「おしゃれは足元から」とよく言われますが、「健康は口元から」と言えるのではないでしょうか。
しっかり噛んで食べることが健康の基本であるだけでなく、歯周病に代表される口内トラブルは糖尿病などの全身疾患と関連性が高いとされており、口内環境を適切にケアすることは体全体の健康維持につながっています。
また、虫歯の痛みがあれば仕事の集中力は当然失われますし、できるビジネスパーソンにとって「口臭」はコミュニケーションの大敵です。
そんな大切な口内をマネジメントするためには、まずは自分の口内環境を知ることが何よりも大切。その新たなソリューションとして注目されるのが、唾液検査「SillHa(シルハ)」による口内環境のチェックです。
定期的な歯科検診に加えて、「シルハ」を受けることでどのようなメリットを得られるのでしょうか。
唾液検査「SillHa(シルハ)」とは

「シルハ」は、歯の健康、歯ぐきの健康、口腔清潔度を判定する唾液検査です。測定結果がレーダーチャートで一覧でき、自覚しづらい口腔内の状態を、客観的なデータを通じて把握することができます。
検査は非常に簡単でスピーディー! 洗口用水で10秒間口をすすぐだけ。あとはクリニックがすすいだ液を機器にセットし、測定してくれます。
その後、ドクターから検査結果のフィードバックを受け、歯の状態についての説明とアドバイスをいただきます。

▼シルハの詳細についてはこちら
診療に「シルハ」を活用している「ヘルシーライフデンタルクリニック」(東京都港区)の手塚充樹院長に、歯のセルフマネジメントとシルハを活用するメリットについてお話を聞きました。
日本人は口内環境のリスクに気づいていない

「患者の健康寿命をできるだけ長く確保すること」をモットーとして、歯周病が起こりにくい環境をつくる治療に力を入れている手塚先生。
日本人では成人の約8割に歯周病の兆候があるといわれているにも関わらず、その危険性を軽く見て、セルフケアだけで歯周病を防ごうと考えている人が多いことを危惧しています。
歯周病によって起きる炎症は、体にとっては潰瘍と同じ。歯茎から血が出ると、約70秒後には上腕の静脈に菌が到達すると言われるくらい、全身にスピーディーに毒素が回ります。
口内の健康は体や脳の健康とも関連しているので、仕事におけるパフォーマンスを維持するためにも、歯茎を出血や炎症のない状態に整えることは非常に大事です。
厚生労働省の調査によると、歯周病など歯茎に何らかの問題がある日本人は約8000万人と推定されています。
しかし実際に歯科医院を受診している人は260万人、歯周病専門のクリニックを受診している人は100万人を切るのだとか。残りの7000万人以上は、自分の口内環境に潜むリスクに気づいていないと手塚先生は指摘します。
歯磨き・フロスだけでは歯周病を防げない
毎日しっかり歯磨きをして、デンタルフロスを使っていても、歯周病を完全に防ぐことは難しいと手塚先生。その原因のひとつは、粘性の高い「バイオフィルム」という歯垢(プラーク)の塊です。
歯の表面の汚れを48~72時間程度放置すると、細菌が集まってタンパク質のバリアを貼り、歯ブラシでは除去できない「バイオフィルム」を形成します。
歯垢はやがて歯石になり、その歯石にさらに細菌がついて、歯周病が加速度的に進行。一度できてしまった歯石は、もはや自分では取ることができません。
そこで大切になるのが、虫歯や歯周病になってからの治療ではなく、口内環境を良好に保ち、虫歯や歯周病になることを防ぐ予防歯科。
「PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)」と呼ばれる歯垢の除去や、「シルハ」による唾液のチェックも、予防歯科の一環です。
5分でできる「唾液検査」でリスクを見える化
手塚先生は予防歯科の重要性を広めたいと、TwitterやYouTubeでも情報発信をしています。
先日もTwitterで「矯正装置を入れると歯に汚れがつきやすくなるので、矯正治療を始める前に自分の虫歯リスクを知っておくべき。調べる方法の一つとして唾液検査がある」といった内容をツイートしたところ、それを見た20代の女性がシルハを受けにきてくださいました。
今までは、例えば虫歯になりやすい人に、自分の口内環境を把握してもらうためにシルハを勧めるパターンが多かったんです。このところ、初診から「シルハを受けたい」と自ら予約される人が増えてきたことは、大きな変化だと感じています。
「シルハ」の測定にかかる時間は約5~10分程度。「むし歯菌」「酸性度」「緩衝能」「白血球」「タンパク質」「アンモニア」の6つの指標を目安として、口内環境の状態をその日のうちにレポート化してくれます。
虫歯になりやすい人の特徴は? ストレスの傾向まで明らかに
今回は40代男性の検査結果をサンプルとして、「シルハ」のデータの読み方を解説していただきました。

6つの指標のうち「酸性度」は、「歯が溶けやすい状態かどうか」を示す数値。口の中は食事などにより酸性になり、歯が一時的に溶けた状態になっています。酸性度が高いと溶けた状態が長くなり、虫歯も進行しやすくなります。
酸性度が高く出やすいのは、既に虫歯の治療を受けたことがある人か、いま虫歯がある人です。
歯の表面のエナメル質は酸に強いのですが、内側の象牙質は酸に弱いため、口内のpHがちょっと酸性に傾くだけでも溶け始めます。すでに虫歯治療を受けたことがある方は要注意ということになります。
多忙なビジネスパーソンは、虫歯が象牙質まで進行しても「ときどき痛む程度だから」と放っておくことがよくあります。
さらに悪化して神経に到達すると激痛ですし、歯の内部まで治療しないといけないので、治療の回数と費用が大幅に増えて歯の寿命も縮んでしまいます。
酸性になった口の中を中性に戻すのは、唾液の「緩衝能」という働きです。「緩衝能」の数値が低い場合、唾液の分泌量が少ない可能性があるとのこと。水分を多めに摂る、ストレス対策をする、唾液腺の機能を高めるなどして唾液の分泌を促す必要があります。
このサンプルの人の場合、緩衝能は平均値よりも良好なので、水分をよくとって唾液がそれなりに分泌している人ではないかと思いますが、酸性度も高くなっています。
唾液のパワーがあるのに酸性度が下がらないということは、食生活や胃の環境など酸性度が上がりやすい別の理由があるのかもしれません。
指標のうち「アンモニア」は細菌の総数を示しており、アンモニアが多いと口臭も強くなることがあるそう。
「白血球」は口内で菌が繁殖するなどして、歯茎や口の中に炎症が起きると増える数値。歯周病などで口の中が出血すると、血液中のタンパク質が口の中に出てくるため、「タンパク質」の数値が高くなります。
さらにストレスが高い人も、「タンパク質」が高く出る傾向があるのだとか。
シルハの検査結果は六角形にグラフ化され、口内環境が良好なときは六角形が小さくなります。
唾液検査は、結果の読み方にポイントがあるんです。このサンプルの人は、タンパク質などのデータを見る限り、ストレスが高いのかもしれません。その方の身の回りの環境も含めて考察すると、原因がみえてくることがあります。
診療ではよく眠れているか、食事の回数や炭水化物、砂糖摂取の比率などもお聞きしながら、生活の改善点をご提案します。口内は体全体の健康と深くかかわっているため、体の健康状態を良好にすることが口内環境のマネジメントにもなるのです。
シルハの結果を通じて患者さんと話をすることで、ご本人の気づきにもつながります。
唾液検査は「調べて終わり」ではなく、医師と患者の対話のツールになる点が大きなメリットだと手塚先生。口内環境のリスクを見える化することで、セルフケアのモチベーションアップにもつながりそうです。
自分で簡単なセルフチェックもできる!
「シルハ」のホームページでは、自分で簡単にできるセルフチェックも掲載しています。10問の質問に答えるだけで、「歯の健康」「歯ぐきの健康」「口腔清潔度」に影響する生活習慣の良し悪しが判明します。
編集部でもセルフチェックしてみたところ、運動習慣や睡眠時間についてなど、一見歯と関係がなさそうな質問があることに驚きました。
運動によって代謝が高まると、唾液腺の機能が高まるんです。唾液線はストレスにも弱いので、唾液の分泌が少なく口内が乾燥しやすい人には、抗酸化物質などストレスへの対抗物質を処方することもあります。
口内を適切にマネジメントして健康を維持するためには、「なぜその状態になってしまったのか」という原因に思いをはせ、原因を変えていこうというモチベーションを持つことが大切です。
そのためにも、3カ月に一度は歯科検診を受診し、唾液検査で口内環境をチェックすることをおすすめします。
多忙なビジネスパーソンにとって、口で10秒すすぐだけの唾液検査で、口内はもちろん全身のヘルスケアに役立つ気づきが得られるというのは大きなメリット。「シルハ」の結果をもとに悪い生活習慣を正すことができれば、20年後には大きな差がついていることでしょう。
「シルハ」の唾液検査は、全国1500件以上の医療機関で受けることができます。まずは「シルハ」を受けられる、お近くのクリニックを検索してみては?
▼シルハを受けられるクリニックはこちら