敏腕クリエイターやビジネスパーソンに仕事術を学ぶ「HOW I WORK」シリーズ。

今回お話を伺ったのは、ブルーボトルコーヒー日本進出の立役者インフロレッセンス株式会社の代表をしている井川沙紀さんです。

インフロレッセンス株式会社 代表取締役 井川 沙紀

これまで様々な企業で新規事業開発や、ブランドビジネスのマーケット展開に従事し、ブランディング・広報・PR領域を担当。直近では、米ブルーボトルコーヒーの日本ローンチを担当後、日本代表、アジア代表を経て、米・本社の経営メンバー(Chief Brand Officer) としてグローバル全体のブランド統括責任者として勤務。 現在は、日本及び米国含む海外企業のブランディング・コミュニケーション戦略のコンサルティングを行ないながら、大学の特任教授(客員)や社外取締役として活動している。

井川さんはブルーボトルコーヒーの日本進出を手掛けたのち、世界中のブランドをサポートするインフロレッセンス株式会社を創業。

今回、ブランドストラテジストとして、ブルーボトルコーヒーから独立までのお話や仕事観、ステークホルダーを巻き込みながらプロジェクトを推進していくコツなどを伺いました。

井川沙紀さんの一問一答

氏名:井川沙紀

職業:ブランドストラテジスト

居住地:東京都

現在のコンピュータ:MacBook Air

現在のモバイル:iPhone 14

現在のノートとペン:特に使いません

仕事スタイルを一言でいうと:体感して設計図を描く

ブランドストラテジストとしての仕事術

――現在のお仕事内容を教えてください。

日本か海外のお客様かで業務内容が異なります。日本の場合は、ブランディング、PRのサポート、異業種から店舗ビジネス、主に飲食に参入する場合に、そのプロジェクトマネジメントやアドバイスをするようなお仕事をしています。

海外の場合は、日本に進出するためのアドバイスや、日本に進出済みの企業の相談を経営者から受けるケースが多いです。

具体的には、ブルートボトルコーヒーは、アメリカ本国側と契約して今でもサポートをしています。

そのほかには、植物性のミルクを販売している企業やグルテンフリーのドーナツの製造・販売を手がける企業などの支援もしています。

――ブルーボトルコーヒーに出会ってそのサポートをするようになった経緯は?

日本のローンチのタイミングで入社して、3年ほど日本の代表を務めた後、アメリカに転籍してブランドやアジアの統括を担当することになりました。

退職後も、アジアのことがわかる経営人材がアメリカ本社に少ないことから、ブルーボトルコーヒーへのサポートは継続しています。具体的には、ブルーボトルコーヒーが提案を受けたタイアップの企画案に対してオペレーションや商品に落とし込む手助けをしたり、プロジェクトの立ち上げ段階で支援を行なっています。

ブランドとのコラボは、先方と協議を重ねたり、社内での調整を進めることが非常に難しいのですが、それが逆に楽しい部分でもあります。

売れる人材でいるために。キャリアチェンジはポジティブ

――井川さんはさまざまなキャリアを歩んできていますが、キャリアチェンジについてはどう考えていますか?

キャリアチェンジはポジティブに捉えています。自分が会社を離れても通用するかどうかを知ることは非常に重要だと思うんですよね。

独立した理由もそうなのですが、ブルーボトルコーヒーで社長を勤めさせていただきましたが、ほかの会社でも通用するのかという不安がありました。

だからこそ、自分自身を試してみたくて独立することにしました。売れる人材、必要とされ続ける人材であり続けたいという気持ちが強いのかもしれません。

――独立するにも不安があると思うのですが、そのまま居座る不安と比べたら、独立のほうがよかったと?

そうですね、「今気づいたほうがいい」と考えています。年を重ねて使えない人材になってしまったら大変ですよね。まるでロールプレイングゲームのように、ポイントをゲットして次のステージに進み、レベルアップしていくように成長していくという意識が大切だと思っています。

――アメリカのブルーボトルコーヒーで学んだことは?

アメリカに転籍したときの話ですが、経営チームでどんなに忙しくても、「必ず家族と食事をとる」「夜の7時から9時はファミリータイムだから連絡来ても返せない」と言われたことです。だからといって、仕事が遅いわけでもないんですよね。

アメリカの経営チームはメリハリを持って働く文化があり、私自身としても取り入れたいと思った部分でした。

移動中に会議は当たり前。時間を有効に活用する方法

――スケジュールはどのように組んでいますか?

独立してからは複数のお客様をサポートしているので、移動が増えました。そのため、月曜日と火曜日に移動がある仕事を入れ、水曜日から金曜日はできるだけ家で作業を行なうようにしています。オンラインで参加できる会議は週の後半に組むようにしています。

土日は休むようにしていて。土曜日はまだアメリカが金曜日で動いてるので会議があったりしますが、極力朝には終わらせるようにして午後は休みにしています。

――仕事をする上で欠かせないアプリ

タクシーアプリの「GO」です。移動中は仕事に集中できる時間でもあるので、会議も移動中にやることが多く、タクシーを使うことがよくあります。「S.RIDE」も使っていますが、メインは「GO」です。配車アプリは欠かせません。

――めげないメンタルの作り方は?

物事に対して、要素分解を意識することです。

まず、心が折れた理由がありますよね。たとえば、上司に何か指摘されたとき、最初の感情って「悲しい」とか「怒り」などあると思うんですけど、でもそれを冷静に考えていくと、なぜそう思ったんだろうかと。

言われ方が嫌だったんだとか、自分の至らない部分を突かれたからだとか、腹落ちするポイントが出てくるんですよね。そこを自分が克服すればいい。

さらに、そこから何を得るかという視点でみて、自分が成長するための試練であり、「やばいまた成長してしまった!」とポジティブに考えるようにしています。

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プロジェクトをまとめて推進するコツとは?
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