パンデミックの霧が晴れない現状で、ものごとをやり遂げるのは難しくなっていませんか?
いつも使っている時間管理モードは、ある時点を過ぎると効率的でないように感じることもあります。定番の「やること(ToDo)リスト」はやる気のためのツールではなく、次第に義務のかたまりに見えてくることもあるでしょう。
在宅勤務を続ける中、私は自分のエネルギーが減ってきているのに気づきました。 ゆっくりと、確実に起こっています。
午後には意欲とエネルギーが低下してしまうので、50回ジャンピングジャックをしたり、コーヒーをがぶ飲みしたり(こちらのほうが頻繁ですが)など、自分を「目覚めさせる」行動で生産性を保たなければなりません。
ここ数週間は、ポモドーロ・テクニックやタイムブロッキングなど生産性のためにいろいろな方法をやってみましたが、今回は違うことを試してみることにしたのです。
目次
「やらないことリスト」を導入してみた

この2週間、私は「やらないこと(to-don’t)」のリストを使ってみたのです。
「やること」リストの逆だと思うかもしれませんが、やらないことリストは自分のエネルギーと意欲を削ぐ活動を厳選したものです。
中には魅力的な活動もあるのですが、はじめてしまうと気が散って集中力が失われ、自分がもっとも生産的になれる時間がとんどん奪われるという悪循環にはまってしまうのです。
「やらないことリスト」作成時のポイント
このリストを作成する時は、自分に何が必要かどうかを考えて調整します。
時間管理コーチであり、Fast Companyに定期的に寄稿しているElizabeth Grace Saunders氏によると、自分の行動を認識することからはじめるのが良いそうです。
Saunders氏は、少なくともリストをつくりはじめる時には、1日の最後にその日をレビューすることからはじめるべきだと述べています。
1日の終わりに、その日を振り返って、達成できたこととできなかったことを確認します。
また、計画には含まれていなかったけれども行なった活動を評価することもできます。
「(その行動は)やる価値があったか? 楽しかったか? フラストレーションを感じたか、脱線したと感じたか?」と自問しましょう。
自分が行なった選択についてどう感じたかを追跡することで、自分にとって何が健全で、何が健全ではないかを見出すことができます。
では、私がこの2週間の実験で学んだことを以下に挙げます。
1. 時間を無駄にしないリマインダーになる
褒め言葉で励ましてくれるだけではなく、必要な時には「厳しい愛情」からのフィードバックをくれる友人のように、このリストは説明責任を示すビジュアルとして機能し、1日の重要な部分にフォーカスできるようになりました。
リストをつくる時に、まず毎日の活動で役立っていないものを考えました。明らかなものもありましたし、気づかないうちに忍び込んでいるものもありました。
また、リストに載せるために表現をひっくり返したものもありました。たとえば、8時間動かないでいること、ニュース消費に時間を費やしすぎること、机の上を意味なく散らかしておくことなどです。
最初はこれらの項目をGoogleドキュメントに集めましたが、最終的にはやるべきではない行動をシンプル極まりない形式(罫線入りの紙)に記すことにしました。
紙という触ることのできる媒体を使うことによって、プロジェクトを区別することができただけではなく、PCのウィンドウとアプリの間を行ったり来たりしてタスクを行なう自分の傾向を減らすこともできました。
最終リストには7項目が残りました。「目のために休憩することを忘れない」「1カ所に1時間以上座らない」など、どれもシンプルなものばかりでした。
この新しいルールに固執するがゆえに、最初はフロー状態が中断されてイライラすることもありました。
でも、使っていくにつれてリストの効果に気づきました。今まで感じていた心身の疲労感が減ったのです(目が冴えている状態が続いて、長い休憩を取ることも少なくなりました)。
午後に感じていた倦怠感もそれほどではなくなり、午後の仕事時間が確保できるようになりました。
カフェインを飲み過ぎないこともリストに入れていたので、もっと水を飲むようになりました。そして、それはPCから離れて、ちょっと一息入れるためのメンタル面のリマインダーにもなったのです。
ある行動をルーティンから除外したことで、その行動の価値(または価値がないこと)がずっと明らかになりました。
たとえば、これまではSNSのニュースフィードを1日中定期的に更新していました。最新のニュースが見られて、仕事の役に立つのです。
しかし、この方法では複数のサイトに掲載されている同じようなニュースを何度も見ることになり時間の無駄です。このプロセスでは、知らないうちにエネルギーが消耗され、そして多くの時間も費やされていました。
ですから、感嘆詞が飛び交う見出しを見るたびにそれに飛びつくのではなく、ニュースをレビューするのは10分間だけと決めました。
そうすると、似たようなキーワードにはさっと目を通すだけになり、同じような情報は省略するようになったのです。
2. エネルギーと集中力の混沌状態が避けられる

「やらないことリスト」を使っていると、1日にどの時間帯と、どのエリアに労力を多く注いでいるかが自然にわかることに気づきました。
どの活動が役立っていないかが認識でき、エネルギーや集中力がベストな状態で発揮できる時間やエリアが特定できました。自分にとって、それは午前中と仕事が終わる直前の最後のひと頑張りの時間でした。
Saunders氏によると、このような認識は、在宅では仕事に時間がかかりすぎていると感じている人や、スケジュール設定に新しいアプローチが必要な人に特に役立つそうです。
リモート業務には、やらないことリストが役立つと思います。在宅では、退屈から刺激を求めて、心があちこちへさまよいますから。
退屈している時の自分の不健全なパターンを知って、それを予防的に制限することはその時々でプラスの選択をするのに役立ちます。
また、やることリストにある平凡で仕事に関係のないタスクが、時間とエネルギーの浪費につながりがちな点にも気づきました。
何かの予約をしたり、家庭用品の補充をオンラインで注文したりというような活動は、自動化するか、まとめて処理することが自分のスケジュールに役立ちました。
でないと、突然掃除をはじめたり、家事を終えてのんびり休憩しすぎたりして、深みにどんどんはまってしまうのです。
「やらないことリスト」が目の前にあることで、最初は生産的だと思っていた不健全な習慣をいっそう効果的に監視することができました。
これにはメールに時間をかけすぎていることも含まれていました。それに気づいたので、もっと意図的に「10秒でさっと」メールを見て、対応すべきものだけに返答するようにしました。
また、「やらないことリスト」を使うとタスク間の切り替えが減り、いろいろなタスクを行ったり来たりすることが決断力とフォーカスに与える悪影響が見えてきました。
リストに目をやるだけで、午後に半分しか終わっていないタスクが溜まるのを防ぐことができたのです。
3. 午後に生産性が下がるのを防げる
このリストを頻繁にチェックすることで、エネルギーを注ぐ部分を絞り込めただけではなく、1日の終わりにはもっと達成感が感じられるようになりました。
「やることリスト」とは違ってこのリストには線を引かないのですが、リスト項目を守るために自制心を行使できたと褒められる点がポイントなのでしょう。
夕方までにやらなければならないことのリストではなかったので、達成できなかったと自己嫌悪に陥ることも減りましたし、このリストのおかげで自分が行き詰まる理由もわかりました。
特に疲労感を感じた日の例ですが、リストの3番目の「ランチに炭水化物を食べすぎない」を守っていなかったことに気づいたのです。
Saunders氏は、やらないことリストによって自分が無意識に繰り返す可能性のある非生産的なマンネリ行動から離れることができると言います。
これらの活動は簡単だったり魅力的だったり、または単に習慣だからやっていますが、(通常は)充実感は伴いません。
私のようなリモートワーカーの多くにとって、現在のように社会的関与が少ない仕事場ではオンライン時間が増えています。
もう就業時間ではないと自分に言い聞かせたとしても、ついついオンラインで時間を費やしてしまうのです。仕事と仕事以外の時間を区別するのに役立つというのも、やらないことリストのさらなる利点です。
Saunders氏もこれには同意しており、仕事と仕事以外の境界線がぼやけていることがこのリストに頼るべき理由の1つだと述べています。
クライアントや知人など大勢の人たちから耳にしているのは、過去数カ月でSNSとニュースを劇的に減らしたら気分がはるかに良くなったということです。
日常生活ではあらゆることについての情報が簡単に流れ込んでくるので、どこで、どのように制限を設けるかを学ぶ必要がありますね。
「やらないことリスト」のデメリット
「やらないことリスト」は、日々の無駄な行動を厳選するのに役立ったという点で、全体的に有益な実験でした。
でも、目標に集中するためには大きな優先順位が必要だと感じて、物足りなさもありました。
仕事が山積みになっている時、公私とも特に混沌としている時の手軽なリマインダーとしてこのリストを使うことができます。
週ごとに劇的に変わるようなものではないため、やることリストに取って代わることはありませんが、毎日の優先順位を特定して合理化するのには役立つでしょう。
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