「Google Chrome 93」がデスクトップPCとAndroidの両方に向けてリリースされました。
新機能、微調整、変更などが詰まったChromeの月例アップデートは、開発者にとって玉手箱のようなものですが、今回のバージョン93に関しては、デスクトップPC向け「Chromeウェブアプリ」の強化、Androidアプリのインターフェースの変更、便利なクロスデバイスセキュリティオプションなど、一般ユーザーにとっても知っておくべきいくつかの改良点があります。
Chrome 93にアップデートする方法
もろもろの新機能については後述するとして、今すぐにでもChrome 93のアップデートを手に入れたいのであれば、AndroidでもデスクトップPCでも、次の方法で入手できます。
- ブラウザウィンドウ右上のメニューアイコン(縦並びの3点アイコン)をクリックまたはタップする。
- 「設定(Settings)」>「Chromeについて(About Google Chrome)」を選択して、アップデートがダウンロード可能かどうかを確認する。
- ダウンロード可能であればアップデートを実行し、ブラウザを閉じて再起動する。
また、Google Chromeのダウンロードページから最新版をダウンロードすることもできます。では、新機能についてご紹介しましょう。
デスクトップPC
Chrome 93には、デスクトップPCユーザー向けに2つのウェブアプリ新機能が搭載されています。
URLリンクからのウェブアプリ起動
1つ目は、URLリンクから外部ウェブアプリをシームレスに起動する機能です。
この機能を有効にすると、デバイスにインストールされているウェブアプリを、Chrome内のリンクをクリックして開けるようになります。
たとえば、ChromeでYouTubeのプログレッシブウェブアプリ(PWA)をインストールしている場合、YouTubeのハイパーリンクをクリックすると、Chromeの新規タブではなくPWA内で動画を開けるようになります。
開発者側でこの機能を実装する必要があるため、すべてのウェブアプリで使えるわけではありませんが、対応しているアプリにとっては便利な変更点といえます。
また、この機能はデフォルトで無効になっているため、Chromeの実験的なフラグメニューでいくつかの設定を変更し、有効化する必要があります。
- Chromeを開き、アドレスバーに「chrome://flags/#enable-desktop-pwas-url-handling」と入力する。
- ドロップダウンメニューで「Enabled」を選択する。
- 再起動を促されたら、「Relaunch」ボタンを選択してChromeを再起動する。
マルチスクリーンデバイスのサポート
もう1つの新機能は、ウェブアプリ向けのマルチスクリーンおよびマルチウインドウのサポートです。
この機能も開発者による実装が必要になりますが、Googleは下記のような多くの種類のウェブアプリに役立つと予想しています。
● 『Gimp』のようなマルチウィンドウ対応グラフィックエディタでは、正確に位置を指定したウィンドウ内にさまざまな編集ツールを配置できます。
● 仮想トレーディングデスクでは、マルチウインドウで市場の動向を表示でき、いずれもフルスクリーンモードで表示可能です。
● スライドショーアプリでは、発表者用のメモを内蔵のプライマリスクリーンに表示し、プレゼンを外付けプロジェクターに映し出すことができます。
これらのアプリでは、単独または複数のディスプレイで同時に複数のウィンドウを開けるようになるので、マルチディスプレイのユーザーにとっては大きな改善になるはずです。
クロスデバイスでの2要素SMS同期
複数のデバイスでGoogleアカウントを使ってログインしている場合に、バージョン93以降のChromeでは、少なくとも2要素認証(2FA)をサポートしているウェブサイトに関しては、2FA用のSMSログインコードを自動的に認識して同期するようになりました。
この機能も開発者による実装が必要ですが、将来的にはこの2FA同期に対応するウェブサイトやサービスが増える可能性は高いでしょう。
それまでは、Googleが作成したこちらのテスト用モックアップサイトで、この機能がどのように動作するかを確認できます。
Android
新しいGoogle検索UIの実装
Chrome 93では、Chrome版AndroidのUIにもいくつかの変更が加えられています。
まず、最近オーバーホールされたGoogle検索結果の連続結果フィードが、さらに改良されました。
この新しいデザインは、もともとは実験的な試みとしてAndroid版Chrome 91で追加されたもので、Chromeウィンドウ上部のスクロールバーからページを開いたりタブで移動したりすることが可能です。
このバーは、検索結果を連続的にスクロールするので、ページ間を素早く移動できます。
Chrome 93では、カードが読みやすくなり、初期導入時よりも反応が良くなったと報告されています。ただし、新しい検索結果バーを有効にするには、実験的なフラグメニューを利用する必要があります。
- Android版Chromeアプリのアドレスバーに「chrome://flags#continuous-search」と入力する。
- ドロップダウンメニューで設定を有効化する。
- 再起動を促されたら、「Relaunch」ボタンを選択してChromeアプリを再起動する。
- アプリが再起動したら、Googleで検索を行なう。
- 検索結果からウェブサイトを選択する。検索結果の上部に、新しい連続検索ナビゲーションバーが表示される。
「Material You」のサポート
また、Chrome 93では、実験的な機能ではあるものの、Android 12の「Material You」インターフェースがモバイル版Chromeでサポートされています。
Material Youの機能は、サポートされているAndroid 12対応アプリのインターフェースをスマホの背景に合わせて変更するものです。
今後数カ月以内に予定されている新OSアップデートの提供が開始されたら、Android 12を搭載したすべてのデバイスで、Chromeのデフォルト機能になる可能性が高いでしょう。
ただし、現時点ではAndroid 12ベータ版が必要です。ベータ版では、Chromeの実験フラグでこの機能を有効にできます。
- Chromeアプリを起動し、アドレスバーに「chrome://flags#dynamic-color-android」と入力する。
- ドロップダウンメニューから「Enabled」を選択する。
- アプリを再起動して変更を有効にする。
- フィードの上部にあるURL情報カードのいずれかをタップしてページを開く。左右にスクロールしてオプションを確認する。
ここで紹介したのは、Chrome 93における一般ユーザー向けの主な変更点ですが、開発者向けにはさらに魅力的な多くの変更点があります。
このアップデートのリリースノートには、そのすべてが記載されています。
Source: Google(1, 2), web.dev, GIMP, Web OTP API Demo