タンパク質は筋肉増強に必要不可欠なものです。筋肉組織はタンパク質で構成されており、タンパク質はアミノ酸でできています。
なので、それらのアミノ酸をどこかから摂取する必要があるわけです。でも、それらをどこから摂取するかという問題は、どれくらい重要なのでしょうか?
肉や乳製品、卵といった動物性食品にはタンパク質がたくさん含まれているため、ボディービルダーやジムに通う人たちにとっては昔から頼れる食品です。
ですが、植物性食品も同様にタンパク質を供給できますし、強靭な体を持つ菜食主義者のスポーツ選手もたくさんいます。つまり、植物性食品をベースにした食事で筋肉を増強することは十分可能なはずです。
ただし、植物性タンパク質には2つの欠点があります。そのため、植物性タンパク質にこだわるのであれば、その2つの点を把握しておくことが重要です。
1. 高カロリーになるケースがある
総カロリー摂取量を気にしているなら(減量や、体重を一定の範囲内に維持することを目指している場合など)、肉のほうが効率良くタンパク質を摂取できます。
たとえば、小さめの鶏胸肉なら、142kcalで27gのタンパク質を含んでいます。ほぼすべてのカロリーはタンパク質由来で、脂質由来はわずかな上に、炭水化物由来はゼロです。
植物性の食品ではそうはいきません。半丁程度の豆腐がほぼ同じカロリーになりますが、摂取できるタンパク質はほんの15g程度にしかなりません(残りは炭水化物と脂質です)。
また、100gの米と豆類なら150kcalになりますが、タンパク質はわずか5gです(残りのほとんどは炭水化物です)。
そのため、植物性食品だけで筋肉を増強したい人が、カロリー目標を超えずに必要なタンパク質(英文)量を摂取するには、動物性食品も食べる人と比べて、少し工夫しないといけません。
動物性食品も食べる人であれば、肉を含んだ少量の食品で必要な量のタンパク質を簡単に摂取できますが、植物性食品にこだわるなら、その差を穴埋めするために、栄養補助食品のプロテインパウダーが必要になるかもしれません。
2. 必須アミノ酸を効率よく摂れないことも
食事で摂取することが必要なタンパク質とは、実際にはアミノ酸のことを意味します。アミノ酸は20種類ありますが、そのうち9つは体内で生成できないため、食事で補う必要があるのです。
便利なことに、動物性食品にはアミノ酸がバランスよく含まれています。タンパク質の主要な摂取源として肉を食べているのなら、必要なすべてのアミノ酸を十分に得られるでしょう。
一方の植物性食品は、必ずしもアミノ酸をそれほどバランス良く含んでいるわけではありません。そのため植物性タンパク質は、「質の低い」タンパク質と見なされることがあります。
植物性タンパク質自体に悪いところはないのですが、ここで言う質とは「アミノ酸のバランス」のことです(必須アミノ酸をすべて含むタンパク質を指す別の言葉としては、「完全」タンパク質という言い方があります)。
必須アミノ酸をバランスよく摂るには
植物性食品にこだわる人でも、すべての必須アミノ酸を摂取できるよう食事のバランスを整えることはできます。
たとえば、米と豆類は互いに補完する組み合わせとしてよく知られています。大豆は、数少ない植物性の完全タンパク質の1つです。そのため、豆腐は優れた選択肢と言えます。
また、植物性プロテインパウダーの多くは、すべての必須アミノ酸が含まれるよう配合されています。
ビーガン(卵や乳製品を含めて動物性食品を摂らない完全菜食主義)では、動物性食品も摂る食事に比べると、アミノ酸をバランスよく摂取するのは難しくなります。また、植物性タンパク源のなかには消化されにくいものもあります。
そうしたことから、いくつかのガイドラインでは、ビーガンの運動選手に対して、必要なすべてのアミノ酸を摂取できるよう、動物性食品も食べる選手よりもやや多めのタンパク質を摂るよう推奨しています。
別のガイドラインでは、アミノ酸の1種であるロイシンを多めに摂取するようすすめています。ロイシンはマメ科植物に含まれているほか、サプリメントとしても摂取できます。
結論としては、植物性タンパク質で筋肉を増強することは可能ですが、十分な栄養素を確実に摂取するためには、少し注意深く食事プランを立てる必要がありそうです。
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Source: NCBI, The American College of Sports Medicine
Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文]