セレブの習慣を真似てみたり、自らの習慣を編集して時間を最大限に活用したりと、多くの人が習慣の力に魅せられています。
この風潮を受けて、メディアは「成功者」の毎日をよく取り上げています。確かに、他者の生き方から学べることは多くあります。
でも、それは完ぺきではありません。
あの俳優のマーク・ウォルバーグ氏でさえ、毎日同じような生産的な日々を過ごしているわけではないのです。人生は予測不能であり、日々変化が訪れます。
習慣を実践するのはとても大切なことですが、生産性のエキスパート1人の発言が、万人に当てはまるわけではないのです。
それなのに私たちは、「憧れのあの人みたいに成功したい」という思いから、無茶なスケジュールを作ってしまいがち。
でも、成功には厳しい習慣の維持こそが不可欠であるということを疑わない限り、それが無茶であることに気づくことはできません。
そうしてスケジュールを詰め込むことで、充実した生活を送っているかのように勘違いしてしまう人が多いのす。
視点を変えてみる
でも、スケジュール通りにタスクをこなしていても、なりたい自分になれるわけではありません。このことについて、ライターのAustin Kleon氏はこう述べています。
次にすべきことを決めるとき、私はいつも「自分はどんな毎日を送りたいのか」と自問するようにしています。実際、人生の選択に迷ったときには、ほぼこの質問が使えるのではないでしょうか。
どんなキャリアを選ぶべきか。学校に戻るべきか。どこに住むべきか。結婚すべきか。子どもを持つべきか。犬を飼うべきか。ピアノを始めるべきか。
そんなとき、「自分はどんな毎日を送りたいのか」と問えば、その選択によって訪れることになる日々の現実を想像できるでしょう。
Kleon氏は、習慣のハックを否定しているわけではありません。ただ、理想的な過ごし方について考えることで、人生におけるもっと大きな疑問を見つけることができると言いたいのです。
それと同時に私にとってこの質問は、今まで何となく受け入れてきたものとは違う生き方があることを教えてくれます。
Kleon氏は別の記事において、映画監督のポール・トーマス・アンダーソン氏が日中に仕事のために本を読むようになったという事実に驚き、アンダーソン氏の言葉を引用しています。
今でも、昼間から本を読んでいると、なんだか悪いことをしているように感じることがあります。
私は、毎朝10時に本を読んでいます。朝は仕事に行かなくちゃいけない、次に何かをしなくちゃいけない、その次は…というのは、刷り込みに過ぎないと思うんですよ。
それなのに、生活のためにやっていることにもかかわらず、罪悪感が伴うのです。だって、10時ですよ。
でも同時に、自分は昼間から本を読める生活を手に入れたという喜びに浸っている自分もいます。
このようにアンダーソン氏は、「すべきこと」と「したいこと」の間で揺れ動く心の葛藤について語っています。
読書、すなわち何も生み出さない贅沢な時間を過ごすことに違和感を持ちつつも、理想の暮らしを思い描くとき、そんな風に過ごせたらなと思う人は多いでしょう。
だったら、それを特別な機会にしておくのはもったいないと思いませんか?
そうしたいのはやまやまだけど、自分の思うように1日を組み立てられないという人は多いでしょう。
とはいえここで言いたいことは、私が最近朝の習慣を変えたことが、単純に1日を1時間後ろ倒しにするというアイデアよりも大きな変化に感じられるのと同じです。
私は次から次へと息をつく間もなく、コーヒーを飲む間もなくタスクをこなす日々に嫌気がさしてしまったのです。もちろん、早起きしてその日のタスクを前倒しで進めるのが楽しい人は、それでまったく問題ありません。
1日の組み立て方
問題なのは、なりたい「あの人」みたいに1日中フル稼働でいられない自分に、罪悪感や羞恥心を持ってしまうこと。
でも、よく考えて。
あなたは本当に、30分刻みで無駄なく効率的に作られたスケジュール通りの日々を送りたいですか? そうすることで、あなたはどこに向かおうとしているのですか? もっと違った毎日を、送りたくはないですか?
要約すると、今やっていることの理由を自らに問うこと、そして意識することを意識すること。
あなたがハーフマラソンに向けて特訓しているのは、自分が走りたいからですか? それとも、チェックリストにある誰かの名前に、チェックを入れたいからですか?
早めに職場に着いて上司よりも遅く帰るのは、それが楽しいからですか? それとも、点数稼ぎのためですか?
あなたの最終目的は何ですか?
本当に1日を効率的に使うことが目標であれば、スケジュールをハックするのは1つの方法です。そうでなければ、本を読んでもOKなんですよ。
──この記事は、2019年2月12日の記事を再編集して掲載しています。
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Source: marieclaire.co.uk, deadspin.com, austinkleon.com(1, 2)