1日の終わりには体が重い…。
こんな風に、テレワークで体の不調を訴える人が増えているようです。職場と違い、机や椅子などの作業環境、オンオフの切り替えなどに悩みを抱えている人も少なくないのではないでしょうか?
そんな中、オフィス家具メーカーのオカムラがテレワークで疲れにくい姿勢・休憩・環境をテーマにウェビナーを開催。エルゴノミクス(人間工学)の視点から、今すぐ取り組める具体的なTipsが盛りだくさんでした。
コロナ禍による本格的なテレワーク始動からはや1年。今こそ自身のスタイルを見直したい方は必見です。
テレワークでパフォーマンスが低下?
講師は、新しい働き方や働く場の重要性をセミナー・研修等で発信されているオカムラ/ワークデザインストラテジー部の武田浩二さん。
前半ではさまざまな調査データを元に、「働き方の自由度が高まる中で、オフィス、テレワーク両方での働く場への投資が重要になる」という話がありました。
その働く場を考える上で紹介されていたのが疾病就業(プレゼンティーズム)というワード。
疾病就業(プレゼンティーズム)とは 従業員が出社していても、何らかも不調のせいで頭や体が思うように働かず、本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態のこと。
そしてこの状態の原因となっているのが座り過ぎ、だというのです。

そもそも自宅では適切な作業環境を用意できていなかったり、休憩を取るタイミングをつかみづらいもの。テレワークではこの姿勢がオフィスにいる時よりも長続きしやすい傾向がありそうです。
とはいえ見て見ぬフリをしていると大変なことに。座り過ぎは、あらゆる面で私たちの健康を蝕んでいるのです。
座り過ぎが良くない3つの理由
武田さん曰く、座り過ぎは体の健康だけでなく、心の健康にもマイナスに作用するとのこと。仕事中に座っている時間が長いほど2年後のメンタルヘルスが悪化しやすい、というデータもあり、座り過ぎは心身に大きな悪影響をもたらすのです。
また、組織、会社にとっても看過できないデメリットもあるそうで、仕事中に座っている時間が長いほどワークエンゲージメントが低下し、燃え尽き症候群になってしまうこともあるのだとか。
体、心、組織、このすべてがうまく機能するためにも、良い座り方や、座り過ぎを防ぐための工夫が必要だということです。
では、座り過ぎはどんなところから改善していけば良いのでしょうか? 武田さんによれば、姿勢・休憩・環境の整備、この3つが重要なポイントになるそうです。
一つずつ見ていきましょう。
Posture: 正しい姿勢を意識する
まずは立ち姿勢からチェックです。

まずは壁の前に立って、後頭部、肩甲骨の間、骨盤、かかとを壁につけてまっすぐ立ってみましょう。首、腰のあたりはゆるやかなS字を描きます。頭は体の真上に据え、余計な力を抜いてください。
やってみると、思った以上にキツく感じました。普段いかに正しく立てていないのかがよく分かります。

次に座姿勢です。以下の項目、いくつクリアできていますか?
座っているときの姿勢チェックリスト
①座面の高さ(足裏が床に届かない場合はクッションなどで調整を)
②座面の奥行き(膝裏に指2、3本分の隙間を。エコノミー症候群防止)
③肘の高さ(腕が支持されているか?)
④⑤腰掛けの深さ(座面奥まで腰掛け、背もたれに当たっているか?)
筆者もこれに従って自身の環境をチェックしてみました。すると、普段の作業スタイルだと肘が机から落ちて、肩に負担がかかっていることに気づきました。
片腕、 頭は5kgほどあり、その重量はボーリングの球1つ分にも相当するとのこと。肘をサポートできていなかったり、首が前に出ていると上半身がこるのも無理はありません。
Break: アクティブレストで血行促進

次に気をつけたいのが休憩の取り方です。
テレワーク中、空気の入れ替えはできてますか? 外の風を取り入れるだけで気分が変わりますよね。筆者は普段、リビングで仕事していますが、空気の入れ替えをする際には寝室や他の部屋の窓も開けて、少し体を動かすようにしています。
武田さんによると、座りすぎていると筋肉ポンプが働かないのだそう。血液が重力で下がることでむくみの原因になるので、仕事中にも立ち姿勢を取り入れることがオススメなのだとか。眠気の抑制、腰の痛みの軽減にもつながります。
筆者は普段から竹踏みスリッパを愛用中なのですが、履いて立つだけでも血液が足元から押し上げられる感覚があります。こうした身の回りのアイテムを見直してみるのも一つかもしれません。
Facility: 仕事する環境を自ら設定する

最後のポイントは働く環境の整備です。
机や椅子だけではなく、そのほかデバイスや周辺ツールを含め、トータルで体全体に無理が生じていないか、改めてチェックしてみましょう。
先ほどの姿勢と大きく関わりがあるのがキーボードとディスプレイの位置。目線の高さを上げるためにノートPCスタンドを使う場合、備え付けのキーボードでタイプすると肩や肘に余計な力がかかり、こりにつながる恐れも。
作業環境整備については厚労省が「テレワークにおける適切な労務管理のガイドライン」を出しています。ガイドラインのp21にわかりやすい図解が載っているので、こちらも合わせてチェックしてみてください。
働く姿勢をこまめに変えてみよう
武田さんによれば、「働く姿勢を変えてみる」ことも非常に重要だとのこと。
立ったり座ったり休憩を入れたり…同じ座り姿勢でも腰回りにクッションを挟んで変化を加えてみたりしながら、身体に負担のかからない好ましい姿勢を保つことが望ましいそうです。
具体的な実践方法としては以下の3つです。
1. ポモドーロテクニック(25分集中5分休憩)
2. ペットボトルは使わず飲み物は小さなコップで(おかわりで立ち上がる)
3. 資料や新聞、書籍などは立って読んでみる
1のポモドーロテクニックは筆者も実践したことがあります。まずはスマホで25分ごとにタイマーが鳴るようリピート設定。アラームが鳴ったら前傾姿勢を起こし、深呼吸。遠くを見るようにすると目の休憩にもなるので一石二鳥です。
時間で区切る方法が合わない方は2、3のような、強制的に立ち上がる作業やタイミングを設けるのがいいかもしれません。ほんの小さな動作でもこまめに動きを入れて、長時間の“〇〇しっぱなし状態”を作らないように工夫してみましょう。
オカムラでは5年前から「働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変える」取り組むとしてWORK MILLプロジェクトが始動。毎週更新されるWEBマガジンでもビジネスパーソンに役立つ情報を多岐に渡って紹介しているので、そちらもチェックしてみてください。
働く場所が変わっても今回の基礎を押さえておけば安心です。少しずつ習慣化して、体に無理のないスタイルを確立していきたいですね。