悩みは、生きていくうえで避けられず、心に重くのしかかるものでもあります。しかし、『悩み方教室 心のモヤモヤが晴れる8つの質問』(河田真誠 著、CCCメディアハウス)の著者は、少し違った考え方をお持ちのよう。
自身がさまざまなことに思い悩んできた結果、「悩むこと自体が楽しいし、さらに未来もいい感じになる」という考え方に行き着いたというのです。
だから、「悩みは苦労」という感覚を捨ててほしいのだとか。
先日、近所のカフェで、小さな女の子がいちごのショートケーキにするかフルーツタルトにするかを、ずっと悩んでいた。
他方で、僕の友人は会社の人間関係で悩んでいて心が疲れてしまい、今は仕事を休んでいる。
この2つの悩みを聞くと、ケーキの悩みは「嬉しい悩み」で、人間関係の悩みは「ツライ悩み」と思うかもしれない。
しかし、実は、この2つの悩みを細かく分解してみれば、根本は変わらない。
あなたがツライと思っている悩みも、楽しく悩むことができるのだ、(「はじめに」より)
そもそも、避けようとしても悩みがなくなることはありません。精神的に成長したとしても消えるものではなく、むしろ自分の成長とともに悩みも大きく深くなっていくものであるともいえます。
だから逃げることは諦め、うまくつきあったほうがいいということ。しかも、解決することだけが悩みに対する答えではなく、「関わり方」こそが大切なのだといいます。だとすれば、その関わり方を知りたいところ。
第2章「悩みをスッキリさせる!」のなかから要点を抜き出してみましょう。
悩みとの関わり方1:解決する
悩みを解決する際には、「自分で解決する」と「誰かに解決してもらう」という2つの方法があります。
たとえば「人間関係がうまくいかな」という悩みは自分で解決できるかもしれませんが、「虫歯が痛い」という悩みは歯科医の手を借りない限り、自分だけで解決するのは難しいわけです。
そして、「自分で解決する」か「誰かに解決してもらう」かの判断基準は持っておいたほうがいいと著者はいいます。
この段階で迷うと余計な悩みが増えて、「悩みを解決するために悩む」という、よくわからない状態になってしまうから。
僕は、何か悩みがあるときに、「これまでにやったことがない(悩んだことがない)」ことであれば、最優先でやってみることにしている。
やったことがないからこそ、もしかしたらできるかもしれないし、すごく楽しいかもしれない。
自分の可能性が広がるようなおいしいところを他人に譲るのはもったいない。
逆にもう何度もやってきたことや、できない、楽しくないと経験上わかっていることは、さっさと誰かにお願いすることにしている。(51ページより)
根底にあるのは、「苦手なことに時間を割けるほどには人生は長くないし、もっと価値ある時間を過ごしたい」という思い。たしかに、こうした切り替えは重要なことかもしれません。(50ページより)
悩みとの関わり方2:解決しない(受け入れる)
「解決しない」という解決方法もあるという考えは、少し意外に感じられるものかもしれません。
しかし、すでに起きた「事実」は変えようがないのです。しかし、その事実を「どう思っているか」という自分の捉え方は変えることができるはず。
「どうしても変えられない事実」があるのなら、自分のとらえ方を変えていくしかない。
もし、自分で変えられないときには、「違うとらえ方をしている人」に会うといい。(54ページより)
たとえば著者も、いじめられた過去をいまでは「よかった」と思っているそう。
そうした経験があったからこそ、弱い立場にいる人の気持ちがリアルに感じられるようになったし、いじめられているなかでも自分を大切に扱えていたことは、自身にとっての小さな誇りにもなっているというのです。(52ページより)
悩みとの関わり方3:悩み続ける
抱えている悩みのなかには、解決もせず、受け入れることもしないで、そのまま悩み続けるほうがいいこともあるそうです。
なぜなら解決することではなく、「悩むこと自体」に意味があることも多いから。
たとえば、僕は小学生のときにある小説を読んで以来、「何のために生きているのだろう?」とずっと悩んでいる。
そして「もっと楽しい生き方はないかな?」ということもずっと悩んでいる。
今、不満はなく最高に楽しいけれど、もしかすると、もっと楽しいことがあるかもしれないとも思っている。(55ページより)
決してネガティブな意味ではなく、そのような悩みを持ち続けることで、人生をよりよいものにしてきたということ。
「もっと楽しいことはないかな?」と悩むことで、毎日をよりよいものにすることができるわけです。
つまり、悩むこと自体に価値がある悩みも多いということ。(55ページより)
悩みとの関わり方4:悩まない
悩みがあるということは、なにかを「よりよくして、もっと幸せを感じたい」と願っていること。
逆にいえば、「このままでいい」とすべてを受け入れることができるなら、悩む必要もなくなるはず、もちろん、それは難しいことでもあるのですが。
僕は、できるだけ「こだわりを持たない」で「自然でいる」ことを意識している。
「こだわる」とは、「これでないとダメだ」と選択肢を狭めることなので、こだわりが多いと生きることが大変になる。(57ページより)
余計なものを感じすぎると、それに従って悩みも増えていくもの。
したがって、まわりに反応して生きていくのではなく、自分のなかから自然と湧き出てくるものに意識を向けて生きることも大切だということです。(56ページより)
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著者は「質問家」。聞き慣れない職種ですが、生き方や考え方、働き方などの悩みや問題を質問を通して解決に導く「しつもんの専門家」。
そうしたバックグラウンドを軸に悩みと向き合った本書は、悩みを抱えたビジネスパーソンを精神的に支えてくれそうです。
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Source: CCCメディアハウス