筆者は子どもの頃からアスリートだったのですが、いつも目指していたのは「フロー状態(ある活動に完全に没頭し、集中できている心理的状態)」を実現することでした。
コーチなら「フローを見つける」「ゾーンに入る」「ピークパフォーマンス」などと表現する状態です。
強烈な集中力とリラックスしていながらも発揮できる力の組み合わせという望ましい状態なのですが、これはトップアスリートでさえもめったに達成できないものでした。
しかし、このフローはスポーツの世界だけに需要があるのではありません。特に現在のデジタル世界では、職場でのフローはますます重要になっています。
そして、これには正当な理由があります。フローは、エンゲージメントを維持し、モチベーションを高め、パフォーマンスを向上させ、さらには幸福にもつながるからです。
フローを実現するのは容易ではありませんが、以下にフローの可能性を最適化できる方法を挙げました。
1. 現実的な目標を設定する
「フロー理論の提唱者」として知られる心理学者のMihaly Csikszentmihalyi教授によれば、フローを達成するための重要な前提条件は、現実的な目標を設定することです。
目標を設定すれば、タスクに完全に集中できるようになります。あまりに多くの人たちが仕事関連の目標を設定していないのは、驚くべきことです。
目標を設定するとたまには単独のフローが起こることもありますが、最終的な目的は一貫したフローを実現することです。
これは、Csikszentmihalyi教授が「統一されたフロー体験」と呼ぶものです。一貫したフローを実現するには、すべての目標を結びつけて、目標間の相互依存関係を明確にしなければなりません。
また、高すぎる目標は小さな目標に分ける必要があります。それは、相互関係のある目標と主要な結果(OKR)を通じて行なうのが理想です。
2. 内発的な動機がある仕事を見つける
研究によって明らかになっていることですが、外発的な動機づけではフローは増えません。フローは内発的な動機によって駆り立てられるものです。
仕事やスポーツにおいて、内発的な動機をもっとも高めるのは多くの場合情熱です。自分が情熱を注いでいる仕事に没頭すると、フローが起こる可能性が高くなります。
マネージャーはこの点を意識して、ボーナスや昇進などの外的な報酬よりも社員の情熱を高めることを優先すべきでしょう。
3. 仕事の中断を最小限に抑える(特に会議)
フローの重要な特徴の1つは、タスクをコントロールできているという感覚です。職場でありがちな中断は、そのコントロール感覚を失うことにつながります。大抵は会議が最悪の中断です。
どんな企業でも会議を見直して、会議がどんどん肥大化している状況を体系的に理解することが役立つはずです。
場合によっては、まったくの白紙からはじめて、会議文化を作り直す必要があるでしょう。
>>会議を見直す方法についてはこちらをチェック
4. メンタルヘルスを優先する
フローとは精神状態なので、メンタルヘルスと密接に関連があります。メンタルヘルスを優先すると、フローを実現する可能性が高まるでしょう。
近年、職場におけるメンタルヘルスについては前向きなシフトが起き、タブーではなく重要なトピックだと考えられるようになっています。
しかし、別のシフトも起こらなければなりません。それは、メンタルヘルスは個人の責任という視点から、マネージャーの責任でもあるという考えへのシフトです。
マネージャーは研修やツールを利用して、社員がメンタルヘルスを主導的に管理して、フローの達成にふさわしい精神的基盤を築けるよう力を与える必要があります。
フローには、肩の力を抜いてリラックスしている要素がありますが、それは最小限の労力でフローを達成できるという意味ではありません。
上述したコミットメントを意識的に実践することで、成功だけではなく幸福にもつながるピークパフォーマンス状態を達成することが可能になります。
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Source: TED, ResearchGate
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