コロナ禍の影響で、さまざまな仕事が変革を迫られています。もちろん営業もそのひとつ。人と対面することがままならない状況下においては、「会うこと」を前提とした従来の営業スタイルで成果を上げることが難しくなったからです。
したがってリモート営業を導入する企業が飛躍的に増えているわけですが、「導入したものの、なかなかうまくいかない」と感じている方が少なくないこともまた事実。商談相手の“温度感”をつかみにくく、関係性づくりがしづらいなどの問題があるということです。
しかし『超効率的に結果を出す テレアポ&リモート営業の基本』(伊庭正康 著、日本実業出版社)の著者は、それはリモートワークに原因があるわけではないと断言しています。正しい方法を知らないから、そうなっているだけなのだと。
注目すべきは、まず大前提として「リモート営業も1本の電話から始まるケースが少なくない」という点を押さえておくべきだという主張。
最近は、電話が苦手な方って多いですよね。でもだからこそ、テレアポの段階で断られないために、電話のかけ方・話し方のポイントを押さえておく必要があるのです。
また、リモート営業もテレアポも、非対面での接触という面では同じです。テレアポで必要とされるテクニックは、そのままリモート営業にも使えます。(「はじめに」より)
たしかに、それはとても重要なポイントではないでしょうか?
こうした考え方を軸とした本書のなかから、きょうは第2章「断られない電話のかけ方を知ろう」内の「顔が見えないことが武器になる」に注目してみたいと思います。
リモート営業も電話から始まる
先述したとおり電話が苦手だという方は少なくありませんが、苦手でもかまわないのだと著者は断言しています。
しかし、固定電話に出る機会も減ったいまだからこそ、電話のかけ方の大事なポイントを押さえておくべきだともいいます。
なぜなら、テレアポはもちろんのこと、リモート営業も電話から始まることが少なくないから。その段階で断られてしまったらオンラインまで進むことはできないので、電話をかけるときこそが重要だということ。具体的には、対面とは異なる、電話ならではの印象づくり、傾聴、話し方があるのだそうです。
まず大切なのは、相手の「警戒感」を解くこと。お客様と対面するリアルな営業であれば、スーツやメガネ、身振り手振りなどによって安心感を与え、相手をリラックスさせることが可能です。
ところが、そうした武器が一切通用しないのが電話営業。そこで、「この人には警戒心を解いても大丈夫」「この人と話してみたい」と思ってもらうために、次の3つのポイントが重要な意味を持つのだといいます。
① ロジカルな話し方(結論、根拠、補足)
② 言葉のチョイス(礼儀、共感)
③ パラランゲージ(声の強弱や高低、抑揚、間)
(45ページより)
対面であれば、ロジカルでなかったとしてもニュアンスで伝えることができます。あるいは、身振り手振りで伝わるということも十分に考えられます。しかし電話では、それらが一切できないわけです。
しかも、最初に結論を伝え、そのあとに根拠や補足を伝えるというロジカルな話し方をしないと、相手をイライラさせてしまうことになりかねません。もちろん、ことばのチョイスも重要。礼儀正しさや共感をしっかり示すためには、適切なことばを選ぶことが大切だということです。
また、パラランゲージ(言語以外の情報)も重要。声の強弱や高低、抑揚、間をつくることを、どれだけ意識できるかが大きなポイントになるのです。
しかし逆にいえば、それらを意識して話すことができれば、顔が見えないこともむしろ武器になるわけです。
対面型の営業の場合は、見た目によってなめられてしまうこともあるでしょうが、電話ならそんな心配は不要。事実、対面型の営業より電話で正しく話したほうが、お客様との関係性が築きやすいケースが多いのだそうです。(44ページより)
電話は年齢の壁を越えやすい
営業において、新人に見られることは不利。もちろん、新人だからミスをしても許されるということもあるでしょう。
しかしお客様の立場からすれば、「同じお金を払うのなら、新人よりも、ものをよく知っている人に担当してもらいたい」と考えるのは当然の話。
だからこそ無視できないのは、電話のメリットです。つまり電話なら、新人であっても相手にはわからないわけです。
ロジカルに結論から話し、的確な言葉をチョイスする。
礼儀正しく、しっかりと共感する。
ゆっくりと、心地良い声で話す。
これらを意識して話すことができれば、新人とは思われません。新人だからといってなめられることもなく、お客様も安心して話してくださいます。(47ページより)
それは年配の方でも同じで、たとえばここでは、定年退職した営業職だけを集めたテレアポ部隊のエピソードが紹介されています。
そこにいるのは60歳を過ぎて定年退職された元管理職なのですが、アポイント率がとても高いのだとか。著者もその要素を目の当たりにして驚いたそうです。
その部隊は社員募集の求人メディアの営業をしていましたが、求人業界では社長にアポイントを取れると話が早く進むもの。若手が電話をしてもなかなか社長に取り次いではもらえませんが、年配の方がゆっくり落ち着いた声で電話をすると、アポイント率が高まるわけです。
対面型では、60歳を過ぎていることは不利になる場合もあるでしょう。しかし電話なら見た目ではなく、その信頼感のある声と話し方が武器になるのです。
だとすれば、同じことは若手にもいえるでしょう。落ち着きや口調、声質などを武器にできれば、年齢的な不利を覆せるからです。
ほんの少し話し方を変えるだけで信頼され、お客様に耳を傾けてもらえるようになるということ。つまり顔が見えないことも、大きな武器になるのです。(47ページより)
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さまざまなことが変わり続ける時代に、どのような営業をすればいいのか? 本書は、その疑問に関するすべてを学べるような一冊にしたかったのだそうです。
なお、さまざまなセオリー、テクニックが解説されているため、自身の営業スタイルに合わせ、必要なところだけ読むだけでもOK。本書をきっかけに、テレアポ&リモート営業の手法を変革できるかもしれません。
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Source: 日本実業出版社