企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やあらゆる生活シーンにおけるデジタル化の加速。ビジネスパーソンなら、身をもって時代の変化を感じていることでしょう。
当然、プログラミングやITエンジニアリングも注目されており、ITエンジニアの需要は高まっています。新しくチャレンジするには大きなチャンスなのですが、「他業種からの転職はハードルが高い」と思っている人も多いはず。
そこで今回は、経験ゼロから文系のSE(システムエンジニア。クライアントが求めるシステムを考えて、開発・導入を行う職種)としてIT業界で働き始め、キャリアを重ねながらマイクロソフトをはじめとしたさまざまな企業で活躍してきた澤 円さんを直撃。これからの時代にプログラミングが必要な理由、新しいITエンジニア像や求められる思考法など、さまざまなことを伺いました。
なにもわからないところからプログラミングの世界に飛び込んだ

現在、自らの会社『株式会社圓窓』で代表取締役を務める澤さん。キャリアの出発点は、経済学部卒業後にSEとして入社した生命保険会社のIT系子会社でした。
1997年に日本マイクロソフト株式会社(当時はマイクロソフト株式会社)に転職したあとは、情報共有系コンサルタント、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2018年には業務執行役員に就任。当時は年間300回以上のプレゼンをこなし、「プレゼンの神」とも呼ばれていました。新入社員当時からさぞかし優秀なSEだったと思いきや、「スーパーポンコツエンジニアでした」と意外な言葉。
「僕がプログラミングを始めたのは1993年。世の中にインターネットもなかった時代です。書籍も少ないし、社会人向けの専門学校も僕の知る限り周りにありませんでした。とにかく情報が足りなくて苦労しました。当時の先輩がとても優しくて、その人から教わってどうにか学んでいましたね」と当時を振り返ります。
しかし、その苦労のお陰で身についたITエンジニアとしてのバックグラウンドが、その後の澤さんを支えてくれたとのこと。
「バリバリの右脳派で直感タイプでしたが、ITエンジニアとしての経験で左脳を使った論理立てた思考法を体験することができました。右脳と左脳の両方で仕事ができるのは、いざというときの保険にもなります。直感と論理的に考える思考法を両立できたことは、後々のビジネスマン生活をずっと支えてくれました。そういった意味では、プログラミングはコスパがいい学びでしたね」
プログラミングスキルはキャリアの幅を広げる近道

プログラミングスキルを学ぶことで、右脳と左脳を使い分けるようになれた澤さん。しかし、学びのメリットはそれだけではないそうです。最も大きいのは「世の中の仕組みが分かるようになる」ことなのだとか。
「現代社会の都市生活は、ほぼ全てソフトウェアで制御されています。プログラミングスキルを学ぶことで、その仕組みを知ることができる。
そもそも、プログラミングはビジネスの考え方そのものです。if文という基本的なプログラムの構文があるのですが、これはいわゆる条件分岐。“Aを行えばBが発生する”といった特定の条件で処理を実行するプログラムです。
仮説に対してアクションを決めるのは、まさにビジネスの考え方。“もし100万円以上の予算がかかるならやらない”という思考法と同じで、ITエンジニア以外でも自分の仕事に応用することが可能です。それによって、合理的に物事を判断できるようになるでしょう」

今、プログラミングスキルを持ったITエンジニアの需要は高い状態(※上図の左側参照)です。技術を身につければ、フリーランサーとして個人の力量で働くこともできるし、働く場所を選びません。テレワークや副業といった新しい働き方とも親和性が高く、就職先や転職先の候補としても注目が集まっています。
しかし、澤さんはより未来を見据えています。希望的観測も含めて、今後、企業とITエンジニアの関係は大きく変化すると考えているそうです。
「海外では事業会社が直接、ITエンジニアを雇用していますが、日本ではその多くがSIer(システムインテグレーター。システム構築を請け負う会社のこと)に所属しています。プログラムをアウトソーシングしているわけです。言葉を選ばずに言えば、何を作っているのか分からない状態でプログラムを書いている現場も多いと思います。
しかし、そのやり方では、これからは立ちゆかない。本来は、企業の理念やビジネスの内容が分かったうえで、ITサービスを一気通貫で内製する必要があります。そのときは、事業会社がITエンジニアを直接雇用することになるので、転職機会もより増えていくでしょう」
しかし、ITエンジニアなら誰でも機会を得られるわけではないようです。澤さんは「ただプログラムができるITエンジニアは生き残れない」とも警鐘を鳴らします。キーワードは、「個人が持つ力×プログラミング」。
ITエンジニアにとっても、個人の力を伸ばすことが必要

澤さんが学んだ時代に比べれば、プログラミングを学び、ITエンジニアになるためのハードルは格段に下がっています。だからこそ、差別化が難しいのも事実。そこで重要になるのが、「個人が持つ力×プログラミング」。スキルの掛け算ができないITエンジニアは、致命的とも言えます。
「僕は最近、キャリアはXYZの三次元で考えるとハッピーになれる、と話しています。簡単に言えば、3つの得意分野を持って欲しい。例えば、プログラムができるだけでなく、プレゼンも得意。そして、特定の業界に詳しい。こういった人材は希少性が高いわけです。
これからのITエンジニアは、ただプログラムが書けるだけではダメ。+αが重要になります。異業種から転職してきたITエンジニアは、強みが発揮できると思いますよ」
もうひとつ、澤さん考えるこれからのITエンジニアに重要な要素が「未来を良くするという思考」。ビジネスシーンではよく使われるというレンガ職人の話を例に挙げてくれました。
「仕事をしているレンガ職人に、何をしているのか、と尋ねました。一人は、レンガを積んでいると答えた。別の一人はお金のために積んでいると答えた。最後の一人は素晴らしい教会を作っていると答えた。この三人はやっていることは同じだけど、ビジョンが違う。
ITエンジニアの仕事はプログラムを書くことなのか、それとも未来をよくするサービスを作り出すことなのか。これから求められるのは、確実に後者を目指しているITエンジニアです」
もちろん、ITエンジニアリングで未来をよくするサービスをつくるには、プログラミングの基礎を学び、ITエンジニアになることが第一歩。そのための手助けをしてくれるのが、「人生を変えるプログラミングスクール」と謳う『テックキャンプ』です。
「今は情報も多いし、社会人でも学べる学校もあります。僕が苦労した時代とは大違い。プログラミングに興味があったり、ITエンジニアに転職したかったりする人は、考える前にまず行動して欲しい」と檄を飛ばす澤さん。そんな澤さんの目に、テックキャンプはどう映ったのでしょうか。

「専属トレーナーが学習をサポートしてくれるのは効果的です。日本人は質問が苦手。僕のプレゼンも、海外では終了後に扇状に人が集まり、四方八方から質問が飛んできますが、日本では列ができてひとりずつ質問してきます。ほかの人に質問を聞かれるのが恥ずかしいと思う人が多いのです。
特に初心者は、こんな初歩的な質問をするのはかっこ悪い、と感じがち。専属トレーナーがいれば、恥ずかしがらずにどんどん質問ができます」
また、専属トレーナーに加えて、受講生のモチベーションを管理する専属キャリアアドバイザーの存在にも触れます。
「なぜ自分がITエンジニアを目指しているのか、どういった業界で働きたいのか。そういったことを言語化するのは大事です。人は頭のなかで分かっているだけでは、正しくアウトプットできません。
例えば、トトロを思い浮かべるのは簡単ですが、それを正しく描こうとすると漠然となり細部がぼやける。分かっているだけではダメで、なんどもアウトプットすることでより具体的に描けるようになるのです。目標も同じ。頭のなかで考えるだけでなく、専属キャリアアドバイザーと話すことで具体的になるし、新たな気づきも得られるはずです」

『テックキャンプ エンジニア転職』には仕事をしながら夜間・休日に学べるコースと併せて、10週間の短期集中で学べるコースがあることも、「ブースターとしては非常に効果的」と評価します。
「乱暴な言い方ですが、この10週間で完璧なITエンジニアになれなくてもいいのです。大事なのは、プログラミングで分からないことを質問できるようになる地力が付くこと。
それに、10週間もプログラミングのことだけを考えていたら、脳内に思考法が残ります。その頭で世の中のさまざまなシステムに触れれば、自ずとどういった仕組みなのかを考えるようになるはずです。
例えば、これまでは漠然と通過していた自動改札も、どのように料金が計算され精算されるのかを考えるようになりますよ」
IT転職情報を提供するオンラインイベントが開催決定

未経験からITエンジニアを目指すことを前提とした仕組みやカリキュラムが組まれ、短期集中でプログラミングを学ぶことでITエンジニアへの転職の扉を開く『テックキャンプ エンジニア転職』。
4月19日(月)からは、IT業界への転職やキャリアに関心がある方に向けたオンライン完結型転職イベント「IT CAREER FAIR Online」も開催されます。澤さんも動画で出演するので、IT業界への転職への興味があったり、不安を払拭したいと考えたりしているひとはぜひ参加してみてください。
澤さんは、「エンジニア脳を持っていれば、これからの世界、どこでも生きていけます。足腰が強ければ、どんなスポーツにも活かせるでしょう。それと同じです」とITエンジニアへの転職を希望する人にエールを送ります。
「裸一貫でベンチャーに飛び込んで、ITエンジニアとしての経験をゼロから積むといった方法もあります。でも、転職組には少し効率が悪い。『テックキャンプ エンジニア転職』はさまざまなオプションがあるし、くじけそうなときも講師に助けてもらえます。まずはやってみないと始まらない。未経験からITエンジニアを目指すなら、最初の一歩になると思います」
Image: テックキャンプ
Photo: 小原啓樹
Source: テックキャンプ , テックキャンプ エンジニア転職 , IT CAREER FAIR Online