夏のボーナスの季節です。ボーナス支給額の通知があって、一喜一憂している頃合いでしょうか。早い会社はもう支給されているかもしれません。
さて、共働き正社員夫婦のお金のルールは、明確にしておかないと、トラブルの種になります。特に金額も大きいボーナスであればなおさらです。
今回はそんな「共働きのボーナス、どう使う、どう増やす?」といった話をしてみたいと思います。
ルール1:ボーナスの支給額は隠さない

まず第1のルールは「お互いのボーナス額は隠さない」こと(そんなの当たり前でしょ、と思っているカップルは第2のルールから読みはじめてかまいません)。
結婚前からそれぞれが仕事をして収入がある共働き夫婦の場合、しばしばボーナス額を開示し合わないことがあります。
「1つの家計のやりくりをしなければいけないのに、2つの財布の状態をそれぞれが把握できていない」状態。あまりよくない状況です。
ボーナスは、毎月の給与と違って、中長期的な目標を実現するために用いることが多く、そのためにも建設的に使っていく必要があります。ふたりの将来の資産形成にもつなげていくために、お互いの賞与額は必ずオープンにしてください。
相手の金額についてのコメントはしないこと。自分の金額が多いときにも自慢しないことを心がけましょう。ボーナスはそれぞれの会社のルールがあり、違う会社に勤めているふたりであれば比較はできないものだから。
会社の業績によって大きく増減することもあり、勤務先の業績が厳しいとき、支給ゼロになったとしても、それを夫婦間で責めても仕方がありません。
今年の夏ボーナスはコロナ禍の影響もあって、少額あるいは無支給となる会社も少なくないはず。お互いに支給があれば金額は気にせず、それをたたえ合いたいものです。
ルール2:ボーナスは一括して3つに分類する

第2のステップは「ふたりの合計額のボーナス(別々ではなく一体で)」を「目的別に3つに分類する」こと。具体的には、この3つに振り分けます。お互いに話し合いながら考えてみましょう。
ボーナスは一括して、3つに分類する
- 貯める分(投資分を含む)
- 個人的に使う分
- 家族で使う分
1.貯める金額をまず決める〜目標はボーナスの半額以上
まず、貯金ゼロでは困ります。特に住宅購入や子どもの進学を控えている人は、ボーナスにより一気に貯めるチャンスが生まれます。
たとえ毎月2万円を貯金するのが大変だったとしても、ボーナスのたびに12万円を貯金できれば同じことが実現するから。もちろん日頃からダブルで貯められたらさらに貯蓄ペースはスピードがアップします。ボーナスからしっかり貯金したいものです。
住宅ローンのボーナス返済額や白物家電のボーナス払いなどは、当然ながら最優先で予算確保します。そのうえで貯蓄額を決定します(一部は投資に回してもよい)。
買い物の計画、引っ越しの予定、住宅購入、子どもの学費準備、自分たちの老後の備えなど、お金の目標を話し合い、どれくらい残しておくか考えます。
共通ポイントサービスPontaが2021年6月に発表した消費意識調査(Pontaリサーチ)では、ボーナスから貯金をすると回答した人の61%は、半額以上を貯めるとの結果に。目標は「半額の貯金」を考えてみたいところです。
2. 自分のおこづかいは、自由に気持ちよく使う
次に、それぞれの自由に使っていい予算を決めます。やはり半年働いてのご褒美は、自分で自分にあげたいもの。金額をどれくらいにするかは夫婦ごとの判断ですが、「おこづかい枠」を設定することをおすすめします。
このとき、ボーナスが多かった人と少なかった人(なかった人)との間で、おこづかいの差が大きく開くのはあまり好ましくありません。
「自分のボーナスからおこづかいを確保する」という考えは持ちつつも、「夫婦のボーナス合計額からそれぞれが「おこづかい枠」をシェアする」と考えたいところです。
金額はボーナス額や夫婦の話し合いによります。ゲーム機の本体が買えるくらいの金額をそれぞれが受け取れると、楽しく買い物ができるのでは? とはいえ、支給額が少なかった場合などは、ここをガマンして控えるのも選択肢です。
ただし、「おこづかい枠」をそれぞれ決めたら、使い道についてはお互い言いっこなし、としましょう。服を買っても、ゲームを買っても、それこそガチャに課金したとしても、それは自由です。
むしろ使い道は詮索しないほうがいい。半年仕事をがんばったご褒美ですから、好きなことにムダづかいを楽しんだっていいんです。
3. 家族で使う予算を明確にする〜旅行やプレゼント費用も捻出
残りの金額が家族(夫婦)で使う分の予算となります。
「(夫婦のボーナス合計額)ー(貯蓄額)ー(それぞれのおこづかい枠)=(家族で使う予算枠)」
ここから予算を立てています。旅行や外食などのレジャー予算や「この夏こそSwitchを買ってあげよう」といった子ども向け出費が入ることもあります。
できれば、向こう半年の誕生日プレゼント予算などもここで確保しておきたいもの。クリスマスプレゼントは冬ボーナスから出せますから、それまでに家族の誕生日があるかどうか、ちょっと考えておきましょう。
金額が突出するのはやはり、旅行予算でしょう。この夏に限ってはコロナ禍での配慮と、オリンピックの影響をどう考えるかが悩ましいところですが、「ボーナスの使い方の基本」としては避けて通れないはず。
旅行は、費用がかさむ一方で、家族との大切な時間であり思い出にもなります。ぜひ無理のない範囲で予算を確保し、満足度の高い支出となるようプランニングしてみましょう。
子どもが自分なりに考えられる年頃なら、一緒に「行き先」「見物する場所」「交通アクセス手段」などを検討してみるといいですね。
事前準備の段階でも子どもとコミュニケーションを取ることは、実際の旅行の満足度を高める有効な方法のひとつです。中高生なら、予算も含めて一緒に考えられたら、金銭教育にもなりますね。
「ふたつのボーナス」は、ふたりで上手に活用する

さて、3つの予算枠を紹介しましたが、どう配分するかは、実際のニーズとも照らし合わせつつ夫婦で話し合っていくことになります。
話し合いは、ふたりの将来の夢や希望を具体化していくこと。なぜなら、理由もなく貯蓄をすることはないからです(逆に言えば貯蓄せず全額使ってしまうのは、将来の展望がないから?)。
ボーナス支給額は、同額ではなく、毎回変動するもの。だからこそ、年に2回(標準的な会社の場合。年3回ボーナスがあるならそのときも)、ボーナスの使い道について話し合ってみてください。
たとえ支給額が厳しい夏であっても、ささやかなご褒美は忘れないように。たまには贅沢な外食を楽しんで、それぞれ自由に使えるおこづかい枠も設定できるとよいですね。
共働き正社員夫婦の家計では、「ふたつのボーナス」をもらえることが何より強力です。上手に活用して「ひとつの家計」をよりよくしていきましょう。
山崎俊輔
フィナンシャルウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー。夫婦で共働き、共家事、共育児しながら子どもふたりを育てている。
Source: Pontaリサーチ