リモートワークによる運動不足に悩む人が増えていますが、重い腰がなかなか上がらないというのが人情というもの。それなら、文字通りまずは「腰だけ」上げてみませんか?
この「『立つこと』から始める運動習慣」特集では、座りっぱなしがもたらす深刻な健康被害をお伝えするとともに、まずは「立つ」という最小単位の行動から運動習慣を始めることを提案します。もちろんそれ以降のステップアップとなる運動も含め、ぜひお試しください。
第2回は、経営者からオリンピック選手まで、数多くの指導経験を持つパーソナルトレーナーの日高靖夫さんに自宅でできる効率的なトレーニングについてお話を伺いました。
多忙なビジネスパーソンが運動を習慣づけるためのコツから、短時間で効果バツグンだと注目のトランポリンを活用したトレーニング方法まで、すぐに実践に活かせるノウハウを一挙にご紹介!今回は前編をお届けします。
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日高 靖夫(ひだか やすお)さん

パーソナルトレーナー兼メンタルサポートコーチ。会員数限定のパーソナルトレーニングジムY'S BODY & MENTAL FACTORY 代表。 世界的に有名な大手スポーツクラブでテクニカルチーフトレーナーを務め、2014年に独立。10年間で5000人以上の指導経験を持つ個人指導のスペシャリスト。医者、俳優、モデル、映画監督、アナウンサー、経営者、オリンピック選手など体に対する意識の高い40歳以上のクライアントを数多くサポートしている。
YouTubeチャンネル/40代からの使える体チャンネル
運動が続かない人の2つの特徴

長引くコロナ禍。テレワークの普及や外出自粛に伴い、以前にも増して身体を動かす機会が減りました。
「何かやらなきゃ」とトレーニング動画を探したりランニングを始めてみるものの、継続することに難しさを感じている方も多いのでは?
過去10年間で5000人以上に指導経験行なってきた日高さん曰く、運動が続かない人には大きく分けて2つの特徴があるそう。
まずは、運動が好きではない人。
あとは、何のために運動するのか、目的が明確ではない人ですね。
目標はあるけど、目的がない。ただ痩せたいなど運動するための理由がざっくりしすぎていると続けることが難しい場合が多いです。
「結婚式があるから○kg痩せたい」「健康診断でCが5つあったので来年にはゼロにしたい」など明確なゴールがある方は続けられますね。
そこで日高さんのジムでは、まず運動する目的を明確化するところから始めるそう。
たとえ運動が好きではなくても、目的があれば続けやすくなるはずです。これまでなんとなく運動を始めて挫折した経験のある方も、まずは「はっきりと言語化してみる」と良いかもしれません。
目的設定は、運動を習慣化する上で「基礎となる土台作り」とも言える重要なファーストステップです。
運動を習慣化させるための3つのポイント
基礎となる部分が定まったら、次は運動を習慣化するためのコツを押さえましょう。日高さんが考える運動習慣化のための特に重要なポイントは3つ。
<運動を習慣化するために重要なポイント3つ>
- 午前中に運動のスケジュールを組み込む
- スモールスタートから始めてみる
- 運動した記録(ログ)を残す
日高さん曰く、運動やトレーニングは気力のある朝〜午前に組み込むことがオススメとのこと。
タスクの優先順位づけなどで用いられる重要度と緊急度のマトリクスで考えると、多くの方は運動を「重要だが緊急度の低いもの」今すぐやらなくてもよいと認識してしまうそう。

疲れがたまった夕方や夜間には、重要と捉えていても緊急性のないものに対応する気力が起きないもの。だからこそ、あらかじめ午前中のスケジュールを押さえて、仕組み化してしまうのが良さそうです。
さらに「人はまず21日間(3週間)続けるとその後の継続、習慣化につながりやすく、歯磨きのように『やらないと気持ち悪い』と感じるまでになります」と日高さん。
そのステージに到達するためには、なによりも始めて続けること。無理せず毎日続けられそうなことから始めて、記録をつけ可視化することが重要です。
毎日1分でも、自分なりの習慣を身につけてスモールスタートを踏んでいくことが一番重要ですね。
運動を朝のスケジュールに組み込み、ログ(記録)をつけて、続けられそうなことからやってみる。
まずはこの3つから始めてみてください。
短時間で有酸素運動できる「トランポリン」に注目!

ご自身のYouTubeチャンネルでさまざまなトレーニング動画をアップしている日高さん。中でも22万回再生と人気を集めているのがトランポリンを使ったトレーニング動画。
トランポリントレーニングは、「忙しくて有酸素運動をする時間がない人」にこそ最適で、日高さんのジムでもビジネスマンや経営者の方々に重宝されているそうです。
トランポリントレーニングのメリットは?
まず、トランポリンは短時間で汗をかくことができます。ジャンプすると代謝が上がりやすく、汗をかくから痩せやすいんです。全身運動で体幹も鍛えられますよ。
もう一つのメリットは場所を取らないこと。トランポリンは一畳あれば十分ですからね。
トランポリンは全身を使うため、1日5分でも運動強度は十分高いのだとか。初めは1分からでもOKで、テレワークや家事、子育てで多忙な方でも数分の隙間時間があれば取り組めそうです。まさに習慣化のコツでもあるスモールスタートしやすいトレーニングと言えるでしょう。
場所を取らずに室内で飛べる、という点も手軽に無理なく始められるポイントです。天候に左右されるランニングやウォーキングと違い、いつでもできるのはうれしいですね。
また、トランポリンにはウェアやシューズは一切不要。シューズを履いた方が着地の衝撃は緩和できるそうですが、裸足でもOKとのこと。気になる日焼けや虫除け対策も不要で、思い立った瞬間にすぐに取り組める気軽さが魅力です。
トランポリンと縄跳びの違いは?
ここで気になったのが同じジャンプという点で共通する縄跳びとの違い。それぞれのメリット、デメリットについて日高さんに質問してみました。
ジャンプ動作は、関節に負担がかかりやすいため、膝、腰、首などに疾患がある方にはオススメしません。
ただトランポリンは縄跳びに比べれば身体的負担は少なく、サッカー選手が怪我をしたときのリハビリにも使われています。
また、縄跳びは引っかかるとその度に中断してしまいますが、トランポリンは気持ちよくリズムを取り続けられますよ。
この気持ちよいリズム、というのは意外と大切なポイントかも。
つまずいたり、立ち止まったりすると体の動きが停止するだけでなく、気持ちの停滞にもつながり、継続の妨げになることも。淀みなく、流れるように心地よく続けられることも、トランポリンならではの利点と言えそうです。
トランポリンのデメリットとしては、多少高さがあるので、真ん中を飛んでいないと怪我をするリスクがある点。この辺りは十分に注意をしながら、無理のない高さ、回数から始めてみるのが良さそうです。
トランポリンが、メンタル面に与える影響は?
さらに、日高さんはトランポリンには、メンタル面でもポジティブな作用があると話します。
飛ぶと人間は楽しい気持ちになるんですよ。実際、うれしいことがあるとジャンプしたりしますよね。飛ぶ動作はストレス解消につながり、心を軽くしてくれるんです。
実際ジムに通っている方の中で、最近有酸素運動ができてないという方、今日は気分が暗いな、という方には、まず血流を良くして代謝とモチベーションを上げるためにトランポリンをしてもらいます。
トランポリンで、姿勢改善効果や体幹が強くなったという声もありますが、何より楽しく運動を習慣にできるようになった、など、メンタルのことを言及する方が多いですね。
運動をなかなか実行に移せない方の中には、さまざまな状況でストレス発散がしにくく気持ちが鬱屈してしまっているから動けないという方もいるかもしれません。そんなときこそ、トランポリンを。
オンオフの切り替えがうまくいかないとき、気持ちが沈みがちなとき、また運動不足や座りっぱなしが気になる方も、難しく考えずに気分転換を兼ねてひと飛びしてみる−ーそれだけで、心身ともにすっきりリフレッシュするきっかけになりそうです。
身体への負荷は比較的少なく、高い運動強度があり、場所を取らずに、準備いらず、さらに心理的にもよい影響を及ぼしてくれるトランポリン。
一石何鳥!? と驚くほど魅力的なトレーニングで、「これなら続けられそう!」とワクワクしている方も多いのでは?
後編(9月30日公開予定)は、実践編としてトランポリンの選び方や、具体的なトレーニング方法、3分でできるオススメ動画も紹介します。
▶︎後編「実践編」はこちら
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Source: YouTube,Y'S BODY & MENTAL FACTORY