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「現在の社会環境において、人生はどのように形成されるのか」について、私たちはもっと逆算思考で向き合わなければならないーー。『スタートアップで働く』(志水雄一郎 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、そう考えているそうです。

スタートアップで働くことは、やりがいと経済合理性を両立できるキャリアとして、現時点では成功に最も近づけるチャンスがあるのだとも。そして、もっとも自由かつ前提とすべきチャレンジは「起業」なのだとか。

起業家は、みずから旗を立て、みずからの言葉でミッション、ビジョン、バリューを語り、集った仲間とともにプロジェクトを推進する。

雇用を創出し、社会や未来の課題を解決するためのプロダクトやソリューションを提供し、売り上げを出し、利益を上げる。その一部を税金として収めて、社会の発展に貢献する。

さらに、成長の過程で株式上場などを果たせば、大きな資産を形成でき、税金を納められるだけでなく、その資産をもって寄付などを通じた慈善活動や、次なる起業家のサポート、人類が守るべきものを維持するための投資をすることもできる。(「はじめに」より)

つまり、やりがいと合理性の両立を実現できるということ。そしてそのための選択肢としては、起業家がもっとも適しているというのです。

スタートアップは、最も自由かつ最大限に挑戦できる領域の一つである。

経営に携われたり、自分の意志を事業に込めたりと、ビジネスにおいても様々な経験が可能になる。(「はじめに」より)

高い能力や昇格レースに勝つことが必要となる大企業とは違い、スタートアップであれば経営に挑戦できる機会を自ら生み出せるわけです。そうした考え方に基づく本書の第1章「なぜ、今、スタートアップなのか」に焦点を当ててみましょう。

大企業とスタートアップはどう違うのか

著者は常々、「スタートアップは特別なものではなく、大企業の前身である」と考えているのだそうです。スタートアップも成長すれば、いずれは大企業になる可能性があるということ。

組織構成も、大企業とスタートアップに根本的な違いはない。バックオフィスといわれる経理、総務、法務といった職務をこなす人もいれば、開発もフロント業務もある。もちろん、小規模なスタートアップであればCEOやCTOをはじめ、複数の職務を兼任しているケースはあるだろうが、やるべきことに大きな違いはない。(23ページより)

だからキャリアを考える際に、あまり大企業とスタートアップを分けて考えすぎる必要はないというのです。あえて違いを挙げるなら、スタートアップは「より強い意志」と「挑戦心」を持っていることが前提となった仲間の集まりであること。

なお、経済産業省が発表した資料には、スタートアップの定義として次の3点が挙げられているそうです。

1:新しい技術の活用、斬新なサービスなど新規性がある

2:加速度的に事業を拡大することを目指す

3:創業から間もない、比較的に創業年数の若い企業

(25ページより)

また同資料では、スタートアップを「社会課題を成長のエンジンに転換して、持続的な経済成長を実現する、まさに『新しい資本主義』の考え方を体現する新たなプレイヤーとして注目されています」とも説明しているそう。つまり、スタートアップ支援は国策として位置づけられているわけです。(22ページより)

人生で必要な資産を逆算してみよう

冒頭でも触れたように、著者は「人生で必要な資産を逆算してみる」ことの重要性を説いています。なぜなら必要な資産を確保することは、より大きな挑戦ができる可能性にもつながっていくから。

僕としては、自分の人生を豊かにしながら生き続けていくためにも、「やりがい」と「経済合理性」のバランスと「金銭報酬」と「株式報酬」のバランスを常に意識しながら、ベストな職場を選ぶべきだと思う。

株式報酬を交えると、資産形成のスピードも段違いになる。通常であれば60歳まで勤めて築ける金額を、わずか数年で、キャピタルゲインによって得られる可能性もある。(中略)

しかも、ストックオプションはみずからの努力によって、成功確率も資産価値も向上できるものである。アンコントローラブルなものではなく、コントローラブルなものだと捉えられる。(34〜35ページより)

企業価値を向上させようとすれば、仕事や自己成長に対する向き合い方も変わってくるはず。給与報酬をアップさせようと自分ひとりだけの目標達成に励むのではなく、株式を持っている全員で会社の成長に関わっていけば、給与以外に資産も向上していくわけです。その結果、「視座・視野・視点」を高める必要も出てくるため、自己成長も促されることになるはず。

スタートアップは社会や未来の課題解決を志向する。そのため、成長すればするほど、課題は解決され、人類や生活にイノベーションを起こす可能性も高まっていく。

ひいては国家の競争力にもつながっていく。金銭的な期待と社会への貢献が連動する、僕にはよほど純粋な働き方のようにも思われる。(35ページより)

したがって、早い段階からスタートアップにジョインできれば、ビジネスによる成長を心から楽しむことができ、キャリアはよりよいストーリーになりうるだろうと著者は述べています。

それは、いわゆるアメリカンドリームのような話ではないようです。日本人による、日本国内におけるキャリア設計であったとしても、大きな可能性が広がっているということ。しかも、バブルのようにはかなく消えていってしまうものでもなければ、博打のように危ういものでもないといいます。

GAFAM(Google、Apple、旧Facebook、Amazon、Microsoft)だって同じ人間がつくったものだ。

同じように生まれ、後天的に学んだ内容もそれほど変わらないはずなのに、働く日本人の多くが「自分たちはダメだ」と思い込んでしまっている。GAFAMだけではない。

ソフトバンクも、Yahoo!も、DeNAも、GREEも、あらゆる会社は自分と同じ人間の「誰か」が真摯に学び、目標を据えて怠惰を超え、素晴らしい仲間と時代を歩みながらつくったものに他ならない。(37ページより)

これは、非常に重要な視点ではないでしょうか?(32ページより)

誰かが未来を変えてくれるのを待つのではなく、未来は自分で変えていくべき。そんな気持ちを持ち続けることが大切なのであり、それができれば人生も社会も変えられると著者は信じているそうです。

将来的にスタートアップを目指したいのであれば、そんな著者による本書は大きく役立ってくれるかもしれません。

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Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン