多くの人たちにとって出社勤務は現実のものとなりつつあります。
それが目前に迫っていて、出社勤務に不安を感じている人もいるかもしれません。朝の準備に通勤時間、そして自宅の外で仕事をすることにはなにかと時間がかかります。
ですが時間管理コーチとして私は、出社勤務によって仕事量が減るように感じる人が多いと思っており、全体的に時間を最大活用できるのではと考えています。
この考えは、シカゴ大学のベッカー・フリードマン経済研究所のワーキングペーパーによって裏付けられています。
昨年の在宅勤務の前と在宅勤務中に1万人の経験豊かなプロフェッショナル1万人を分析したところ、この論文では総労働時間は約30%増えたものの、平均生産量に有意な変化はなかったことがわかりました。
つまり、仕事の生産量は変わらなくても、在宅勤務によって個人の生産性は1時間あたり約20%下がったということです。全生産性の1/5の損失というのはかなりの量です。
この結果をふまえて、出社勤務に戻った際に時間を最大活用できる理由が5つあると思います。
1. 就寝時間が早まる
クライアントとの会話や世界中のニュースなどから、定時の通勤電車に乗ったり、決まった時間に出社しなくてよくなったため、昨年、就寝時間がずっと遅くなった人が大勢いたことを知りました。
そのような時間的制約がなくなったことで、真夜中にNetflixをまとめて観たり、SNSをいじったり、無意識にほかの活動をするようになってしまいました。
夜型になった人は、出社勤務が見えてきて、早く起きるためには早く寝なければというプレッシャーが戻ってきたことでしょう。
就寝時間を早めると、デバイスの使用時間が減り、仕事や個人的な活動のために費やす昼間の時間が増えて、時間の過ごし方に対する満足度が全体的に高まるはずです。
2. 定時の勤務時間がある
特に前の晩に夜更かししたとかやる気がない時など、仕事をはじめる時間が自分任せになっていると仕事に取りかかるのに気力がすごく必要だと感じることもあります。
始業時間が午前9時、10時と次第に遅くなっていった人や、目覚まし時計をスヌーズにして起床時間がもっと遅くなり、ベッドからオンライン会議に参加するような人もいました。
しかし、出勤するとなると、他人より30分とか1時間とか遅れて出社するのは気まずいので、定時に勤務することはずっと簡単になるでしょう。
定時の勤務時間があることのメリットには、罪悪感を感じることなく終業時間に仕事を終えられることがあります。
私のクライアントには、始業時間が遅れたのでその分を補わなくてはと感じて、終業時間を過ぎても、しかも予想していたよりもずっと遅い時間まで仕事をする羽目になったと話してくれた人たちがいました。
職場で決まった勤務時間があることのもう1つのメリットは、境界線が引けることです。引け目を感じずに「この仕事は今日は無理ですが、明日やります」と言うことができます。
3. ムダな休憩時間が短縮される
在宅勤務には柔軟性がありますが、ありすぎてマイナスになることもあります。
同僚がその場にいないので、仕事から離れて用事を済ませたり、昼寝をしたり、YouTubeを1時間見ていたりしても誰にも気づかれません。
このような休憩時間を合計すると、日中の「仕事」時間のうち2〜3時間を占めることもあるでしょう。
リラックスして仕事ができることもありますが、逆にストレスになってしまうかもしれません。
仕事をすべて終わらせることができなかったり、ダラダラと休憩を入れて就寝時間まで1日中仕事をするのは気分が良いものではありません。
休憩を短くすると、日中の作業時間を最大に活用でき、夜や週末には自由な時間が過ごせるようになります。
4. 気が散ることが減る
職場でも突然の会議や大声で電話する同僚など、気が散ることはありますが、在宅勤務、特に家族がいる場合にはもっと注意散漫になる要素があります。
ルームメイトがテレビを見ていたり、子どもから質問されたり、遊びたい犬が甘えてきたりと、集中力をそぐものにたくさん囲まれています。
また、仕事に対して気分が乗らないと、皿洗いや洗濯などの家事が至急事項のように思えてくることもあるでしょう。
職場では、このようなことは目の前にないので、気にしなくても済みます。職場にいる時には家事は自分のやることではありません。仕事しながら私的なこともやろうというプレッシャーを感じずに、仕事に集中できます。
5. 同僚からポジティブなプレッシャーを受ける
定時どおりに仕事を始める、休憩を短くすることに加えて、他人がいる環境で仕事をすることには仲間からのポジティブなプレッシャーがあります。
大学の法律図書館のように、ちょっとした物音でも響くような静かな環境で誰もが真剣に勉強に取り組んでいる環境に似ています。
つまり、仕事をしている人たちに囲まれていると、自分も仕事を終わらせるべきだという気持ちになるのです。
それに、明日締め切りの報告書を終わらせないで、オンラインショッピングしているところを人に見られるのは恥ずかしいものです。
進捗状況について対面会議が予定されていれば、メールや電話での確認よりもやる気は出ます。
目標を共有する仲間と同じ場所で働いているという意識と説明責任があるので、生産性を上げるのはそれほど難しくありません。
通勤にはもっと時間がかかるというのは確かにそうですが、週に少なくとも数日の出社には、メリットがあります。昨年、職場で対面で仕事をすることがなかったとしても、出社勤務は、社員が自分たちの時間をうまく管理することに役立ちます。
Source: Becker Friedman Institute, CNN
Originally published by Fast Company [原文]
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