手際よく仕事を済ませているつもりなのに、なぜかバタバタしてしまう。

心当たりがあるなら、「ワンソース・マルチユース」発想を取り入れることで、かなりの改善が見込めるかもしれません。

短時間で圧倒的な成果を出す人が意識的にやっていること。それが「ワンソース・マルチユースを常に意識する」ことなのです。

私は元来不器用な方ですが、「ワンソース・マルチユース」発想を取り入れることで、大きく改善することができました。これは現在も継続している仕事術の1つで、デスク前には「ワンソースで済ませよう」と書いた紙を貼るほどに意識的に本気で取り組んでいます。

そのおかげで、年間200回の研修への登壇や、打ち合わせ・文書の作成を行なう傍ら、書籍を4カ月に1冊のペースで出版したり、YouTube・音声メディアVoicyの更新をしたりと、これらすべてをプライベートを犠牲にすることなく実践できています。

これほどまでの効果がある仕事術。効率アップを極めたい方には、特におすすめです。

ありえない速さで結果を出す人の「たった1つの習慣」

通話しながら階段を上る男性
Image: Shutterstock

ワンソース・マルチユースとは、1つの素材(=ワンソース:one source )から、複数の用途(=マルチユース:multi use )を考えること。ベタに言うと、「使いまわし」です。

いきなり余談ですが、海外用Wi-Fiルーターレンタルサービス「イモトのWiFi」を知っていますか? 加えて、来院不要のPCR検査で一躍有名になった「にしたんクリニック」を知っていますか? さらにこの2つ、実は同じ会社が経営していると知っていましたか?

同社の社長は、コロナ禍でWi-Fiレンタル事業が壊滅的なダメージを受けた際、すぐにPCR事業に乗り出せないかと考えたそうです。

この時、社長が狙ったのがまさに「ワンソース・マルチユース」。レンタルWi-Fi事業で使っている配達網、サポートセンターや発送・回収フローというノウハウとインフラを生かせば、時間と資金をかけずともすぐに実現できると考えたと言います。

たった1年でコロナ禍以前のWi-Fiレンタル事業の売上を追い抜くほどに成長したのですから、驚くほかありませんよね。

さて、「このことがどう関係があるのか?」と思われたかもしれません。

実は、この発想を普段から持ち、「これをあれにも使えないかな」と常に考えることこそが、驚くほどの短時間で成果を出す人が無意識にやっている習慣なのです。

提案書・資料・メールは「使いまわし」を前提に

タブレットを使う男性の手元
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まずは身近な作業、たとえば提案書やレポート、メールを作成する際は、「使いまわし」を前提にすることから始めてみてください。

それでは、具体的な実践方法をご紹介します。

提案書・レポート編

ある企業への提案書を作成する場合、他社にも「使いまわせる」ように作成しましょう。

その際、たとえば役職名部分には「管理者」と表記すれば、「課長」「マネジャー」「マネージャー」と呼称が異なる会社にも流用ができます。このように、マスターの修正フローを最小化するために単語や文章に汎用性を持たせるといいでしょう。

Windowsであれば、「Ctrl + H」のショートカットを使えば一括で文字を置換できますので、変換の可能性のある単語は言葉を一緒にしておくのもおすすめです。

提案書の例
「使いまわし」を想定した提案書作成の流れ
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Image: らしさラボ

メール編

メールを送る際、「他のシーン」にも応用できるような文章を用意し、それを定型文として登録しておけば、いくらでも「使いまわし」ができます。

使っているツールがGmailの場合は定型文登録、Outlookの場合はクイックパーツを使います。詳細はウェブ検索でもすぐに手順を確認できるでしょう。

さらには、署名にも工夫ができます。署名を登録する際、下の図のように文章を含めて登録しておく方法です。それだけで、作成時に入力が必要な文字量を減らすことができますので実践してみてください。

メールのサンプル
メールで使う定型文や署名欄の活用例
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Image: らしさラボ

このように、まずは日常の業務において「使いまわし」の習慣を身につけておきましょう。

その繰り返しの中で、「これを使えばあれがすぐに実行できる」「これを有効活用できるのでは?」と、意識せずとも考える癖ができます。

これは、短時間で圧倒的な成果を出す人が必ずやっている発想法ですので、ぜひ早い段階で身につけておきましょう。

今回は、「ワンソース・マルチユース」の発想を取り入れることで、かなりの効率化が見込める方法を紹介しました。

すでに実践している人からすると当然のことでもあり、「え、それだけ?」と思われたかもしれません。

でも、この記事をきっかけに、より多方面において「ワンソース・マルチユース」発想を取り入れることで、さらなる効率アップができないかを考えてみてください。

そして、まだやっていなかった方は、ぜひ今日からトライしてみてください。今回の内容が、あなたの効率化の一助になれば幸いです。

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伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

伊庭正康さん

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンTャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。現在は、オンラインを活用した研修も好評。近著に15万部を超える『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『できる営業は、「これ」しかやらない(PHP研究所)』のほか、新刊の『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる(アスコム)』をはじめ、他多数の書籍がある。

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