ジャーナリズムには、「残酷な事件ほどトップニュースになる」という恐ろしい格言があります。暴力や衝突など血が流れるような内容であればあるほど、テレビや新聞での露出が増えるという意味です。

極端にオンライン化した現代では、日々目にする悪いニュース(暴力や戦争はもちろん、政情不安、経済不況、気候変動の切迫した警告など)だけでなく、そのニュースに触れる方法も多様です。

ニュースの新しさに関してはさておき、安全のために脅威に関する情報を広く知らせる必要性は間違いなくあります。ですが、常に悪いニュースばかりでも安全ではありません。

多くの研究で、精神的苦痛とニュースの過剰摂取には関連性があることが判明しているそうです。しかし、ネットで悪いニュースばかり漁ると気分が悪くなるのは言うまでもないと思います。SNSやニュースのフィードが酷い出来事で溢れていると、気分が滅入って、この世の良いことに目を向けられなくなります

精神的に参ってしまわず、適切に情報を入手し続けるには、ニュースを見る時間を決めて、それを守るようにしましょう。

ニュースの過剰摂取とはどういう状態か?

米国心理学会は、近年ニュースに関連するストレスが増加していると指摘しています。

Pew Research Center」によると、気候変動から経済、犯罪など悲惨な現状に関する、もっとも衝撃的なニュースを前面に出すことで競い合っているSNSで、アメリカの半数以上の成人が、ニュースを「頻繁に」または少なくとも「時々」見ているというのだから当然でしょう。

SNSでニュースに多く触れ過ぎると、過剰摂取の状態になります。いわば、悪い脳内物質の点滴を受け続けているようなものです。

良いニュースもありますが、悲惨なニュースと違いトップニュースにはなりにくいです。

またストレスや不安を感じるような化学物質には、麻薬と同じように中毒性があると言います。ニュースに接する時間が長すぎると、現実世界の危険に対する感覚が歪み、反射的にすべての脅威を把握しようとするため、さらにニュースに接するようになります。

ニュースの過剰摂取を防ぐ線引きの仕方

生産性を最大限発揮して働くには休憩が必要なように、ニュースに接する時間にも休みが必要です。

ストレス要因であるニュースと、この世は悲惨なことばかりではないと思い出すことの、バランスを取るための時間が必要だということです。

ニュースアプリを常に開きっぱなしにするのではなく、世界で何が起こっているのかをチェックするのは午前と午後の1日2回、1回につき15分だけと決めましょう。

朝はニュースを見ることからはじめなければ、早いうちにほかの仕事を終わらせることができます。同じように、寝る直前にニュースをチェックしなければ、眠れなくなるような、不安や心配の負のループに陥らなくて済みます。

自分を見失わないようにする方法をいくつかご紹介します。

  • 色分けされた時計など、スケジュール管理の方法を使って、ニュースに接する時間を明確にし、習慣化するまではその時間を守る
  • スマホのニュースやSNSアプリのプッシュ通知を無効にする。できることなら、アプリを削除する。
  • 親しい人たちに自分がニュースを控えていることを伝え、記事やニュース動画、悪いニュース全般を送らないでと伝える。
  • ニュースをチェックする時間は、SNSの“今読まれている記事”などではなく、信頼のおける、扇動的でないニュースを見るようにする。

上記のような簡単なことでも、目に見える結果が出ます。

パンデミックでロックダウン中のスペインで行なわれた、5,545人の成人を対象とした2020年の研究では、当初65%が不安や抑うつ症状を訴えていましたが、日課や趣味に没頭し、パンデミックに関するニュースを読みすぎないようにしたことで、抑うつ症状が全体的に軽減したと言います。

ニュースに触れる時間をどれほど減らしても、悲惨なニュースは目に入ります。そのような場合は、そのニュースを処理することを考え、大惨事みたく捉えすぎないようにしましょう。

認知を再構築する方法を使えば(自分でできる方法がこちらに載っています)、ニュースによって感じたストレスを乗り越え、より前向きで建設的な考え方ができるようになります。

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Source: MDPI, American Psychological Association, Pew Research Center, Study Finds, Science Direct