達成すべき目標の数々、終わりの見えない仕事、デジタルの誘惑、パンデミックによるワークライフバランスの乱れ…。こうした状況に置かれていると、「マルチタスク」こそが生産性を高める究極のハックのように思えてきます。
しかし、マルチタスクについてよく調べてみれば、異なる結論が導き出されます。
マルチタスクのデメリット
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人それぞれが持っているエネルギー、注意力、時間(どれも生産性を高めるために必要な要素)には限りがあります。マルチタスクの最大のデメリットは、同時に複数のことをやろうとするために、そのどれにも完全には集中できなくなることです。
マルチタスクをすると、複数のタスクが少しずつ前進するので、あたかも自分は生産的であり、すべてうまくいっているかのような錯覚に陥ります。
しかし実際には、マルチタスクのせいで優先順位を間違えたり、創造性が阻害されたり、ストレスが増えたり、気が散りやすくなったりします。
また、ミスが増えたり、燃え尽きや記憶障害が起こりやすくなったりして、結果的には、生産性が低下していることが多いのです。そして、それを裏付ける研究結果もたくさんあります。
ではどうすればいいのでしょうか?
もうおわかりだと思いますが、この問題に対する解決策は、一度に1つのタスクだけに取り組む「シングルタスク」を実践することです。
文字通り、全神経を1つのタスクに集中させるということです。そうすることで、複数のタスクを掛け持ちする時のような時間の浪費をなくし、創造性を高め、重要なタスクから優先して片付けることができ、また、気が散るのを防ぐことができます。
もっとも、シングルタスクで生産性が高まることは、もうご存知なのかもしれません。問題は、やるべきこと(シングルタスク)と、やってしまうこと(マルチタスク)の間にギャップが存在するということです。
このギャップをなくすために、「何を」からは一旦離れて、「どのように」すべきかに焦点を当ててみます。一度に1つのタスクに集中する能力を高め、生産性を向上させるにはどうすればいいでしょうか?
1. ポモドーロテクニックを使う
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ポモドーロテクニックは、1つのタスクに集中し、生産性を高めるのを助けてくれる効果的な時間管理法です。簡単に導入でき、準備も最低限で済みます。オープンソースの無料ポモドーロアプリを使ってもいいでしょう。
ポモドーロテクニックでは、タイマーを25分にセットして1つのタスクに集中し、その後、5分間の休憩をとります。
休憩時間はリラックスしたり、ゲームをしたり、友人にメールをしたりなど、タスクとは関係のないことをしましょう。これでポモドーロ・セッション1回分が終了したことになります。このセッションを4〜5回行なった後で、長めの休憩をとることもできます。
ポモドーロテクニックを使えば、気が散るのを防げるとともに、1日の計画が立てやすくなります。また、終わるたびに達成感を味わうことができ、短時間に区切ることで集中力が高められます。
2. 自動化システムを構築する
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メールの返信やソーシャルメディアへの投稿など、日常的に行なわなければならない作業がたくさんあって、シングルタスクを実践するのが難しいと感じているかもしれません。そんな時は、自動化を検討しましょう。ありがたいことに、繰り返されるタスクを自動化し、重要なタスクに集中しやすくするやり方がいくつかあります。
たとえば、こちらのAndroidアプリを使って、メールや電話、テキストメッセージなどへの自動返信を設定することができます。 IFTTTのような自動化プラットフォームを使って、さまざまなデジタルツールを接続し、自動化システムを構築することもできます。
3. 重要でないタスクをまとめて処理する
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重要で複雑なタスクに取り組み始めたはずなのに、数分後には全く関係のないことをしているのに気づいたことはありませんか?
たとえば、あなたは「ビジネスの始め方」についてのブログを書こうとしています。そのテーマについて調べ始めたところ、来週開催される地球温暖化に関する会議に参加できるかどうかを尋ねるメールが届きました。
数分で済むのですぐに返信することにしましたが、メールに添付されていた森林破壊に関するYouTubeのリンクを思わずクリックしてしまいます。
すると、YouTubeのアルゴリズムが、そのトピックに関連した映画の予告編を見るように提案してきて、気がつくとNetflixで映画の全編を見てしまっていた…。身に覚えはありませんか?
こうした現象を防ぐにはどうしたらいいでしょうか? 1日の計画を立て、似たようなタスクをまとめて処理する時間をつくることで、知らないうちに脱線してしまうのを避けることができます。
重要でないタスクや価値の低いタスクを、1日の中で散発的に取り組むかわりにまとめて処理するようにします。
たとえば、メールの整理、会議のスケジューリング、通知への対応などをまとめて片付ける時間をつくります。このような価値の低い仕事は、1日の中でエネルギーの低い時間帯にまとめて行なうことができます。
4. カンバンシステムを使う

自分専用のカンバンシステムをつくると、一度に1つのタスクだけを確実にこなすことができます。ボードと付箋を使ってもいいし、Trelloのようなカンバン方式のアプリを使ってもいいでしょう。
Trelloのアカウントにログインしたら、やること・作業中・完了、というタイトルの3つのカラムをつくります。
取り組みたいタスクを優先度の高い順に書き出します。最も重要なタスクを「作業中」のカラムに移動させ、作業を開始します。
この時、「作業中」カラムには、常に1つか2つのタスクだけがあるようにしてください。そうすることで、一度に多くのタスクに手を付けてしまうのを防ぐことができます。
5. シングルタブを実践する

今、あなたのブラウザには、たくさんのタブが開かれているかもしれません。
昨今では、ブラウザタブを一度に1つに限定するのはほとんど不可能だと言えるでしょう。ウェブの世界は誘惑に満ちています。ブラウザを使っていると、いとも簡単に脱線してしまうものです。
シングルタブの実践は、タスクに集中するための効果的なやり方です。とはいえ、始めるにはちょっとした手助けが必要かも。xTabのような拡張機能を使えば、開くタブの数を制限することができます。
また、Momentumを使用すると、美しい背景画像、プリセットされたフォーカスエリア(またはその他のリマインダー)、インスピレーションを与える言葉などを楽しむことができます。
シングルタスクで生産性を高めよう
シングルタスクでは、重要なタスクを効果的かつ効率的に処理することができます。言うまでもなく、エネルギー、時間、注意力を重要なタスクに集中させることができるからです。
Source: PubMed.gov, APA, IFTTT, Trello, App Store, Google Play, chrome web store(1, 2)
Original Article: How to Master Single-Tasking Using Technology to Improve Your Productivity by MakeUseOf