誰でも、決断や状況について考え過ぎてしまうことがありますが、人によってはそれが強迫観念になり、日常生活に支障が生じるケースもあります。
たとえば、難しい決断をしなければならないときに、それぞれの選択肢のリスクやメリットを比較し、想定されうる結果について考えるのは妥当なことです。
しかし、最悪のシナリオばかりが頭に浮かび、絶対にそうなるとしか思えなくなっているなら、その思考パターンを止めるために何らかの手を打つべきです。
反芻(はんすう) vs 心配
考え過ぎは、一般に、「反芻」と「心配」の2つのカテゴリに分類されます。
反芻には、状況や問題を頭の中で繰り返し再現するという行為が含まれる、と元イエール大学の心理学教授Susan Nolen-Hoeksema博士は言っています。
ドイチェ・ヴェレ(ドイツの公共国際放送局)の科学ジャーナリストFarah Aqel氏は、反芻について次のように説明しています。
反芻は、自分の思考に執着し、過去の状況のあらゆる細部について繰り返し考えることを言います。
(中略)そのような思考パターンに陥りがちな人は、たとえば、別れたパートナーとの関係について、重箱の隅をつつくようにあらゆる細部を過剰に分析したりします。
そして、起きた出来事について自分を責め、後悔の念に苦しみながら、次のような考えにとりつかれるのです。
・私はもっと忍耐強く、もっと協力的であるべきだった。
・私はこの世で最も完璧なパートナーを失ってしまった。
・私のことを愛してくれる人は二度と現れないだろう。
反芻は一般的に、後悔や自己嫌悪、自己非難を伴い、うつ病や不安、摂食障害の発症にもつながる可能性がある、とAqel氏は報告しています。
一方、心配は、未来を予測したいという願望の反映であり、ある状況において、起きそうなこと、起きそうもないことについて、ネガティブな考えを抱くことです。
心配は、ストレスフルで消耗するものですが、一般的に生活に支障が出るほどの事態には至りません。しかし、もし心配が行き過ぎていると思ったら、次のことを試してください。
考え過ぎを止める方法
良い知らせは、考え過ぎをやめる方法がいくつかあるということです。
ボン大学の心理療法士であるRuben Berger氏のアドバイスを以下に紹介します。
1. 思考を止めるテクニックを使う
ネガティブな思考のスパイラルに陥っていることに気づいたら、自分に向かって大声で「ストップ」と言うことを、Berger氏は勧めています。
2. 思考は思考に過ぎないと自分に言い聞かせる
慢性的に考え過ぎる人は、自分のネガティブな考えが事実であると信じ込んでいます。
「それは本当か?」「実際に起きたことか?」「起こりうる最悪の事態は何か?」と自問することで、自分の思考に疑問を投げかけてください。
3. マインドフルネス
「心を今この瞬間に向け、思考をそのまま流すようにすると、反芻や心配を止めやすくなる」とBerger氏は言っています。
4. 思考をリフレーミングする
問題そのものより、状況をどう捉えるかの方が、感情や行動に大きな影響を及ぼします。状況の捉え方をリフレーミングすることで、思考の主導権を取り戻すことができます。
──2020年8月29日の記事を再編集のうえ、再掲しています。
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