主です。

しかし、それはなかなか難しいことのようにも思えるのですが…。

誰にだってできることです。自分から話すのが苦手な人でも大丈夫。

場づくりには、聞くことのほうが大切だからです。 安心な場をつくる聞き方の秘訣――それをひとことで言うならば、「相手の輝きを引き出すこと」

相手の良いところを見つけて、その人が輝く舞台をつくるような感覚です。そこでは、その場にいるすべての人が楽しくなるでしょう。

誰かの魅力に出会えることは、みんなにとっても喜びだからです。(「はじめに」より)

そのための方法が解説された本書のなかから、きょうはCHAPTER 1「相手を好きになる」に焦点を当ててみたいと思います。

「いきなり相手を好きになれといわれてもハードルが高すぎる」と思われるかもしれませんが、それは円滑なコミュニケーションを実現するための最初のステップだというのです。

相手の好きなところを見つける

相手を輝かせる最初の一歩は、その人を好きになること。

著者はそう主張しますが、とはいえ好きになるか否かについては感情が大きく影響するもの。事実、著者自身も、ラジオDJとしてインタビューしてきた人のなかには、興味を持てない相手もいたのだそうです。

そんなときは「聞きたいことが浮かばなくても仕方がない」とあきらめていたため、なかなかうまくいかなかったのだとか。

そこで考えたのは、好き嫌いを変えられないかということです。

振り返ってみれば、昔は興味のなかったことに今は興味があったり、苦手だと思った人と後から仲良くなったりすることはよくあります。

第一印象は、思っているよりもあいまいだと気がついたのです。(20〜21ページより)

ところが人間関係は、第一印象に大きく左右されるもの。最初に「苦手」「興味がない」と思ってしまうと、それ以上その相手のことを知りたいとは思えなくなるわけです。

そこで著者がすすめているのは、最初に感じたことがどんなことであれ、ちょっとだけその気持ちを横に置き、“その人のいいところ”を探してみること。すると不思議なことに、いままで気づかなかったいいところが見えてくるものだというのです。

そして大切なのは、どんなことでもいいので、心から「いいな」と感じること。たとえば、シャツの清潔感であったり、さばさばした印象であったり、まっすぐな目つきであったりーー。そうした“心から「いいな」と思えるなにか”を見つけることが重要だということです。

相手に対して「いいな」という感情を持つことができれば、やがて人と会うことが楽しみになっていくはず。しかも、慣れれば誰に会ってもいいところが見えるようになっていくため、気がつけば周囲はいい人ばかりになるそう。

そればかりか、人のいいところに目を向けていると、自分のよさも見えるようになってくるのだといいます。(20ページより)

会う前に3つのことをリサーチしておく

初対面の会話では、お互いの情報を少しずつ交換しながら、時間をかけて心を開いていくことになります。そんなとき、事前に相手のことがわかっていれば、心は自然に開きやすくなっていくものです。

そこで初対面の相手と会う前に、名前がわかる場合はSNSで検索したり、周囲の人に話を聞くなどしてリサーチしておくことが大切だと著者。その際には、次の3つのことを意識するとよいそうです。

① 自分との共通点

② 好きなところ

③ 聞いてみたいこと

(25ページより)

初めて会った人と、偶然同じ高校に通っていたことがわかったりしたら、当然のことながら話は盛り上がることでしょう。

他にも同じ出身地、同じ部活動、同じ趣味など、なんらかの共通点が見つかるとうれしくなりますし、「同じ」という感覚が安心感につながっていくことになります。

しかも相手の好きなところが事前に見つかれば、実際に会って、その魅力に触れられること、話を聞けること自体が楽しみになります。そのとき、具体的に聞いてみたいことをいくつか準備しておけば、会話のとっかかりもつくりやすくなるかもしれません。

ちなみに、リサーチを終えるタイミングを見つけるのは意外に難しいもの。相手を知れば知るほど、不安が和らぐような気がするからです。

ところが、準備をしすぎたインタビューはうまくいかないのだそうです。質問の答えを既に知っていると思ってしまい、興味を持って話を聞けなくなってしまうから。

ご縁をいただいて、せっかくお会いできたのです。

目の前にいる方との時間を、大切に過ごせたらいいですよね。

そのために行うリサーチの目的は、心を開いてワクワクした気持ちで初対面のときを迎えられるようにすることです。(26ページより)

したがって、リサーチしていく過程で「会いたい」「話を聞きたい」と感じたら、そこでリサーチはおしまいにすべきだといいます。(24ページより)

2015年1月に刊行された同名書籍に、新章「オンラインではどう話す?」を加筆し、全面的に文章をリライトした改訂版。最新のコミュニケーション・スキルも加えられているというわけで、さまざまな場面で役立ってくれそうです。

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Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン