誰もが抱く「後悔」とは、「ああすればよかった」「こうすれば失敗は避けられた」など、自分の振る舞いがもたらすネガティブな感情。
できれば避けたいものでもありますが、現実的には多くの人が、なんらかの後悔を引きずっています。
そこで、「後悔することなく人生をより豊かで有意義なものにする方法」を明かしているのが、『後悔しない生き方 人生をより豊かで有意義なものにする30の方法』(マーク・マチニック 著、弓場隆 訳、ディスカヴァー携書)。16万部突破の記録を打ち立てたベストセラーの新書版で、著者はアメリカの経営コンサルタントです。
仕事や人間関係をより豊かで有意義なものにするには、たったひとつでいいから、ものの見方を変えることだと著者はいいます。いいかえれば、たったひとつのものの見方が、人生を変えるきっかけになるということ。
たとえば八方ふさがりの状況で出口が見つからないときでも、その状況に対する新しいものの見方を学べば、窮地を脱して人生の軌道を変えられるということ。それが「後悔しない行き方」につながるというわけです。
そんな考え方に基づく本書の内容は、大きく分けて次の5つの基本方針にまとめることができるそう。
1 自分の思いに素直になる
2 一日一日を大切に生きる
3 現状を打ち破る
4 困難に挑戦する
5 良心にしたがう
(「はじめに」より)
きょうは第4章「困難に挑戦する」のなかから、ひとつのトピックを抜き出してみましょう。
心のなかの恐怖と向き合う
ほとんどの人は、自分や他の人を居心地の悪い状況に置きたいとは思わないもの。ところが、それで生計を立てている“変わり種”がいるそうで、著者はここでそのティム・ハグストロムという人物について触れています。
彼の仕事は、人々を約10メートルの高さからロープで吊るし、恐怖心の克服を手伝うこと。これは能力開発の訓練で、人を“安全地帯”の外に連れ出してポジティブな変化を起こさせることを目的にしているのだそうです。
ティムによると、慣れ親しんだ環境で同じことを続けていても人間的成長がなく、後悔の原因になるだけだという。
安全地帯にとどまるかぎり、成長して潜在能力を存分に発揮することは望めない。安全地帯を抜け出さないなら、リスク回避型の人間になって自己満足と倦怠感につながる恐れがある。
あなたは安全地帯を抜け出すことに恐怖を感じるかもしれない。
しかし、恐怖と正面から向き合うことは、自分をよく知り、成長を遂げ、行動の変化を促すための唯一の方法だ、とティムは主張する。(120〜121ページより)
彼が参加者にどんなことをさせているのかを知るために、約10メートルの柱によじ登っている自分の姿を想像してみましょう。
柱の上に到達したら、ゆっくりと上体を起こして柱のうえに立ちます(足を踏み外さないように注意)。そして柱からジャンプし、少し離れたところにあるベルを鳴らします。
ところがこのとき、ずっと安全ロープにつながれているにもかかわらず、ほとんどの人はものすごく怖がるのだとか。
こういう大胆な訓練に参加することは、人によってさまざまな問題を引き起こす可能性がある。最もありがちなのが高所恐怖症だが、プラスの面もある。
恐怖のためにできずに後悔していることを比喩の形で理解するきっかけになるからだ。
この場合、「どん底から頂点を目指して這い上がる」「限界を越えるためにもっと努力する」「飛躍するために思い切って挑戦する」といったことである。
参加者はこの訓練によって、これらの比喩の意味を体得し、自分が抱いている過去の後悔について反省する。(121〜122ページより)
このように、人々が安全地帯を抜け出すのを手伝うことがティムの役割だというわけです。
ただし彼は自らも、過去の公開と向き合うために同様の訓練を行なっているのだそうです。
「年に一回は恐怖を体験し乗り越えるように心がけている」と彼は正直に言う。
「去年はカヌーで急流下りをし、一昨年はスカイダイビングとロッククライミングに挑戦した。さらにその前は熱気球に乗って空を飛び、スキューバダイビングをして深海を探検し、ハングライダーで大空を舞った」
さらに、「今年は大勢の人の前で話すことに挑戦するつもりだが、これは今まででいちばん恐怖を感じる挑戦だ」と本音を語っている。(122ページより)
安全地帯から脱出することの意義
安全地帯からの脱出に挑戦することは、自分をよく知って過去の後悔を乗り越える機会になるもの。
だからこそ、心のなかに抱いている恐怖に立ち向かうことは、たとえそれが訓練でも、あるいは実際の人生であったとしても、行動の変化につながるのだといいます。
そのとき、自分についてどのような気づきを得、その経験からなにを学ぶことができるかが重要だということ。
そこで、この項の最後で著者は、「安全地帯から抜け出して、自分の新しい一面をみよう」と著者を促しています。
実際に10メートルの柱からジャンプするかどうかはともかく、この問いかけは心に留めておくべきかもしれません。(120ページより)
自分自身に問いかけてみよう
●安全地帯から抜け出さなければならない状況とは何か?
●その状況でどんな恐怖と向き合うことになるか?
(123ページより)
*
著者の数多くの実体験も盛り込まれているだけに、本書のメッセージはとても厚みを感じさせます。後悔を乗り越えてよりよい明日を生きるためにも、参考にしてみてはいかがでしょうか?
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Source: ディスカヴァー携書