「Age is just a number(年齢はただの数字にしか過ぎない)」。私の好きな言葉のうちの1つです。
日本では「もう〇歳なんだから〇〇しないと」といったふうに、年齢を基準とした「こうあるべき論」が多く、たまに息苦しさを感じてしまう方も多いのでは?
また、「年齢を重ねること=ネガティブなこと」というイメージをなんとなく持ちがちで、年齢を重ねるごとに誕生日が嬉しくない、なんて話もよく耳にしますよね。
ただ、ここ最近は、日本でも年齢に囚われず、いくつになっても選べる選択肢の幅が広がってきているような風潮を感じます。
学生のころから起業する人、定年退職後に再度学生として学び直す人、年齢問わず転職を繰り返してキャリアを築きあげる人…。
各年代それぞれが自由に様々なライフステージを歩んでいます。
年齢に対するこれまでの概念は見直しが必要
ライフステージが多岐にわたると、同じ年齢でも置かれている環境によって思考や行動パターン、価値観も大きく異なってきます。
一般的に、マーケティングでは年齢が1つのターゲティングを決定する要素として重要視されてきており、 ライフイベントが多く、所得も安定している20代~40代が消費層のボリュームゾーンとされてきました。
しかし、 広告エージェンシーMcCann社は、自社独自の年齢とマーケティングによる調査結果をもとに次のように提言しています。
同じ年代でもそれぞれが実に多様なライフステージを歩んでいる今の時代では、これまでの各年代への固定概念を払拭すべきです。
「年齢を重ねる」ことについての再定義、すなわち数字に捉われるのではなく、全世代に対する考え方や価値観、行動パターン全般についての見直しが必要になってきているのではないでしょうか。
Truth Centralより引用翻訳
McCann社の調査では、各世代と年齢を重ねることの相関性についておもしろい調査結果が報告されています。
意外にも、死についてもっとも恐れているのは高齢者ではなく20代。そして自身の年齢や、年齢を重ねることについてもっとも気にしているのは30代、もっとも気にしていないのがなんと70代とのこと。
若い年代の方が死や老いについて気にしているというのは、意外な結果ですよね。
「年齢を重ねる」を違った視点で捉えてみる
私は現在30代前半(2019年当時)ですが、やっぱり老後に対しては漠然とネガティブなイメージを持ちがちなもの。
創業者であるMcCann氏のアドバイスの中で、「マーケターは、年齢というカテゴライズについて再考すべき」というものがありました。
その中で年齢を重ねることに対するイメージを変えてくれる助言があったので紹介します。
年齢を重ねるメリットに着目
まず、着目すべきなのは、年齢を重ねることによって失うものでなく、得られるものだということ。
俗に、年齢を重ねると「リタイアする」「ダウンサイジングする(住まいや車、生活費など身の回りの物を縮小する)」などネガティブな言葉や表現が使われがちです。
ところが、実は年齢を重ねるごとに、より裕福に、そして幸福になっていくというデータがあるのです。
異なる世代とつながりを持つ
また、McCann社の調査によれば、世界各国で良い年齢の重ね方の定義は異なりましたが、共通していたのは「幅広い年代層とつながりを持ち、互いに理解し合うこと」だそう。
自分と異なる年代と関わってみることで、自分のこれまでの価値観が変わったり、年齢を重ねることについてもポジティブに捉えられるかもしれませんね。
年齢に代わる、新たな基準軸とは
そもそも、ここまで大きく転換期を迎え、各年代の常識が変化しつつある今の時代では、年齢別にわけて物事を考えること自体、見直しが必要かもしれません。
McCann社は、今後のマーケティングにおいては、年齢ではなく「価値観」や「アティチュード(姿勢・態度)」すなわち「人生にどのようなことを求めているか」をベースにしたターゲティングによって 、ユーザーひとりひとりにきちんとメッセージを届けていくことが重要だと述べています。
レポートでは、年齢を重ねることをどのように捉えているか、また人生に対する姿勢の違いとして以下の5つのタイプを提示しています。
あなたはどのタイプに当てはまりますか?
- 年齢問わず常に好奇心に溢れており、なんでも挑戦しながら自己成長していきたいタイプ
- 周りの人との関係性を重視し、築き上げたコミュニティとの絆を深めていきたいタイプ
- 常にきちんと節度ある大人として責任感を持とうとするタイプ
- 年齢を重ねることからくるリスクや不安に苛まれているタイプ
- 年齢を重ねることで日々若さや活力が失われていくと感じているタイプ
必ずしも、全員がこの5つのタイプに当てはまるとは限りませんし、いくつかのタイプに重複して当てはまる人もいるでしょう。
ただ、自分がどのタイプに当てはまりそうかを知り、自分が大切にしている考え方や価値観を認識することで、漠然と年齢のイメージに縛られることは防げます。そうすれば、今からでも何か対策を講じることはできますよね。
いずれにせよ、年齢に縛られ過ぎて自分の本当の姿や、やりたいことを制限してしまうのはもったいないことです。
数字に囚われずに、それぞれが自分らしい選択ができるようになったら素敵ですよね。
また、マーケティングに携わる方は、今一度自社のターゲティングやセグメントについて見直してみるのも良いかもしれません。
──2019年8月3日公開記事を再編集して再掲しています。
執筆: saori/Source: Truth Central