面白家電メーカーとして今注目のサンコー株式会社。
同社に広報部を発足した、執行役員・広報部長の﨏晋介(えき・しんすけ)さんは、年間のテレビ出演が200回を超える有名な広報マンです。
「ekky(エッキー)」いうニックネームで、オレンジ色のシャツにオーバーオールの姿をテレビで見た方も多いでしょう。
このキャラづくりは、「サンコーの人」ではなく、「商品の情報をお届けする人」として、主に主婦層に認知してもらうためだそうです。
その﨏さんが、先日上梓した書籍が『年間200回メディア出演を実現させる 広報ekky流「伝わる」の本質』(徳間書店)です。
本書には、広報だけでなく営業やマーケティングなど、幅広い職種の方々に参考となる知識が盛りだくさん。今回は、その一部を紹介しましょう。
「情報を受け取る側の気持ち」を考える
広報の仕事として大きなウエイトを占めるのが、マスメディアへの情報発信。たとえば、新製品の概要をまとめたニュースリリースを、各メディアに送ります。
﨏さんも、間もなく発売する製品のニュースリリースや企画書を、約1000人に送付するそうです。同じことを多くの企業が行なっているため、メディアの担当者には、日々とてつもない数の情報がやってきます。
そしてその中で選ばれるのは、本当にひとにぎり。それにも関わらず、﨏さんのニュースリリースが、特に狭き門であるテレビ番組でしばしば取り上げられるにはワケがあります。
その秘訣の1つが、「情報を渡された側の気持ちを考えて、伝え方を考えること」。
テレビ局の担当者は、常に番組のネタを探しています。その点を考えず、ただ機械的にニュースリリースを送ってもスルーされるだけでしょう。
関係性を少しずつ築き、相手の記憶に残る存在に
一方、﨏さんには、テレビ局担当者への不変のスタンスがあります。それは、「ご一緒に良い番組を作らせていただきます!」というもの。
そのために必要なのが、局のディレクター、制作会社、番組のコンセプトや視聴者層の把握することです。相手の立場や起こりがちなトラブルも頭に入れ、関係性を少しずつ築いていくことが重要だとしています。
これを続けていくと、「あの人はこちらの事情がわかっているから、仕事がしやすい」などと、相手の記憶に残る存在になっていきます。
そこから進んで、「ekkyさんに聞けば、面白いものがあるかも!」と、逆に向こうからアプローチがくるようになります。
本書のなかで﨏さんは、次のようにも記します。
関係性を構築しその関係性をさらに良いものにしていくために、広げていきたい相手の立場になって考え、情報を提供できているかがカギを握るのです。
『年間200回メディア出演を実現させる 広報ekky流「伝わる」の本質』(75ページより)
ただし、関係が深まったからといって、採用の成否を問い合わせるといった、アグレッシブなアプローチはNGだとも。
採用するメリットがあるかの判断は相手に任せ、あくまで番組の「素材」に徹する姿勢も大事だといいます。