翻訳サイトの質が高まり、通訳デバイスが一般的になっても、英語を話せるようになりたいと思う人は少なくありません。

でも、今は対面のレッスンは行きづらいし、留学も難しいご時世だし、オンライン英会話だと人気の先生は予約が取りづらいしで、なかなか思うようにスキルを伸ばすことができません。

そこで、紹介したいのがAIを使った英会話レッスンです。

AIを使った英会話というと、SiriやAlexaに英語で話しかけるようなものを連想しそうですが、英会話スクール大手の「イーオン」がリリースした、ネイティブとの対話を擬似体験するハンズフリー対話型のAI英会話アプリが、ちゃんと会話のキャッチボールができる上に、文法や発音の練習にもなるんです。

そんな「イーオン」の『AI スピーク チューター』を、英語圏に17年住み、日本に戻ってきてからはオンライン英会話を毎日1時間受けている筆者が、1週間試してみました。

文法とフレーズを丁寧に学べる

英語を勉強し始めた頃は、文章ではなく単語や短いフレーズしか出てこないことが多いです。

例えば、「このセーターはおいくらですか? 」は「How much is the sweater? 」ですが、「How much? 」しか出てこないといった具合です。

しかし、単語1語だろうと、簡単なフレーズだろうと、相手が自分のことを理解しようという姿勢を持っている限り、通じるんですよね。

通じるから、なんとなくそのままになっていて、いざきちんと話そうとすると文法があやふやになってしまう…ということはないでしょうか。

『AI スピーク チューター』は、AIを相手にシチュエーション別のやりとりをシミュレーションしながら、フレーズを学べる英語アプリなんです。

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Screenshop:中川真知子 via AI スピーク チューター

AIを相手に、ロールプレイとフレーズや発音のチェックをしてもらいながら、学んだフレーズを使った応用なども身につけていくことができます。

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Screenshop:中川真知子 via AI スピーク チューター

例えば、これはホテルのフロントに電話をして、「タオルを持ってきてほしい」と頼むシチュエーションの一部。

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Screenshop:中川真知子 via AI スピーク チューター

理想の答えは、左です。

日本語を英語にし、ポンポンと言葉を発しなければならないので、多少焦ってしまいました。

見本のセリフと自分の録音を照らし合わせながら確認することができるので、正しい文法や表現を学ぶことができます。

その後、「Drill Practice」で、習ったフレーズをAIに測定してもらい、別の表現方法を学習していきます。

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Screenshop:中川真知子 via AI スピーク チューター

My voice」ボタンをタップすれば自分の録音音声を聞くことができ、「Try again」では録音し直すことができます。

録音し直すと、AIが再び測定してくれるので、その場でスコアが変化していくのが確認できます。

上達を実感するだけでなく、可視化してくれるのは嬉しいですよ。

学べるシチュエーションは240。上級レベルはかなり難しい

アプリで学べるフレーズやセリフは、徐々にレベルをあげていくものと、1〜30のシチュエーション別、レベル別から選ぶことが可能で、セリフの数は合計で1200程度にものぼるそう。

初級は簡単ですが、上級ともなるとかなり大変…。英語で友人と話すほうがはるかにラクだと感じました。

というのも、下のようにセリフがあらかじめ決められているので、日本語で書かれた内容と状況を理解して、瞬時に英語に変換し、口に出さなければならないのです。

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Screenshop:中川真知子 via AI スピーク チューター

しかも、AIが根気強く待ってくれるのではなく、考えていると「Sorry, I can't understand.」と畳み掛けてきます。

英文→和文の翻訳とも、英語→日本語の通訳とも違う、和文→英語というハイブリッドで、しかもかなりのスピードを求められるため、高度なスキルを要します。

また、自分なら言わない、考えたこともないようなセリフを訳すパターンも多々あるので、20年以上英語を勉強し、海外に住んでいた頃、1日に10時間ほど英語で生活してきた筆者でも、何度もしくじり、「ぐぬぬぬぬ」となったほど。

その代わり、自分が得意とするジャンル以外の語彙力や表現力が手に入り、満足度は高いです。それに、レッスンを終えた時の達成感もかなりのものでした。

でも、アプリだけでは英語マスターにはなりにくい

『AI スピーク チューター』なら、何度間違えても恥をかくこともなければ、相手を待たせてしまう心配もありません

それに、人間相手だと、文法が間違っていたり、単語が出てこなくてもジェスチャーで理解してもらえますが、AIだとそういうこともありません。

しっかりと文法を学びたい人、初めから英語を学びたい人、対人だと緊張してしまったり、間違えるのが怖いと思っている人、いや、全ての英語を学びたい人たちにとって強い味方になってくれるはずです。

しかし、これだけやっていけば英語マスターになれるかどうかといえば、疑問が残ります。

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Photo:中川真知子

というのも、レッスンのあり方は、どちらかというと詰め込みと口を条件反射的に動かす、いわばスポ根ラーニング法です。

状況に応じてサッと口は動くようになるかもしれませんが、友人とカフェに行ったり、飲みに行ったりした時の会話が楽しめるか、といったらできないかもしれません。

そもそも、英語はコミュニケーションツールなので、生身の人間と意思疎通できなければ意味がありません。

AIとの会話といっても、練習できるのはAIが指示したセリフのみ。そこに、自分の性格や背景が反映されることはありません

実際、筆者なら言わないようなセリフも多々ありました。

例えば、「It's a little expensive.(ちょっと高いね)」というセリフすら、筆者なら、expensiveという直接的な言葉ではなく、「It's a little over my budget.(予算オーバーだわ)」と表現します。

『AI スピーク チューター』は効果的ですが、人を相手にしたアウトプットも同時に組み合わせておかないと、「いざ本番となったら、習った会話以外の話題になって話せなかった」なんてことになりかねないと思いました。

目標があれば、続きそう?

ゲームのようにレベルアップしていくのを体感できるので楽しいし、目的をもっている人なら続けられそうです。

ただ、筆者のように、外国人と話すのが楽しくて仕方がないという人は、『AI スピーク チューター』では会話のキャッチボールができないので、飽きてしまう可能性があります。

そういう人は、脳と口のトレーニング用と割り切り、対人レッスンと併用しながら使うのがおすすめ。

インプットとアウトプットのバランスがよくなるので、スキルアップの速度が大幅に上がりそうです。

英語で聞いて英語で受け応えるよりも、脳が複雑なプロセスを踏むので、頭の回転を早くする強化特訓にもなります。

小さい子どもの習い事には不向きかも

昨今は、早い段階で英語学習する子どもも増えています。

現に筆者も、息子の英語学習には力を入れていて、さまざまな経験をさせてきました。

その上で、『AI スピーク チューター』が小さい子ども向きか考えてみると、不向きだと思います。中学生でも、難しいのではないでしょうか。

レベルはもちろんのこと、前提として設定が大人向きです(家庭と仕事の両立がうまくかないと悩んでいる大人に、子どもがどんなアドバイスができるでしょうか? )。

普段から英語の小説を読んでいるような子で、SiriやAlexaに英語で話しかけて力試しをしているような子ならいいかもしれませんが、ダイアログの設定を想像する必要もあるので、難易度はとても高いと思います。

もし小さい子どもに英語を本当に学ばせたいのなら、もっとも効果的なのは、対面の少人数グループレッスン

ライバルの存在により、切磋琢磨して飛躍的に伸びますし、先生と一緒に体を使った学びができます。

『AI スピーク チューター』は、対面の少人数グループレッスンとは真逆。

他の英語レッスンと価格で比較して、価格重視で子どもにやらせてみるというのは、あまりおすすめしません。


『AI スピーク チューター』は、スマートフォンさえあれば時間や場所を気にせず、レベルに合った英語のレッスンを受けられるアプリです。

初心者はもちろん、イントネーションやアクセントを直したい、表現幅を広げたい、視野を広げたいと感じている英語上級者も楽しめると思います。

アウトプットと併用すれば、さらなる自信をつけてくれそうです。

お値段は、月額3,300円(税込)とお手頃価格。まずは、7日間の無料お試しを使ってみてはいかがでしょうか。

Source: 英会話イーオン