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『人間関係の悩みがなくなる カントのヒント』(秋元康隆 著、ワニブックスPLUS新書)の著者は大学院生のとき、指導教授から「打たれ強い」と評価されたことに物足りなさを感じたのだそうです。理由は、「哲学的なセンス」「テキストを読み込む力」など、もっとかっこいいことをいわれたかったから。
しかし時間の経過とともに、じつは打たれ強さとはとても大切なのではないかと考えるようになったそう。そこには、いくつかの理由があるといいます。
まず最初は、「哲学的なセンス」や「テキストを読み込む力」などは、いつでも発揮できるわけではないということ。汎用性が低く、使用機会が限られているわけです。
一方、打たれ強さは、どこでなにをするにしても必要になるといえるはず。
次は、仮に「哲学的なセンス」や「テキストを読み込む力」があったとしても、打たれ弱いのでは元も子もないということ。逆に、センスや能力が多少劣っていたとしても、打たれ強ければそれなりのレベルには到達できるわけです。
そして第三は、自身が学部生のころから取り組んできたドイツの哲学者イマヌエル・カントの倫理学説との関係。
カントは、自分の頭で考えることが道を誤る可能性を下げ、自分の考え方(哲学)を形成することにつながる、延いては、それが人としての強さにつながると考えているのです。
もしそれが私自身のなかである程度でもできているのだとすれば、そのことを自負してもよいでしょう。(「はじめに」より)
そこで本書では、とりわけ打たれ強さと密接に関わる、他者との関係の築き方についてのカントの言説を追っていこうとしているわけです。きょうは第3章「仕事の人間関係」のなかから、2つの要点を抜き出してみたいと思います。