完璧主義者であることは、良いことばかりではありません。
基準を高く持つのは基本的には良いことですが、何事も行き過ぎると問題となります。完璧主義も、適切に扱わないと、燃え尽きてしまったり、挫折感や自責の念に駆られてしまう可能性があります。
「完璧主義は、成功への意欲やモチベーションを高めてくれる」と、マスターソーシャルワーカーの資格を持ち、著者でもあるMelody Wilding氏が、米Lifehackerの取材に対して話しています。
しかし、長期的に見ると完璧主義が害をもたらすことがあります。長時間労働はワーカホリックや燃え尽きにつながるおそれがあります。
完璧主義者の多くは、最高の自分になろうと努力しながら、挫折や自責の念にかられて、自信を失ってしまうのです。
では、有害な影響を受けずに常にベストを尽くす、という細く険しい道を歩むにはどうすればいいのでしょうか?
Wilding氏によると、完璧主義の良い部分を長期的に役立てることは可能だといいます。
同氏は最近、Psychology Todayにて、「研究によると、完璧主義にはさまざまなタイプがあり、なかには成功をサポートし、キャリアを後押ししてくれるものもある」と書いています。
完璧主義者の3つのタイプ
何十年にもわたって完璧主義を研究してきた臨床心理学者のPaul Hewitt氏とGordon Flett氏によると、完璧主義者には3つのタイプがあり、同氏らが開発した45項目の完璧主義の多次元スケールによって判別することができるのだそうです。
それによると完璧主義者は、社会規定型、他者指向型、自己指向型の3つに分けられます。
社会規定型の完璧主義者は、他者の期待に応えなければならないというプレッシャーを常に感じています。そうでなければ拒絶されてしまうと恐れているのです。
他者指向型の完璧主義者は、他者に完璧さを求め、期待に応えられない者を批判し、断罪します。
自己指向の完璧主義者は、自分自身に高い基準と期待を設定します。
3つのタイプの完璧主義者のうち、自己指向型の完璧主義者は、完璧主義と健全な関係を築いていることが多く、そのことがポジティブな感情やモチベーションの高さとして表れます。
もっとも、その道は険しい道であり、健全なやり方を身につけることが重要となります。
完璧主義を生産的に活用する方法
Wilding氏は、完璧主義を生産的に活用するためには、「健全な努力」にシフトすることが重要だと言います。
同氏が書いているように、健全な努力とは「ハイパフォーマンスとオーバーアチーブメントの中間の領域にあるもの」。
それが、燃え尽きや自信喪失、失敗への恐れといったマイナス要素を経験することなく、完璧主義者としての高い基準や期待を保つ方法です。
同氏は、健全な努力のために必要なのは、恐れと向き合い克服すること。
それはつまり、
・結果に固執するのではなく成長のプロセスを楽しむこと
・必要に応じて調整できる現実的な目標を設定すること
・「自分ですべてをこなせる」という考えを捨て必要に応じて仕事を任せること
であると言っています。
「オール・オア・ナッシングの思考は捨ててください」とWilding氏は言っています。
たとえば、完璧主義に陥ると、100%の力を注がなければ失敗してしまうと考えます。
そうではなく、実際に起こりうる最悪の事態は何か、もし起こったらどう対処するかを考えるようにしてください。
そうすることで、よりバランスのとれた視点を持つことができると同氏。これは、失敗に直面した時には特に必要となるものです。
完璧主義者にとって、失敗は自己批判につながります。
内なる否定的な声に気づき、そこから距離をとることで、より健全な視点で状況を見ることができます。
Source: Psychology Today, UBC