2020年7月20日(火)、オンライン書店「BOOK LAB TOKYO」で開催されたトークイベント「BOOK LAB TALK」。
ライフハッカー[日本版]編集長の遠藤祐子が『たった1分で仕事も人生も変える 自己紹介2.0』(KADOKAWA)の著者である働き方の専門家・横石崇さんを迎えて、イベント視聴者とともに「自己紹介2.0」のエッセンスを体験するワークセッションを行いました。
過去を語るのが「自己紹介1.0」。「2.0」は未来を語る
「組織」の時代から「個」の時代へ──。
時代の変化とともに、いま自己紹介の重要性が高まってきています。
会社員であっても外部の人とコミュニケーションを取り、プロジェクト単位で動くことが増えてくれば、「自分は何者か」「ここでどんな役割を果たすのか」を的確に伝える自己紹介力は必須です。
横石崇さんの『自己紹介2.0』は、こうした働き方の変化のなかで「自分のやっていることを、うまく人に伝えられない」「新しい出会いから次の仕事につなげられない」と悩む人のための一冊です。

遠藤:横石さんの自己紹介がすばらしいのは、「私が本当はどんなことを考えていて、どんなことをしたいのか」をしっかり人に伝えられること。著書では、「2.0」のキーポイントは「未来を語れる人」になることだと仰っていますね。
横石(敬称略):肩書きや役職といった「過去」を語るのが「自己紹介1.0」だとすると、「未来」を語るのが2.0。未来といっても「夢を語る」のではなく、その人の信念、エッセンスをどう出すかがポイントになります。
働く上での信念は、いま注目される「パーパス(Purpose)」(※)の概念にも通じます。「『自分は会社員で、パーパスとか全然ないんですけど』という人はどうしたら?」と遠藤が尋ねると…。
横石:ご安心ください。冷凍庫の奥に秘めたご自身の素材、忘れかけたコチコチの素材を、我々で温めてちゃんとお料理できるようにしますから。僕は、パーパスって自分の足元に落ちていたりするものだと思うんです。灯台もと暗しというか、パーパスもと暗しです(笑)。
※ パーパス(Purpose)=社会における存在意義(目的・意図)。
「偏愛」が「自分株式会社」の原資をつくる
自己紹介がうまくいかない理由は、次の3つだと横石さん。
- 自分を知らない
- 相手をよくわかっていない
- 伝え方/コミュニケーションの方法がよくない
3つのなかでも最大の障壁となるのが、「自分を知らない」こと。そこで用意してくれたのが、自分が本当に好きなものを探る「偏愛マップ」というワークです。
横石:マップ(紙)の真ん中に「自分」がいると仮定して、周りに好きなものを好きなように書き込んでいってください。アーティスト、食べ物、趣味の分野など、何でもいい。
思いつかないときは、あなたが得意なことは何か、何をしているときが楽しいか、自分の何が一番人の役に立っていると感じるか、何をしているときに一番成長していると感じるか…。そんなことをスタート地点にするのもいいですね。
ワークショップでは参加者が手書きで偏愛マップをつくり、Googleスライドでシェア。十人十色の「偏愛マップ」が集まりました。

縦書きと横書きがうまくレイアウトされた「偏愛マップ」。雑誌のタイトルになりそうな表現に「この方は編集者じゃないですか」と遠藤。

恋愛とラーメンと酒、そして仕事が見事に循環している「偏愛マップ」。「いやぜひ、ラーメン一緒に食べたいですね!」と横石さん。
自分の「好き」をちゃんと知っておくことが、自分を知る第一歩。「偏愛マップ」をやるかやらないかで、自己紹介の仕方が変わってくると横石さんは話します。
横石:これからは個人が「自分株式会社」として働くことが大事になる。自分の「好き」は、いわば自分株式会社の原資、一番のリソースになるものだと僕は考えています。
「“いい自己紹介”って熱がこもっているんですよ」と語る横石さん。その熱を生む大切な要素が「好き」にあることは、参加者の「偏愛マップ」から強く感じられました。
「呼ばれる人」になるための「自分のタグ付け」
横石:先日ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子さんとお会いしたとき、今後はプロジェクトベースの仕事が増えてくるから、「声がかからない限り、いい仕事にありつけなくなる」という話をされていました。
僕も本当にそうだなと。いかに「声がかかる人」になれるかが、今後のキャリアのポイントになる。「探す」ではなく「呼ばれる」感覚を大事にした方がいいと思うんです。

2つめのワークでは、そのためのステップとして「自分のタグ付け」にチャレンジ。SNSで用いられる「#ハッシュタグ」をお手本に自分自身にタグを付けるというもので、「BOOK LAB TALK」第2回に登場してくださったLinkedIn日本代表・村上臣さんのアイデアが元になっています。
いわゆる「タグ付け」では、キャリアやスキルなど「Do」に寄せた表現がメイン。しかし今回はパーパスや個人の思いなど、「Be」に寄せていきたいと横石さん。
横石:例えば、僕は「#個育て」というタグをつくりました。組織から個の時代に移っていく中で、すべての人が個性を生かして自分らしい働き方・生き方ができるような社会を育てていきたい。ちょっとかっこよくしすぎたかもしれませんが、ぜひ自由な発想でタグをつくってみてください。
ワークでは最大3つのタグを各自で考案。事前につくった「偏愛マップ」が、タグを割り出すヒントになってくれました。

「酒ダイソン…吸引力がすごいってことですよね(遠藤)」「全然落ちないんですよ、吸引力が(横石)」など、パンチ力あふれるフレーズの数々に圧倒される2人。
ユーモアと熱意がこぼれるタグ付けが、参加者それぞれのすばらしい個性を垣間見せてくれました。
イベントの最後に、「自己紹介とは、強い信頼の交換である」とフリップに書いてくれた横石さん。
「肩書きではなく、その人の未来に思いを巡らせるのが自己紹介。過去の信用ではなく、未来をつくる信頼を、自己紹介2.0で勝ち取ってほしい」とエールを送りました。

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次回のBOOK LAB TALKは?
次回のBOOK LAB TALKは、9/22(水)19時より、『まんが南の島フィジーの脱力幸福論』の著者・永崎裕麻さんをお招きして、フィジー流の脱力幸福論についてお聞きします。みなさまのご参加、お待ちしております!