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「ウェルビーイング」とは、端的にいえば“健康で幸福な状態”のこと。したがって、『ファイナンシャル・ウェルビーイング ~幸せになる人のお金の考え方~』(山崎俊輔 著、青春新書インテリジェンス)というタイトルにはいまひとつピンとこないという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし当然ながら、“健康で幸福な状態”を維持するためにはお金の問題を無視するわけにいきません。「お金がたくさんあれば幸せ」という単純な話ではなく、お金とウェルビーイングの間で適切なバランスが保たれているべきだということ。
だからこそ、ファイナンシャルプランナー/消費生活アドバイザーである著者は次のように主張するのです。
お金がたいしてなくても、これ以上年収を上げられないとしても、あなたのウェルビーイングを高めることは可能です。
なぜなら、幸福度は金銭をたくさん使うことで多く得られるのではなく、自分自身の満足度に大きく依存しているからです。(「はじめに」より)
たとえば若いころのデートの思い出は、(そのころ決して金銭的に恵まれていなかったにしても)幸福な記憶として残っているはず。一方、100万円かけてハワイ旅行をしたとしても、家族が精神的にバラバラの状態であったとしたらそこに価値を見出すことはできないでしょう。
つまり、たくさんのお金を得ることよりも大切なのは、賢く有意義にお金を使う、あるいはお金を使わなくても幸福を感じられるテクニックを身につけること。それが実現できれば、改めてお金と幸せの関係を見なおすことができるというわけです。
そのことを念頭に置いたうえで、きょうは第2章「自分の『仕事』と『幸せ』を考え直してみよう」内の「若者はまず年収をある程度増やす。それが幸福度も高めてくれる」に注目してみましょう。
若い人のウェルビーイング向上の近道は「キャリアアップ」
ファイナンシャルプランナーの観点で「若い人のウェルビーイング向上策をまずひとつ挙げろ」といわれたら、著者は迷わず「キャリアアップ」と答えるそうです。
フリーターのような生き方がもてはやされた時代とは異なり、いまでは非正規は不安定な生き方であると認識されるようになっています。なぜなら雇用の安定性に欠け、純粋に年収の伸びしろも違うから。
非正規雇用には年齢に応じた資金増の余地がほとんどありませんが、正規雇用であればキャリアアップに応じた年収増が期待できるでしょう。厚生年金適用、賞与、退職金などを含めると、待遇の格差は2億円近くなるのだともいわれています。
働くのであれば正社員としてしっかり働くこと、そして自分の能力を高め徐々に年収を増やしていくことが個人のファイナンシャル・ウェルビーイング向上の第一ステップです。(75ページより)
いわば、その人の幸福度を本質的に向上させる力になるのは「経済的な安定」の獲得。
まず安定的な収入が増えることで経済的基盤が固まり、目の前のお金の不安を軽減できます。同時に年収の上昇は、将来の出費に備える貯蓄を可能にします。したがって未来の不安も軽減していくのです。
大学生が正社員で入社したとしても、そこはまだまだスタートライン。月20万円程度の初任給とボーナスからスタートする20代のビジネスキャリアを、その後いかに発展させ、どれだけ年収をプラスしていくかが重要になるわけです。(74ページより)