米国国立精神保健研究所(NIMH)によれば、アメリカでは成人の19.1%に当たる4000万人を超える人々が、過去1年間に不安障害を経験しているそうです。不安障害は、アメリカではもっとも多い心の病なのです。

しかも、この数字に含まれているのは、臨床医にかかって正式に診断を受けた人のみ。それ以外の、日々不安と向き合っている何百万人もの人々は含まれていません。

ところが、ハーバード大学医学部で精神医学を専門とするLuana Marques准教授は「私たちを悩ませているのは不安ではない」と言います。

問題なのは、不安に対する私たちの反応の仕方です。

多くの人は、不安を感じると、「心理的回避(psychological avoidance)」という反応を示すそうです。

今回は、この「心理的回避」について知っておくべきこと、そしてその対処の仕方をご紹介します。

「心理的回避」とは?

「心理的回避」とは、脅威が認識された時にそれに対して、一時的には気持ちが楽になるけれど、結局はマイナスの結果をもたらすような反応をすること。

この言葉の生みの親であるMarques准教授は、「心理的回避」でよく見られる行動として、「退避する(retreating)」「反応する(reacting)」「そのままでいる(remaining)」の3つを挙げています。

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つい逃げ出す、カッとなる、固まってしまう…不安に対処するには?
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