たまたま早起きして人生が変わった!

若い頃の筆者は、朝はギリギリの時間まで寝て、慌ただしく電車に乗って、始業時間とともに出社していました。30歳が近づく頃になってようやく、何かがおかしいと気づきました。

会社の仕事を除いて、なにひとつ自分の人生に意義のあることをしていないのです。とはいえ、しばらくどうしていいか分からず、単調な仕事人生を続けていました。

ある日、なぜか午前5時過ぎに目が覚めました。普通であれば、そのまま二度寝をするところですが、目が冴えて眠れません。なんとなくカーテンを開けて、日の出を見つめているうちに、何ともいえないいい気分になりました。その気分を保ったまま、片付けや読書やエクササイズをしたうえに、散歩までしました。それら全部を終えても、まだ午前7時だったのを見て、とても得した気持ちになりました。

以来、いかに朝早くに起きて、能動的に過ごすかが人生の1つの目標となりました。

もう15年以上目覚まし時計の助けを借りず、午前4時から6時の間に自然と起床し、生産的な日々を送っています。

韓国の「早起きブーム」の仕掛け人も朝寝坊だった

朝イチの「ひとり時間」が人生を変える(文響社)の著者キム・ユジンさんも、二度寝の常習者から早起きへと変わった1人です。

キムさんは、大企業の社内弁護士として働いていました。自宅と会社を往復するだけの生活を続けているうちに、無気力になり、自尊心も低くなり、ついには会社を「二週間以内に辞めよう」と誓うほど、心は荒んでいきました。

きっかけは、たまたま夜明け前の4時に起きたこと。それから早起きをするようになって、人生が激変します。本書では、その様子を次のように記しています。

朝、余裕を持って出勤準備ができ、会社に遅刻しないかと焦ることはなくなり、自分のコンディションもチェックできた。季節が巡れば衣替えをするように、毎日、新たな気分で自分自身と向き合い、不必要な悩みを整理した。すると気持ちがさっぱりした。いくら寝てもたまらなかったエネルギーがとうとう充電されるようになった感覚がした。(本書28~29pより)

以来キムさんは、YouTubeを通じて早起きの効用を発信。韓国国内に「早起きブーム」を巻き起こしました。

まずは、早起きの効用を自分に腹落ちさせる

キムさんの例を挙げるまでもなく、ビジネス界で多大な成功を収めている人には、早起きが多いです―リチャード・ブランソン、ジェフ・ベゾス、アリアナ・ハフィントン、イーロンマスクなど。

彼らは、早起きがいかに多くのメリットをもたらすか、はっきりと言明しています。遺伝的・体質的に夜型の場合は別として、朝早く起きられないことで損をしていることを自認しているなら、早起きへの脱皮をおすすめしたいです。

実は、早く起きることに難しい秘訣はありません。

まずは、早起きの効用を「確実に腹落ち」させることからスタートしましょう。

早起きで知られる実業界のキーパーソンのエピソードを、いろいろ読むといいでしょう。朝活をしている人の声を聞くのもおすすめです。

人は心の底から納得できていないことは、習慣化できないものです。まずは、腹落ちが第一歩となります。

ほんの少しだけ早く起きる

早起きになるための第二歩は、ふだんより少しだけ早く起きること

前述のキムさんは、アラームを午前4時半に設定していますが、いきなり高いハードルを越えようとすると挫折しがちです。

例えば、いつも午前7時に起きるのなら、6時45分に目を覚ますように努めます。

アラームをその時間に設定して、鳴ったらカーテンを開け放します。

人間は光を知覚すると、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、目覚めモードへと移行します。そのため、カーテンを開けて日の光を取り込むのは、覚醒の重要な手順です。アラームの音自体は、覚醒の引き金にしかなりません。

ちなみに筆者は、カーテンをめったに閉めず、常時開け放しです。そのため、アラームの力を借りずとも、夜明けとともに目を覚ますことが大半です。住環境が許せば、カーテンなしの生活は検討に値します。

いつもより10~15分早く起きられるようになったら、さらに少しだけアラームの設定時間を早めます。これを繰り返して、「今の自分ではこのあたりが限界かな」というところまでトライします。

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早起きができない、2つの真っ当な理由は?
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