公開はされたものの数カ月にわたり招待制という形をとっていた、The Browser Companyが開発するブラウザ「Arc」が、ようやく正式リリースされました。
Macユーザーなら誰でもすぐにブラウザをダウンロードでき、今のところ無料で使えます(ちなみにWindowsバージョンは現在ベータ版の状態です)。
でも、ダウンロード可能になったからと言って、「Chrome」からArcへ完全に乗り換えてしまっていいものでしょうか? 私はぜひそうすべきだと考えています。以下にその理由を説明しましょう。
インパクト抜群の新鮮なUI
Arcには、斬新で生き生きとしたムードがあります。かつてのApple製ソフトウェアを思わせるフィーリングです。
Arcの外観は、ほかのブラウザと一線を画する特徴を備えています。
縦に項目が並ぶサイドバーを用いたインターフェース。半透明のデザイン。各コンポーネントにさりげなくつけられた影。スタイルが統一されたコンポーネントなどです。これらは、Arcだけの特徴です。
世の中のブラウザはすっかり退屈なものになってしまいましたが、これは別にブラウザが悪いわけではありません。退屈とは、テクノロジーの成熟につきものの現象だからです。しかし、退屈だということは、慢心の表れでもあります。
メジャーどころのブラウザは(「Opera」を除いて)ほぼすべて、見た目も機能も似たりよったりです。ウィンドウの上部に、タブやツールバー、拡張機能、メニューボタンが並んでいるだけです。
これに対して、Arcの外観にはインパクトがあり、ユーザーインターフェースも洗練されています(Arcを初めて立ち上げ、データや設定をインポートするとすぐに、この点に気がつくはずです)。
しかも、見た目の変化だけではありません。Arcでは、ウェブの閲覧方法を根本的に変える体験が味わえるはずです。
ウェブ閲覧の新しいアプローチ

Arcはシンプルなブラウザとは言えませんが、そこまで苦労せずに使い方を覚えることができます。縦方向のメニューというインターフェースと、スワイプするジェスチャーに慣れれば、もう元には戻れなくなるでしょう。
Arcは、「スペース」というコンセプトに基づいてつくられています。これはつまり、Arcを一種のミニOSにするというもので、ブラウザ内でほとんどの作業を済ませている人を想定して作られた設計です。
それぞれのスペースは、サイドバーにページとして表示され、スワイプ操作でスペース間を移動できます。
リンクをクリックすると、元のページと同じスペース内に、リンク先のページが開きます。スペースにはオリジナルの名前がつけられるほか、スペースのアイコンを好みの絵文字に変えることが可能です。これはとても斬新な使い心地です。

個人的にArcで一番気に入っているのは、開いてから一定の時間が経つと、固定されていないタブを自動的にアーカイブしてくれる機能です。アーカイブされるまでの時間はデフォルトでは12時間ですが、私の場合は24時間に設定すると、使い勝手がかなり良くなりました。
ただし、たくさんのタブを開いて使うスタイルの人や、「あとで読む」機能としてタブを使っている人には、この機能は悪夢でしかないでしょう(あなたがこういうタイプの人なら、設定ページで、アーカイブされるまでの時間を30日に変えることもできます)。また、横線をまたいでスペースの上にタブをドラッグすれば、「ピン留め」できます。
さらに、スペースを複数作り、目的別に分けて使うこともできます。仕事用、プライベート用とで別のスペースを作ったり、プロジェクトやクライアント別にスペースを設けたりできるわけです。ピン留めされた(画面から消えない)ウェブサイトも、仮のフォルダで整理できるので、見た目のごちゃつきとは無縁です。
さらに、ウェブサイトをドラッグして、サイドバーの最上部に持っていくと、そのサイトを「お気に入り」として固定できます。ここに固定されたウェブサイトは、アプリのショートカットのように常に表示され、最新の状態に更新され、ワンクリックで使えます。
しかも、さらに気の利いた機能が用意されています。「Gmail」や「カレンダー」などのサイトを固定しておくと、アイコンにポインタを乗せるだけで、新着メールやミーティングの予定が表示されます。
このようなちょっと気の利いた機能が、Arcブラウザには実にたくさん盛り込まれているのです。
Arcはまた、コマンドメニューを、よく使われる「新規タブ」ショートカット(Command+T)と統合しています。新しいウェブサイトを表示するだけでなく、拡張機能を開いたり、ブラウザアクションを実行したりする時にも、このショートカットが使えます。