Microsoftは、11月15日(現地時間)に開催された同社の技術カンファレンス「Microsoft Ignite」の基調講演で、オリジナルのAIチャットを作成できる新機能「Microsoft Copilot Studio」を発表しました。そこからわかる、ビジネスパーソンに今後求められるスキルについて考えていきます。

自社情報をもとに回答できるチャットを作成

Microsoft Copilot Studioは、自社のデータやシステムと接続して会話のルールなどを設計することで、質問に的確に答えられる独自のAIチャットを作成できるもの。

イベントのデモでは、自社の経理システムの情報にもとづいて経費精算についての質問に答えるチャットを作成する様子が紹介されました。

Screenshot: 酒井麻里子 via Microsoft
Screenshot: 酒井麻里子 via Microsoft

今回の発表では、「Bing Chat」が「Copilot」に、「Microsoft 365 Copilot」が「Copilot for Microsoft 365」に名称変更されることも発表され、これまで以上に「Copilot」(副操縦士)を前面に出してサービスを提供していく同社の姿勢がうかがえます。

Screenshot: 酒井麻里子 via Microsoft
Screenshot: 酒井麻里子 via Microsoft

ただし、Copilot Studioは、11月から提供されているビジネス向けAIサービス「Copilot for Microsoft 365」(旧Microsoft 365 Copilot)の一機能として提供されるとのこと。

つまり、現時点で利用できるのははCopilot for Microsoft 365と同様、大企業向けアカウントを使用している場合に限られる模様。

個人ユーザーや小規模ビジネスユーザーが利用できるようになるのは少し先になりそうです。

「AIでツールを作る」スキルが求められる時代に?

「カスタマイズ可能なAIチャット」は、この2カ月ほどで各社が続々とサービスを発表しています。Open AIは、ユーザー独自のデータを追加してカスタマイズできる機能「GPTs」をリリース。

また、サービス提供はまだはじまっていないものの、Metaもカスタマイズ可能なAIチャットのサービスを発表しています。

Screenshot: 酒井麻里子 via ChatGPT
Screenshot: 酒井麻里子 via ChatGPT

求められるビジネススキルは「使える」ではなく「作れる」

今後は、「チャット型AIはカスタマイズして使う」が当たり前になっていくのかもしれません。そうなると、ビジネスパーソンに求められることも変化していきそうです。

生成AI登場以前は、Microsoft Officeなどのツールの使い方を人間が覚え、人間自身が効率的に作業をこなすことがスキルとして求められてきました。

そして、この1年で「自分ですべて作業するのではなく、AIに的確な指示を出して仕事の一部を委ねるテクニック」が新たに求められるようになってきたことはご存じのとおりです。

それに加えて今後は、「ビジネスに必要なツールそのものをAIに指示しながらカスタマイズして作り上げていく」スキルが必要になっていくのかもしれません。

「どんな目的で、何をするチャットを作りたいか」「そのために必要なデータは何か」「どんな回答をすれば、チャット利用者のニーズに応えられるか」といったことを考え、用途に応じたAIチャットをサクッと作れることが新たなスキルとして重宝されるようになっていきそうです。


次々と新しいものが登場し、情報を追うだけでも大変な生成AIまわりですが、“未来”だと思っていた世界が次々に訪れるワクワクする状況であることも間違いありません。

「頑張ってついていかなければ!」とプレッシャーを感じながら“勉強する”のではなく、まずは“おもしろ半分”で、今使えるツールを触ってみるのがよさそうです。

GPTsはChatGPTの有料プランにさえ加入していれば誰でも利用できるので、Copilot Studioが使えるようになるまでは、こちらでカスタムAI作成の腕を磨いておくのもいいかもしれません。

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Source: Microsoft