子育てや介護などの事情があっても多様な働き方ができる昨今。時間に限りがある場合はなおさら「量<質」を意識した働き方が求められています。

株式会社リアルソフトのシステムエンジニア・UIデザイナーの中島麻織さんは、育児時短勤務(9:30〜16:30)で仕事をして5年ほどになります。しかし、最初は自分の仕事に自信が持てなかったと言います。

そんな中島さんが「量<質」を意識し、勤務時間が短くても自分の仕事に自信を持って取り組めるようになるまでを語ります。

ワーキングマザー向け研修で変わった意識──「申し訳ない」ではなく、「前向き」に

第一子出産後、復帰して間もなくワーキングマザー向けの研修を受講しました。そのときはまだ「みんなはまだ仕事をしているのに、早く帰って申し訳ない」という気持ちで仕事をしていました。

研修では、ワーキングマザーが働くメリットや、日々の業務に達成感を持てるような工夫、ワーキングマザーとして自信を持って働くためのマインドについて教えてもらいました。

ワーキングマザーが周囲に与えるポジティブな影響として、主に次の点があげられます。

<ワーキングマザーが周囲に与えるポジティブな影響>

  • 組織の制度化が進み、より働きやすい環境の整備が進む
  • 仕事の進め方(仕事の構造化や分担)を見直すきっかけとなる
  • 協働のスキル、コミュニケーションスキルが向上する
  • 次の世代のロールモデルになる

時間による制約をネガティブにとらえず、ポジティブな面もたくさんあることを知り、「申し訳ない」ではなく「前向きに」仕事に取り組んでいこうと思えました。

お客様からの言葉で気づいた自分の価値。それが、自信を持てるようになったきっかけ

研修後、効率的に仕事を進めたり達成感を持てるような工夫をしたりしながら仕事に取り組みました。しかし、心のどこかで自信を持てない自分がいました。

そんなとき、お客様からかけていただいた言葉があります。

私は、中島さんの考えた結果を価値として、そこにお金を払っています。他の人の意見はそれとして、中島さんの考えを聞かせてください。

当時の仕事のやり方は、関係者から意見をもらい、それをきれいにまとめることに注力していました。自分の考えも持ってはいましたが、それよりなんとか丸く収めなければという気持ちでやっていました。

お客様からの言葉を受けて「私には価値があるんだ」と思えるようになりました。また、時短勤務だということは関係ないとも感じさせてくれる言葉でした。短い時間でも質(価値)を高めることができれば、評価されると思えたからです。

仕事だけじゃない、子育てにも言えること。“量よりも質”の意識

短時間でも質を高める。実はこれ、子育てについても言えることです。ある時期、一緒に遊んでいるときに子どもからよく言われていた言葉があります。

「ねぇ、ママ、いっしょにあそぼうよ~!」

その言葉を聞いて「え? 今一緒に遊んでいるのに!?」と思いました。

あまりにも何度も言われるので、子育て相談の場で相談してみました。すると、「一緒に遊んでいるとき、ほかのことを考えてない? 子育ても量より質よ。一緒に遊ぶ時間が短くても、集中して遊ぶと子どもは満足するかも」というアドバイスをもらいました。

それからは、時間を決めて子どもとの遊びに集中するよう心がけました。しばらくすると、遊んでいる最中の「いっしょにあそぼう」はなくなりました。

仕事と子育ての両立のために

時短勤務で「量<質」を意識した働き方をするようになってから、仕事でも子育てでも「やるときはやる」と集中して取り組めるようになりました。そのほうが、メリハリがあって充実しているなと感じています(もちろん家でダラーっとする時間もあります)。

また、自分の仕事に自信を持てるようになったのは、出産前に(20代のうちに)必要なスキルをある程度身につけておけたというのも1つの要因だと思います。

身につけておいて良かったと思うスキルは、デザインと設計です。デザインはもともと自分がやりたかったことなので、時間のあるうちに学校に通って身につけ、画面設計などの業務に活かせるレベルにしておけたことが良かったです。

本当はデザイン一本でいきたかったのですが、設計については当時の上司に身につけておいたほうが良いと言われ、デザインと並行して業務の中で身につけました。

2023年4月現在の業務の中でも設計スキルを持っていると活躍の場が多いと感じるため、当時の上司には感謝しています。

これからも短時間集中で「質」にこだわり、ときには悩んだり勉強したりしながら、仕事にも子育てにも取り組んでいきたいと思います。

Image/Source: talentbook, 株式会社リアルソフト